つわりに関わる栄養素6選【②対策編】
こんにちは、管理栄養士のにちです。
この記事では「悪阻をただ耐えるだけは嫌だ!悪阻を少しでもいいからなんとかできないのか!」という想いから、私がつわり中に調べた栄養に関する研究データや実践した事などをもとに、つわりの緩和方法【栄養素編】をまとめました。
絶賛悪阻中…少しでも症状を緩和したい
これから妊娠を考えているので事前に対策したい
つわりの緩和に良いとされる栄養素があるなら知りたい
という方の参考になるかもしれません。
現在考えられているつわりの原因・つわりが悪化しやすい体質などについては下記の記事をご参照ください。(原因編を先に読んで頂いた方が分かりやすいかも)
つわりの緩和に関連のある栄養素
前提として悪阻は解明されていない事が多いそうですが、下記の栄養素に注意したら悪阻症状が緩和したという事例もあるようです。
しかしあくまでも情報は参考に。実際の症状で気になることがある場合は必ず医師にご相談くださいね。
また食事が十分にとれない場合はサプリメントで不足分を補う事を検討しても良いと言われていますが、服用についても主治医にご確認ください。
ビタミンB6
ビタミンB群の1つであるビタミンB6。
日本産婦人科ガイドライン2020ではビタミンB6の摂取がつわり症状の緩和に有効性を示したというデータも報告されています。
ビタミンB6推奨量(18歳〜49歳女性)
非妊娠時:1日1.1mg
妊娠中:1日1.3mg
授乳中:1日1.4mg
<はたらきと不足による影響>
女性ホルモン エストロゲンの代謝
たんぱく質の代謝(皮膚・髪・造血・胎児の成長などに関与)
⇒肌荒れや成長などに影響
脂質の代謝、糖質の代謝サポート
⇒エネルギー不足による疲れやすさ、血糖値の変動による不調(吐き気・めまい・精神不調・動悸など)など
セロトニン・ドーパミン・アドレナリン・GABAなどの神経伝達物質の合成サポート
⇒不安感・イライラ・自律神経の不調など
免疫機能の維持
⇒カンジダなどの感染症
ヘモグロビンの合成など
⇒貧血症状
<つわりとの関連>
妊娠すると増加する『エストロゲン』という女性ホルモンの代謝や、たんぱく質の代謝(胎児や母体の成長・変化)に必要で、非妊娠時より必要量・消費量が増えると言われています。
しかし摂取量が足りないと、あらゆる代謝(たんぱく質の代謝や血糖値調節など)がうまくいかない=悪阻症状(吐き気・嘔吐・不安感・頭痛・めまいなど)が現れやすくなってしまうと考えられています。
<ビタミンB6を多く含む食品>
鶏むね肉
サケ、サンマ
バナナ
アボカドなど
※レバー、マグロやカツオなどにも含まれますが、ビタミンAや水銀量の関係があるので食べすぎには注意が必要です。
<わたしが使用したもの>
私はつわり時にビタミンB6は、葉酸やその他のB群がバランスよく摂れるサプリで服用していました。(B群は体の中で複雑に働いており、B6だけを摂取しても他が不足しているとうまく代謝などが進まない場合もあるため)
葉酸サプリについて詳しくはこちらの記事を。
マグネシウム
日本人のマグネシウム摂取量は年々減少しており、ほとんどの人が必要量を摂取できていないと報告されています。そしてマグネシウムの不足により、悪阻の症状が悪化するのではないかと考えられるケースも。
マグネシウム推奨量(18歳〜49歳女性)
非妊娠時:310mg〜320mg
妊娠中:350mg〜360mg(意外と食事からは意識しないと難しい・・・)
<はたらきと不足による影響>
300種類以上の酵素を活性化する働きを持ち、健康には欠かせない栄養素
筋肉の収縮
⇒こむら返り・足がつる・頭痛
神経の伝達
⇒精神的不調・抑うつ感・神経過敏
体温・血圧の調整
⇒妊娠高血圧・不整脈・動悸
骨の健康維持
⇒骨粗しょう症
糖の代謝などを行う
⇒血糖コントロール不良(めまい・吐き気・不安感など)、妊娠糖尿病
<つわりとの関連>
血液中のマグネシウムの量が不足していると悪阻症状が重くなる(血糖値のコントロール不良・身体の代謝不良などにより)可能性が高いと推測されています。
そして摂取不足による影響もありますが、妊娠すると生理的に血液中のマグネシウムが不足しやすい状態になるため、悪阻症状が強く現れている場合も。
補足|マグネシウムとカルシウムの関係
マグネシウムとカルシウムは体内では張り合い、お互いの効果を打ち消し合うように存在しており、血中カルシウム量が多すぎるとマグネシウムが不足する仕組みになっています。
日々の食事では意識しないと、カルシウムの摂取量に対して、マグネシウムの摂取量が不足しやすい傾向にあると言われています。(カルシウム量の多い乳製品を日常的に多量に摂取しているなどはより注意)
※ 妊娠中はカルシウムを多量摂取していなくても、生理的にカルシウム値が高い状態になるため、結果的に血中のマグネシウムが不足しやすくなると考えられています。
<マグネシウムを多く含む食品>
全粒穀物(玄米・オートミールなど)
ナッツ
海藻
大豆食品など
ちなみに便秘薬の『酸化マグネシウム』はほぼ吸収されず排泄されるため(下剤の働き)マグネシウムの補給にはなりません。
また酸化マグネシウム以外のマグネシウムサプリでも、飲むと下痢をしやすいという女性がとても多いので・・・なるべくサプリ以外からの摂取が好ましいかもしれません。
しかしどうしても不足している分をサプリで補いたいという場合は
カルシウムが入っていないもの
吸収率の高いビスグリシン酸マグネシウムなどの方がよい
下痢をしやすいため始めは50mg以下から。少しずつ増量していく。タブレットタイプが調節しやすいです
<わたしが使用したもの>
個人的には、高濃度のにがりで少量ずつの摂取が良かったです。
使用方法:コップ1杯の水やスープ・炊飯時などに2~3滴入れる(1日合計20滴程度)
普通のにがりでも良いのですが、マグネシウム量が少ないのでその分たくさん飲まないといけないので大変でした。
いやもう水も辛い!!!マグネシウムを多く含む食品なんて食べられない!!という場合は、マグネシウムは皮膚から吸収する事ができるので、マグネシウムオイルもよかったです!
におい悪阻対策に無香料のものがおすすめ。
ちょっといいお値段ですが、敏感肌・保湿力も欲しいという場合はこちら。
マグネシウムは筋肉を緩ませる作用もあるので、むくみや頭痛・肩こりが気になるところにぬりぬりすると楽になってよかったです◎
極力薬の服用は避けたいですからね・・・☺
また湯船に入れるよ~って方はお風呂にマグネシウムフレークを入れるのもGOOD!
我が家では冬は毎日入れています。かなり芯から温まります。
香りはないのでご使用の入浴剤と合わせても良し。残り湯洗濯もOKだそうです。
カルシウム
カルシウムは乳製品などの食品から比較的摂取しやすい栄養素。食事+サプリなどから逆に過剰に摂取してしまっている方もよくいらっしゃいますので注意が必要です。
カルシウム推奨量(18歳〜49歳女性)
非妊娠時:650mg
妊娠中:650mg
マグネシウムとカルシウムはバランスよく摂取することが推奨されています。
<はたらきと不足/過剰による影響>
骨や歯などをつくる
⇒不足すると骨粗しょう症
筋肉の収縮
⇒細胞の濃度が上がると体の凝り・頭痛など
血液凝固
⇒サプリで過剰摂取すると心疾患リスクの向上など
摂取過剰が続くと尿路結石/鉄・亜鉛・マグネシウムなどミネラルの吸収を邪魔してしまうので注意
<つわりとの関連>
妊娠すると生理的に高カルシウム血症になりやすい
=腸の運動が弱まる。胃液・膵液の分泌が増える。=吐き気や食欲不振・嘔吐・便秘・ガス貯まりなどの原因に。
血中のカルシウム値が高まると血中のマグネシウム値が低下してしまう
=頭痛・吐き気・嘔吐・めまい・肩こり・むくみ・低血糖・妊娠糖尿病・妊娠高血圧症などの原因に。
カルシウムを多く含む牛乳などの乳製品を摂取すると悪阻症状が悪化する場合も
<カルシウムを多く含む食品>
牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品
小魚
納豆・豆腐など大豆食品
小松菜、切り干し大根など
<わたしが使用したもの>
つわり中に使用したカルシウム製品については特になし。逆にカルシウムの入ったサプリメントは摂取しないようにしていました。
カリウム
ナトリウムとともに体内で活動をサポートしています。
カリウム目標量(18歳〜49歳女性)
非妊娠時:2,600mg以上
妊娠中:2,600mg以上
<はたらきと不足による影響>
細胞の酵素反応をサポート
⇒エネルギーの代謝などを調節
細胞の浸透圧を維持
不足すると⇒倦怠感、腸の運動低下など
<つわりとの関連>
妊娠すると赤ちゃんや胎盤などにカリウムが取り込まれ、血中のカリウム値が減少する
⇒腸の運動が低下=便秘や吐き気・食欲不振などの悪阻症状が現れやすくなってしまう
<カリウムを多く含む食品>
ジャガイモなどイモ類
野菜
果物
<わたしが使用したもの>
旬の果物をこまめに食べていました。個人的には下記で紹介するナトリウム(食塩)を一緒に摂取した方が、吐き気が軽減された気がしています。
ポテトが食べやすいという妊婦さんが多いのもカリウム・ナトリウムの関係なのかも。
ナトリウム
主に食塩に含まれるナトリウムは基本的にカリウムともにバランスを取りながら体内で働いています。悪阻症状にも関連があるかもと考えられています。
※食塩摂取目標量(18歳〜49歳女性)
非妊娠時:6.5g未満
妊娠中:6.5g未満
<はたらきと不足/過剰による影響>
体内の水分バランス調節
細胞の浸透圧を維持
摂りすぎると⇒高血圧・胃がんなど
不足すると⇒倦怠感・吐き気・食欲不振など
<つわりとの関連>
妊娠すると血液量が増える+血管を拡張するANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)というホルモンが増える
⇒血液量の増加にナトリウムの増加が追いつかない
⇒ANPにはナトリウムの排泄を促進する作用がある
=血液中のナトリウムが減ってしまい細胞のバランスが崩れる=悪阻症状の原因に
他にもナトリウムは嘔吐や食欲不振の症状などでより不足する場合あり。
低ナトリウムになっている状態で真水をがぶ飲みすると余計に浸透圧が下がるため悪阻の悪化に影響する可能性も。
<わたしが使用したもの>
ただナトリウムを摂るのではなく、一緒にマグネシウムなどのミネラルを補給できるような塩を選んで摂取していました。
塩はミネラル分が残っている天日塩がおすすめです。
料理には雪塩。
吐き気で食事を食べたくない時・つわりのピーク時はフルールドセルというフランスのお塩をガリガリかじってました(笑)不思議と吐き気が和らいでびっくり。粒が大きく結晶タイプで、さらさらのお塩より単体で補給しやすかったです。
塩素
こちらも主に塩に含まれる塩素。水道水にも含まれており匂いが気になるから除去しているという方も多いのではないでしょうか。水道水には消毒の目的で入れられていますが、実は体内では他の働きもしてくれているのです。
<はたらきと不足による影響>
胃液などに多く含まれ、消化を促進する
殺菌効果
不足すると⇒吐き気・食欲不振など
<つわりとの関連>
塩素が不足すると食べた物をうまく消化できなくなる
特にでんぷんが消化吸収できず、未消化のまま腸へ運ばれる⇒大腸でガスに変わってしまう⇒ガス腹・食欲不振・吐き気など悪阻症状が現れる原因に。
<わたしが使用したもの>
ナトリウムで紹介した塩と同様です。
妊娠初期に、塩分を極端に控えすぎると悪阻が悪化する可能性があるかもしれません。※医師より制限されている場合は指示を守ってください。
私はつわりの6週あたりから吐きづわり症状が重くなったので、塩分をしっかり補うようにしました。すると体調が安定する日が増え、嘔吐することもほぼなくなりました。最初から意識して不足している分は摂取しておけばもう少し穏やかな妊娠初期を過ごせたかもと少し思うほどです(笑)
おまけ|悪阻に関する本
専門用語がとても多く一般向けではないのかもしれませんが『悪阻なんてこわくない 安産のための手引き』という本がつわりについて詳しくまとまっているなという印象がありました。
この記事ではこちらの本に記載されている内容も参考にまとめています。
実際の研究データも掲載されているので、医療従事者の方、栄養士の方など栄養学や人体の構造と機能・代謝について知識がある方は手に取ってみると理解が深まるかもしれません。
もしくは妊娠する前の時間がある時に、ゆっくり用語を調べながら読むと良いかも(知人は悪阻中には読めなかったみたいです笑)
まとめ
つわりに影響する可能性がある栄養素
ビタミンB6
マグネシウム
カルシウム
カリウム
ナトリウム
塩素
栄養はバランスよくが基本ではありますが、つわりをなんとかしたい!という場合は特に上記の栄養素が足りているか見てみるとよいかもしれません。
私の場合はマグネシウムと塩分(ナトリウム・塩素)を意識して摂取するようになってからつわり症状が緩和したので、にがりとマグネシウムオイル・良い塩は手放せません🤣
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