ある日の夢

ぽつり、と。

僕は貫禄のある工場(こうば)にいました。あまり、工場(こうじょう)らしくない、鉄骨造で赤錆の多い、工場。
彼は長い足で工場内を進んでいきました。長い赤髪を揺らし、ブーツの硬い音をコンクリートに響かせて。
僕は彼をひたすらに追いかけていて、どんどんと先に行く彼を目で追って、階段を登り、いつからか高いところにいました。一体どこなのか、形容しがたいのですが、高いところにあるのに廊下のような雰囲気を感じました。閉鎖されているような、しかし広さを感じるような。

彼の左手にはいつの間にか黒いタバコが構えられていました。僕が必死に彼に追いついたのを見て、彼はケラケラと笑いながら煙を吐き出しました。
一目惚れでした。そんな姿が、僕の目にあまりにも魅力的に映り、手を伸ばしました。

すると彼はふっと体を後ろに逸らし、どこからか取り出した林檎をひとくち齧ります。
その途端に、彼の逸らした体がぐらりと倒れていきます。そして、不思議な感覚を抱かせたその場所から、彼は落ちていきました。
「僕はこうするって決めていたんだ」と、どこからか声が聞こえた気がしました。

ふと気がつくと僕は白い廊下にいて、大きな棺がいくつか無造作においてあることに気づきました。その棺は、僕が一度見たことのある棺で「彼が死んだ」とわかりました。
そうしていると、暗い色の正装に身を包んだ女性が、先程まで彼であった物を勢いよく棺に投げ入れます。
僕は彼だった物の顔を眺めようと、棺を覗き。


夢から覚めました。


すぐにスマートフォンを開き、夢の内容を検索しました。
どうやら、どれもこれも恋愛にまつわる夢の内容だったようです。
僕の人生において色恋沙汰があったのは随分前なのですが、運気が好転するようで、とても今後が楽しみです。

それにしても、赤髪の彼。素敵でした。
備忘録にお付き合いいただき、ありがとうございます。
それではまた。

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