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29ビックバンド部の思い出 普通の大学の部活でピアノを弾く

高校2年生の時に音楽の道に進むのを諦めて一旦音楽から離れた私は、受験が終わって普通の大学に入ったとき、ジャズのビックバンド部に入部した。

受験生時代から、大学に入ったらビックバンド部に入ると決めていた。T先生のところに雇われていたピアノのA先生の旦那さんが、都内の私立大学に在学中にビックバンド部でドラムを担当していた人だった。A先生と旦那さんには私が高校生の頃からよく食事(飲み?)に連れて行ってもらっていて、その度に、青春時代のビックバンドの話を聞かせてもらっていた。

それに加えて、私の受験生時代には、ボストンのバークリー音楽院を卒業後NYで成功をおさめて日本に凱旋帰国したジャズピアニストの大西順子さんが有名になった。彼女がTV番組徹子の部屋に出ていたときにたまたま見て、その演奏に衝撃を受けてしまった私は、翌日に池袋のWAVEに行ってCDを購入し、中毒になるほど聴きまくっていた。だから、ジャズピアノというものを弾いてみたい欲が最高潮に達してもいた。

私は、中学も高校も吹奏楽部はあったけれど入部しなかった。というのは、鍵盤楽器の出番が無いということというよりは、長期休みはもちろん、ほとんど毎日練習しているのに、上手ではなかったからだ。演奏が崩壊して止まってしまいそうになったりするし、何よりも、指導者が素人なのも気に入らなかった。

だから大学の音楽系部活もどの程度のクオリティーなのか、疑わしく思っていた。もしかして、中高の時のように、毎日練習するけれど素人の集まりで崩壊しそうな演奏しかできないのかもしれない、という心配はあった。

しかし、実際に演奏を聞いたら、想像していたよりもはるかに上手であった。素直に、すごいなーと思ったのと同時に、音大ではなくて普通の大学生なのになんでこんなに上手なのだろう?とも思った。当時、少しのCDと、自分か通っていた音楽教室の生徒や先生の演奏しか聞いたことのなかった私の耳には、とても上手な生演奏に聞こえたのだった。

かくして、私は大学入学直後から、部室に入り浸る生活をすることとなった。

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