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4 エレクトーンの思い出 グレード試験

グレード試験


マドンナたちのララバイを弾いた頃、グレード試験というのを受けたことがある。2回、あまり間を開けずに受けに行った記憶がある。

グレード何級だったのか?どんな試験内容あったのか?全く覚えていない。母親に電車に乗って連れて行かれたことだけは覚えている。初心者が受ける級だったから、10級とかそのくらいだったのではないか。

唯一はっきりと覚えているのは、聴音のテストがあったこと。グレード試験対策で、レッスン中に聴音の練習をした。T先生が弾くのを耳できき、すぐに同じことを自分でも弾くのである。

全然難しくなかった。というより、なんでこんな簡単なことをさせられているのか、全く訳がわからなかった。単音のフレーズを聞いて、聴き間違える訳がない。間違える訳がないことをなぜやるのか?あまりにも訳がわからなかったので、先生が弾くときの手つきのモノマネまで再現してみせて、先生を大いに笑わせた。

今ならわかるが、すでに音高もリズムも一回聞いただけで理解することができていた、ということだ。子供だったから、これが当たり前だと思っていた。この聴解力は、この先も大いに役に立った。

しかし、何のためにやっているのか全くわからなかったこのグレード試験というのを全く好きになれず、2回受けただけで、しばらくグレード試験とは距離を置くことになる。自分から「もう受けたくない」と言ったのである。

しかし、それから10年近く経った頃、中学生だった私は母に懇願されてグレード試験を受けることになる。6級だったと記憶している。

さらにそれから15年ほど経った頃、社会人になってからエレクトーンを再開した私は、あることがきっかけで自らグレードを受けるレッスンを受けることになる。5級と4級を続けて取った。

本物の楽器の音を模した音の出る物体であるエレクトーン。それを楽器として普及させ、販売システムを作り、このグレード試験システムという名の行き先の無い(なんの職業にも繋がらない)課金システムを開発したヤマハは天才なのではないかと、今になって思う。

しかし、そこから受けた恩恵は計り知れない。複雑な気持ちである。


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