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Queen全アルバムレビュー!


Queenのアルバム全部のレビューを書きまして(Made in Heavenは除かせて……)。Queenを聴いたことのない日本人、はさすがにいないと思うけど、アルバムで聴いたことのない人、昔聴いてたなあって方々にも!普遍的にも私的にも書いたので!ぜひ聴きながら、指標にしながら楽しんで頂きたいです!

また独自の採点基準を用意しまして、

聴きやすさ(クセの少なさ)
ハー度(どれだけハード、激しいか)
複雑さ(どれだけプログレ寄り、芸術寄りか)
テクニック(演奏技術は発揮されているか)
クオリティ(アルバム全体の質)

をMAX星7つで評価します!

長いですが一緒にQueenのディスコグラフィを冒険しましょう!!



1.Queen(1973)

B級感あふるる

記念すべき1stアルバム。邦題は『戦慄の王女』。同時代に名盤が多過ぎる為、批評家からはボロクソに言われたアルバム。
だが全く侮れる内容では無い。一曲目はハードロックど真ん中な名曲「Keep Yourself Alive」で、全体のクオリティも高く曲順も素晴らしい。少々プログレ、中々ハード、ちょっぴりサイケといった内容である。おちゃらけ曲が無い故かQueenのアルバムにしてはシリアスな方である。
ロックリスナーなら絶対好きな一枚。

聴きやすさ ★★★★★☆☆
ハー度 ★★★★★★☆
複雑さ ★★★★★☆☆
テクニック ★★★★★★☆
クオリティ ★★★★★☆☆


2.QueenII(1974)

2枚目にしてこの貫禄

プログレ・ハード路線完成形の名盤。五曲目までが神秘的なブライアン・メイ主体のSide White、それ以降がプログレ的かつ激しいフレディ主体のSide Blackである。
これを一番の傑作に上げる人も多い。全曲目玉のSide Blackのクオリティには誰もが唸るはずだ。アルバムの構成も完璧。
いやそのジャケットでBohemian Rhapsody入ってないんかい。

聴きやすさ ★★★★☆☆☆
ハー度 ★★★★★★☆
複雑さ ★★★★★★☆
テクニック ★★★★★★☆
クオリティ ★★★★★★★


3.Sheer Heart Attack(1974)

美しくはないけどパワーのあるジャケ

Queenのアルバムでは間違いなく一番ハード。名曲Killer Queen収録。ギタリストのブライアン・メイ節炸裂の激しさと上品さを兼ね備えるハードロックQueenの傑作であるが、一瞬ん?となる瞬間が。
この辺りから楽しいおちゃらけ曲が入ってくる。このアルバムではBring Back That〜がそれだ。八曲目のStone Cold Crazyはシンプルで激しく、疾走感があるのにQueenらしく、彼らの中でもトップクラスに私が好きな曲。
いやSheer Heart Attack(曲)は入ってないんかい。


聴きやすさ ★★★★★☆☆
ハー度 ★★★★★★★
複雑さ ★★★☆☆☆☆
テクニック ★★★★★☆☆
クオリティ ★★★★★★☆


4.A Night at the Opera(1975)

メンバーの星座がモチーフのデザイン

邦題は『オペラ座の夜』。この時期のQueenではかなり聞きやすい方。それまでほどのハードさはないがQueenにしか作れない様々な色を展開。
彼らのアルバムはとにかく曲順が良過ぎるがこの一枚もため息が出るほど完璧。さらに私がロックの名曲の中でも100点満点を付ける大名曲Bohemian Rhapsodyを収録。
クライマックスにふさわし過ぎるこの曲で幕を閉じるのではなく今までひどい評価を付けてきた自国の国歌God Save the Queenのカバーで締めくくるのも最高だ。青空を想起させる明るさ満載の名盤。これまたよく一番の傑作と言われる。
朝〜昼の空気感。その時間帯を狙って聴いてみては。


聴きやすさ ★★★★★★☆
ハー度 ★★★★★☆☆
複雑さ ★★★★☆☆☆
テクニック ★★★★★★☆
クオリティ ★★★★★★★


5.A Day at the Races(1976)

黒い方がかっこいいと思うんだ…

邦題は『華麗なるレース』。ジャケットを見てわかる通りこちらは前作の対となるアルバムで、どこか初期の頃の暗さや湿り気を感じる玄人向けの内容だ。ハードさはかなり削られ、ピアノが全面に押し出されている。とはいってもハードなTie your Mother Down、ゴスペルなSomebody to Loveなどとっつきやすい名曲も収録。
そしてラストを飾るのはTeo Toriatte(手を取りあって)。Queenなりの日本に対する特別な思いの表明だ。
日本語パートが終わった途端こいつ英語くそうめぇやん‪wとなるがフレディはめちゃくちゃ外人である。


聴きやすさ ★★★☆☆☆☆
ハー度 ★★☆☆☆☆☆
複雑さ ★★★★★★☆
テクニック ★★★★☆☆☆
クオリティ ★★★★★★☆


6.News of the World(1977)

レコード版のジャケを縦にして裏返すと…?

邦題は『世界に捧ぐ』。冒頭二曲を知らない日本人はいない。
時はパンクムーヴメント。若い聴衆は短かく複雑でない曲を求めた。よってQueenはこのアルバムでそれまでの豪華なハーモニーや複雑さを大幅に減らし、パンクだけでなく、当時勢いのあったダンサブルな曲調、さらにそれ以外の音楽とも自分たちの色をうまく融合させてみせた。フレディが自身のメロディセンスをまるで素材の活きる塩味で堪能してみろとでも言っているような自信に溢れている。
そして彼らは高らかに宣言する。We Will Rock You,We are the Champion.と。                  
Queenが皆のバンドとなった瞬間の一枚。かなり聴きやすいのでここから入門するのもおすすめできる。

聴きやすさ ★★★★★★★
ハー度 ★★★★☆☆☆
複雑さ ★★☆☆☆☆☆
テクニック ★★★★☆☆☆
クオリティ ★★★★★☆☆


7.Jazz(1978)

レコードに付録のポスターがやばい

代表曲Don't Stop Me Now収録というだけでも一聴の価値があるが、Queenはこのアルバムで時代が求めるシンプルな曲調にハードロックと唯一無二のコーラスワークを取り込むことに成功してしまう。
その結果、シンプルかつコーラスが美しくて、ハードで、ダンサブルな面もありつつメロディも素晴らしいというアルバムが爆誕した。わずかに勢いに欠けると感じる瞬間もあるが、そんなものを差し引いてもこのアルバムが持つパワーには時代や好みを左右しない凄みがある。
Queenど真ん中の作品。私の一番のお気に入りの一枚。
ちなみに全くジャズではない。

聴きやすさ ★★★★★★★
ハー度 ★★★★★★☆
複雑さ ★★★☆☆☆☆
テクニック ★★★★☆☆☆
クオリティ ★★★★★★★


8.The Game(1980)

一瞬パンクスと錯覚させるこのジャケもいい

1980年。同期のバンドが挫折していく中、80年代も生き残る力があることを堂々と見せつけた一枚。
全体の楽曲の質が高い上で、ダンスロックのクオリティが爆発。まさにこのアルバムの目玉曲Another One Bites the Dustもそれに当たる。さらに、得意な感情を揺さぶる歌モノ、少しずつ顔を出していた昔ながらのシンプルなロックンロールも時代に合わせて見事にブラッシュアップ。またQueenの中で一番ベースが活躍するアルバムでもある。
しかし、時たま聞こえる80年代全開サウンドエフェクトやシンセサイザーがはっきり言ってダサいので減点した。
身構えずにらく〜に聴けちゃうので一番聴く頻度は多いかもしれない。

聴きやすさ ★★★★★★★
ハー度 ★★☆☆☆☆☆
複雑さ ★☆☆☆☆☆☆
テクニック ★★☆☆☆☆☆
クオリティ ★★★★★☆☆


9.Flash Gordon(1980)

もうジャケがあちゃちゃな感じ

大コケした映画のサントラだが、どうやらオリジナルアルバム扱いらしい。見たことない映画のサントラにしては聞いてられる方だ。さすがQueen。
聞きどころはブライアン・メイのレッドスペシャルが美し過ぎるワーグナーの結婚行進曲のカバーとラストのハードなThe Heroだろう。  
え?フラッシュのテーマは?だって?いや、私なぜか個人的に滅茶苦茶あの曲が大嫌いなのだ。ギタ〜!!はやく来てくれ〜!!スーパーの生鮮コーナーみたいなシンセ〜!!どっか行け〜!!という気持ちで楽しめんこともない一枚。
そんな変態へ捧ぐ。


聴きやすさ ★☆☆☆☆☆☆
ハー度 ★★☆☆☆☆☆
複雑さ ★★★★☆☆☆
テクニック ★★☆☆☆☆☆
クオリティ ★☆☆☆☆☆☆


10.Hot Space(1982)

このジャケ目痛くなる感じで好きよ!あたし!

1stどころでない国内外の酷評を受けたことで有名なアルバム。だが私はそこまで酷いものにも思えない。殊に中盤までは普通に曲のクオリティも低くない。
ハードな瞬間もあったり、多くを占めるファンキーなリフと黒人感のあるメロディの絡みは普通にドラムくそおもんないAerosmithって感じである。
またロックの名フレーズのオマージュもあり、お前らもこっち側来いよぐらいのノリである。  
ただ中盤以降にそれは看過できんという時間があり、ハードなQueenが好きだった人だけでなくとも怒っちゃうだろう。それは80年代に魂売り過ぎだろ、と。
だがラストを飾るUnder Pressureはデヴィッド・ボウイとのコラボで文句なしの名曲。ロックファンに心の底からおすすめはしないが、聞かないのも損な一枚。


聴きやすさ ★★★★★☆☆
ハー度 ★★☆☆☆☆☆
複雑さ ★★☆☆☆☆☆
テクニック ★☆☆☆☆☆☆
クオリティ ★★★☆☆☆☆


11.The Works(1984)

もう完全に皆の知るフレディの見た目!

一曲一曲のクオリティは素晴らしい。だが過去の名盤のような曲のうまい繋ぎや個々の曲のジャンルが違っても、これがQueenのアルバムだからと言えるような統一感を感じることが出来ない。
メンバーの作る曲の方向性はバラバラで(実際解散寸前の超絶不仲の時期)、もはやハードなブライアン・メイの楽曲は超ハイクオリティでありながら浮いているとさえ感じる。
しかしフレディの作るメロディや、見事に使いこなせているサウンドエフェクトは秀逸で、強引にツギハギした感は否めないのにつるっと聞けてしまう恐ろしい一枚。
八曲目Hammer To Fallでのギターソロは痺れるほどの名演。

聴きやすさ ★★★★★★★
ハー度 ★★★★★☆☆
複雑さ ★★☆☆☆☆☆
テクニック ★★★☆☆☆☆
クオリティ ★★★★★☆☆


12.A Kind of Magic(1986)

実際そっち側の人が描いてくれたらしい

ジーニーのようなジャケットからもわかる通り、ディズニーミュージカルのような音楽といっていい。Queenのポップセンスはここまであったのかと70年代を振り返るほど驚く内容。  
ロックバンドのアルバムとしては…うーん。だが!前作のようなギスギス感は全くなく、全員が寄り添ったような温もりがある。
歌モノとしてはFriends Will Be Friendsが最高で、語るべきは前作収録のTear It Upのような7、9曲目。
Gimme the Prizeでは開幕VAN HALENを思わせる高速のギターソロ。新世代最強のギタリストに全く引けを取らない流石のプレイ。その次は屈指のゴミ曲(個人的見解)。                    
ラスト、Princess of the Universeではもう失ったと思われたハードロックバンドQueenを魅せてくれた。
Let's go!!の合図でドラムが暴れ、ギターが駆け回る。ロン毛の頃のようなフレディの熱唱。最後にこれを持ってくるあたり、ほんとこいつらは。
そしてこのアルバムでは通して確実に近づきつつある死を考えさせる。限りなくポップな切なさ。
彼は当時まだそのことを公表していなかった。

聴きやすさ ★★★★★★☆
ハー度 ★★★★☆☆☆
複雑さ ★★☆☆☆☆☆
テクニック ★★★★★☆☆
クオリティ ★★★★☆☆☆


13.The Miracle(1989)

これでいいわけないよね

まずこの激キモジャケットから内容の期待は出来ないだろう。おじさん4人がくっついて一体何が良いんだ。そんな激キモジャケの中身はというと、全体的に音像がなんかシュワシュワしている。
前半は黒人のポップス、LAメタル、ゲーム音楽だと思えば全然聞けるし、そういう面での複雑さを身に付けたか!と感心さえできる。
何ならI Want It Allはフレディの追悼ライブでギターにBlack Sabbathのトニー・アイオミ、ボーカルにThe Whoのロジャー・ダルトリーを迎えて演奏された名曲。
後述のラストの曲もそうだがハードというよりヘヴィな作風だ。そして問題は6曲目から。
ダンスできるポップス作れるし…せや!ニューウェイヴしたろ!て感じでニューウェイヴをやっているのだがこれがまあフレディとの相性最悪で、ニューウェイヴにしては曲が長過ぎ。  
これ含め以降はもうどこがどうダメとか言いたくない、言えないくらいの苦痛の連続。
許せなさで言うとHot Space(1982)なんかより断然許せない。永遠に感じるような20分弱、清々しく地獄だ。
そしてラストの曲でなんとか持ち返そうとヘヴィなギターをぶち込んで来るが、もうかっこいい音楽をやろうと頑張っているのはブライアンただ一人。孤軍奮闘だ。
そんな善戦虚しくこのアルバムは終わりを告げる。盛者必衰。
悪い意味で平家物語みたいなアルバムである。

聴きやすさ ★★★★☆☆☆
ハー度 ★★★★☆☆☆
複雑さ ★★★★☆☆☆
テクニック ★☆☆☆☆☆☆
クオリティ ★★☆☆☆☆☆


14.Innuendo(1991)

ジャケはプログレ感あってすき

時はあのSmells Like Teen Spiritリリース8ヶ月前の1991年。フレディはこのアルバムをリリースした年に死ぬので実質的なQueenのラストアルバムだ。
ど頭の表題曲にはあのネットミームでも超有名なプログレバンド、イエスの変態ギタリストのスティーヴ・ハウを迎え、暗い雰囲気の80sロック、フラメンコ、ラテンロックと面白い展開を見せる。そして、こんな数のクオリティの星だが決して悪いアルバムでは無い。
(((コソッ)))2、7、8、9曲目はすごくすっごーくゴミだお…。
だが!アメリカンなポップスの要素を取り入れつつ、ヘヴィさやメロディの豊かさ、そこに初期ぶりのプログレ魂を込めて放つトドメの一撃。
更にブライアン・メイは完全にヘヴィメタルのギターと唯一無二の自身のサウンドを融合させることに成功したことを音をもって示す。特に10曲目のThe Hitman。これがめちゃくちゃかっこいい。リリース当時もう彼は43歳。どこまで進化するんじゃこのロックおばけアフロ。
そしてなんと言ってもフレディのポテンシャルに最後の最後で再び驚かされる。1番ロックな歌唱とは言えないが、つんざくような高音と優しい低音、感情の込め方。もしかしたら彼のシンガーとしてのヤバさが1番わかるアルバムかもしれない。
さらに驚くべきは、もうこの時期のフレディは頬はミイラのように痩せこけ、その青白い肌には歯が浮かび上がり、目に見えて限界の状態だった。その様子の閲覧をオススメできないくらいだ。彼はボロッボロでラストアルバムに挑んだ。だがそれを全く感じさせない。むしろ満ち満ちたエネルギーでド派手に、楽しそうに歌っているのだ。
ちなみにこのアルバム、ドラムとベースクソです(言わせるなこんなこと!!!!!)。
その生涯は人を楽しませることに賭け続けたフレディ・マーキュリー。彼は今際の際までそれを忘れなかった。
他のメンバーだってそうだ。まだまだ新しい音楽を聞かせてやりたい、聞かせなければならないと叩きつける。

「何故なら俺たちはQueenだから!!」

おい、聞いてるか、全盛期過ぎたからって引退もせずにぬるいことばっかしてる金を無駄にするだけの雑魚ミュージシャン共!!
お前は果たして最期まで全力で音楽と向き合えるのか。ミュージシャンじゃないお前も、最後は消化試合みてえに生きて死ぬつもりじゃねえだろうな!

正真正銘最後の曲。フレディは、Queenは、こうピリオドを打った。

The Show Must Go On.
一度始めてしまったら、続けるしかないんだと。

聴きやすさ ★★★☆☆☆☆
ハー度 ★★★★★☆☆
複雑さ ★★★★★☆☆
テクニック ★★★★★★☆
クオリティ ★★★☆☆☆☆


ここまで読んでくださってほんとにありがとうございます!お疲れ様でした!!!!

いかがでしたか?Queenのメンバーの歴史を追ったわけではありませんが、なんかそれでも見えてきたものがありませんか?

それをQueen好きな友人だったり親御さんだったり息子さん娘さんとの話のタネにして頂ければ幸いです。

好評でしたらまたロックの名盤やアーティストたちについて書こうと思います!こんな長い記事にはならないと思いますが、ではまた会いましょう!

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