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医療現場のパワハラで思うこと


医師の看護師に対するパワハラがいくつかニュースになっている。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1053754


されている場面を見たこともある。
看護師長としては、スタッフがそのような行動をされていた場合、医師に注意をするべきであるし、
実際にその医師の上司を通して注意してもらったこともあるが、すんなり解決とならない事例も多い。
 
その理由の一つが、少なくとも私の職場における医師から看護師のパワハラは
看護師側のミスやなんらかの技術の不十分さに起因することがほとんどだからだ。
そうなると、「言い方が悪いんだよね。でも、言っていることは間違っていないよね。」となってしまう。「でも」以降が本音なのだろう。
実際に、私がパワハラをしている医師について、その上司に伝えた際もこの発言をされた。
また、医療現場で医師から看護師へのパワハラは従来ずっと行われていたから、
「昔よりはましだよ。」となってしまうこともある。
そして、手術中や急変時など緊迫した場面では患者の生命に関わることも多いため、興奮した怒鳴ることがあっても仕方ない、と思ってしまう。実際にこのニュースも手術室での事例である。
 
それでも、私がパワハラが問題だと思う理由。
1つ目は、違法だから。
暴力をふるう医師は見かけないが、人格を否定するような発言を公然と行うような事例はある。
パワハラ防止のために、毎年一回オンラインで視聴する研修があるが、こういった全体研修は必要ではあるが、効果はあまりない気がする。
むしろ、今回のように実際に新聞などで報道される方が、効果的ではないかと思える。
 
2つ目は、パワハラをすることで、よい結果(患者さんへのよりよい医療の提供という意味)をもたらさないから。
パワハラをする医師の介助につく看護師、若手の医師は過緊張になる様子を何度も見てきた。
「頭が真っ白になる」と発言する人もいるし、実際に過緊張で滅菌手袋を装着してから行う手技をそのまま未滅菌の手袋で行おうとした場面に遭遇したこともある。
パワハラをされると思うと、観察した際の小さな気づき(それが後の異常の早期発見だとしても)
を伝えにくいということもある。「で?」「知ってるし。」などという言い方をされるくらいならば、記録は書くけれどそれ以上は伝えなくてもいいんではないかと思う。そして、そういう医師にかぎって、看護師の記録は見ていない。
 
3つ目は、パワハラをしたことで、された側が反抗的になり、本来すべき振り返りができず、結果としてそのスタッフの成長につながらないことがあるからだ。
ここ数年は、パワハラをする側に問題があるということは浸透してきている。
そうなると、本当は技術の未熟さや、なんらかのエラーがあったことがことの発端だとしても、「あんな言い方をされる筋合いはない。」とか、「もうあの医師の処置の介助にはつきたくありません!」などとなってしまう。感情論になるので、「どうしたら看護師として良かったのか」という点で論理的に振り返るには時間がかかる。
 
新年度になり、様々な医師やスタッフが混在してきている。
いまのところ、穏やかに毎日が過ぎているが、これが続くことを本当に願っている。
 






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