「1%の努力」は優しさ溢れる本だった。

「2ちゃんねる」創始者のひろゆきさんの著作「1%の努力」を読みました。

ひろゆきさんの事はあまり知らず、恐らく世の中の多くの方と同じように「論破」で「合理的」なイメージを持っていました。

そのためこの本も、ちょっと冷めた目線で「あなたのその努力無駄ですよ」と詰めるような内容なものかと勝手に思っていました。

しかし実際には、ひろゆきさんが育った赤羽の団地の話を筆頭に、「世の中はお金がなくてもそれなりに楽しく生きられるのだから、自分の中で大事なものを見極めて、大事なものを優先させよう」優しく語りかける内容でした。

そして、世の中は善い人ばかりなので性善説でいる方がコスパがいい(騙される前提で常に構えている方が無駄)など、生きていくためには必ずしも必要ではない、あなたが勝手に必要だと思い込んでいる「無駄な努力」に気づくための「考え方の考え方」を教えてくれます。そして意外だったのが、全体的に優しさが滲んでいました。「今の生き方でも良いけれど、もっと楽な生き方もあるかもよ」と語りかけてくれます。

この本、全体的に、僕は共感できる箇所が多かったです。

当時の赤羽の団地では、働かない人もいるし、変な人もいるし、世帯収入を上げないために(世帯収入が上がると団地から出されるので)離婚する夫婦もいたりと、色んな人が、近所づきあいしながら楽しく過ごしていたようです。また学生時代に様々なアルバイトをする中で、サボりまくっても上手くやっている人など色んな人を目の当たりにし、自身もサボりながらバイトをしていたと。さらに世界中を旅し、ひろゆきさんはお金がなくてもそれなりに楽しく生きられるし、そんなに真面目に頑張らなくてもやっていけるということが身に染みているんですね。

僕自身も、母子家庭で育ち贅沢はできませんでしたが、様々な経験をさせてもらったし、楽しく生きてこれました。大学受験で浪人し、大学では落ちこぼれで留年して刺激を求めてゴールデン街を一人でフラついてたり、なんとか卒業して新卒で入学した会社は三ヶ月で辛くて退職し、スキー場での住み込みバイトでは事件を起こして地元に帰れないヤクザみたいな人たちと出会ったり、青年海外協力隊でアフリカに二年間行って貧しいながらも毎日笑顔の現地人と一緒に生活したりと、「普通の暮らし」とはちょっと外れた人生を送ってきました。なので同級生と比べると社会人経験は短いですし給料も低いと思いますが、「なんとか生きていける、なんとでもなる」と思っています。まぁもしかしたら、なんともならないのかもしれないですがw。それでも、どんな環境の中でも何かしらの楽しみを見出せるんじゃないかな、と思っています。

一方周りを見渡してみると、安定を求めている人がとても多いです。安定を求めているというより、「安定を手放すことを恐れている」人が多いという印象です。また、「子供を育てるには世帯年収〇〇円以上必要」などの意見を聞くと、そんななくても僕は楽しく育ったんだけどなぁ、とちょっと悲しくなります。まぁ、この本の中でひろゆきさんも語っているように、それぞれ求める生活レベルの前提が異なるのですが。この本では、そうした前提を持つ人を認めながらも、「その前提、本当に必要?もっと違う前提でもいいんじゃない?」という視点を与えてくれます。

もしあなたがそのような、今の自分の価値観や無意識の前提条件に捕らわれて辛い気持ちをしているのでしたら、本書「1%の努力」はあなたに新しい視点を、優しく与えてくれるかもしれません。


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