手のかかるルンバほど可愛い
忘れ物を取りに帰るとついさっきスタートしたばかりなのにもう止まっているし、侵入禁止区域に入っては身動きが取れなくなって助けを求めてくる。
かと思えば、部屋中くまなく綺麗にしてスマートに基地に戻るという完璧な仕事ぶりを見せてくれることもある、うちのルンバ。
もう、かれこれ3代目になる。
この3代目、歴代のルンバに比べても特に機嫌の良し悪しに波があるようで、
「ロボットのくせにメンタル安定してないとか、まったく信頼できないやつだな」と前々から思っていたのだが、
先日ついに、自力ではうまく充電できない体になってしまった。
接触不良なのか、おしりを手で支えておかないとちゃんと充電されない。
手で支える代わりにダンボール紙を挟んでみたりするけれども、すぐに充電を止めてしまう。
そして、時折手で刺激を与えてやると、また健気に充電を始める。
だから、私はずっとルンバの充電具合を見ながら必要に応じて手を差し伸べてやっている。
なんともまあ、だいぶ面倒くさいやつになってしまった。
修理に出せばいいんだけども、郵送するのが手間なのと、その間ルンバのない生活を送らなくてはならないのは、それはそれで心許なくて、まだ修理には出していない。
いっそのこと買い替えるかと検討するものの、そもそもスティック掃除機とお掃除シートでなんとかなるのでは?と思ったりで、思考は堂々巡り。
一向に行動に移さない私のせいで、うちの3代目ルンバをめぐる環境は改善されないままもう1ヶ月ほど過ぎた。
もしかしたら、ある日突然、それまでの不具合がなかったかのように充電できるようになる日が来るかも!という淡い希望を持っているが、まだその日は来ていない。もう来ないかもしれない。
きっともう愛想を尽かされてしまったのだろう。
私の言うことを聞かなくなったのは、ルンバだけではない。
スマホも気を抜くと充電器がスポッと抜けてるし、レンジは表記より長めに、だいたいプラス60秒加熱しないと十分に温まらない。
頼りにしていた食洗機は壊れた。修理の見積もりをお願いしたが、あまりの高額料金に恐れ慄き、すっかり手洗い派になった。
洗濯機はドラム式の乾燥機能が動かなくなって、とうとう縦型に買い替えた。
乾燥したりしなかったりのわがままに振りまわされることはなくなったが、宣伝文句の洗剤の自動投入機能がうまく働かないことも度々あり、結局手で計り入れ洗濯し直すこともある。
私の扱い方が悪いのか、私と電化製品との相性が悪いのか。
そこそこ手入れはしてるつもりなんだけど、なぜかどいつもこいつもわがままを言い出すようになった。
次は何が壊れるのかビクビクしながら、常に家電に気を使う私。
これだけ技術の進化した今の時代に、不便を増やしていく家電とは。その存在意義さえ疑いたくなる。
そんな便利なようで不便な家電生活を送っているのだが、これが不思議なことに、手が掛かればかかるほど、いらだちどころか家電たちへの愛着は日毎増していっているような気がする。
期待値が低いから、ちょっと良いパフォーマンス、つまりは正常な働きを見せてくれたりすると、ものすごく頑張ったように見えるのだ。
やればできるじゃん!すごいじゃん!
そう思えた瞬間、たまらなく愛おしい存在に感じる。
手のかかる子ほど可愛い、とはこういうことを言うのだろう。
もうだめかもしれないとなかば諦め、それでももしかしたらという一抹の望みに時折応えてくれる家電たち。
スマホが普通に充電できた時の喜び。電子レンジが表記通りの時間で温め完了できた時の嬉しさ。洗剤が自動投入された時の驚き。
その一瞬の奇跡を味わうために、あえて不具合を放置し気長に待つ私。
圧倒的成長とはほど遠い、非効率の世界である。
仕事でこんな非効率なことをしていたら怒られるけれども、そんな怒られ行為も家では上司も誰も見てないからできてしまうという、ちょっとした背徳感もある。
ということを、単身赴任中の夫に話してみるが、一向に伝わらない。何を言っているのか意味が分からないそう。早く修理に出せば?と言われる。
ですよね。私もそれが正しいと思う。
「何を言い訳をしてるんだ、ちゃんとメンテナンスしなさい」と心の中のもう1人の自分も言ってます。
安全に使用するためにも、早めのメンテナンスをするべきです。
これを書き終えたら、ちゃんとルンバの手入れをし、必要であれば修理センターに問い合わせてみようと思います。
さて、そんな非効率をもこよなく愛する怠惰な母から生まれたうちの中学生。
中間テストが終わったばかりだというのに、日曜の今日も一日中机に向かっています。
なぜなら、間違えた箇所のやり直しを明日月曜日に提出しないといけないから。
まあ、やり直しの分量の多いこと!!
しかも、間違えた要因をそれぞれの問題に対して分析し文章にして書かないといけないらしく、かなりめんどくさそうです。
「ちゃんと日頃から準備してテストを受けていたら、こんな面倒なやり直しも少なくて済む」という真実に気が付くのはいつの日か。
身をもって体験せねば納得できないであろうと思い、自ら気付ける日が来るまで気長に待とうと思います。
学習においては、時に非効率が発見をもたらすこともあるけれども、君の場合まだまだ効率を求めて良い次元だと母は思うぞ。
中学生、がんばれ!
(私も掃除がんばれ!)
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