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映画の思い出♯1『くるみ割り人形』考えすぎる子供

映画にまつわる思い出

小学校の低学年くらいの頃。
父が出張で不在の時。
季節は冬で、クリスマスが近い頃だった。
普段着とは違う、少し可愛いスカートに、お出かけ用のオーバー(冬用コート)を着せられて妹と母と三人で出かけた。
外出するには、少し遅い時間。
母に連れられるまま、洋服屋を見たり、母が気になるお店をまわったりした。
夕食には少し早い時間だったが、食事をした。
お店はたまにしか行ったことがない、少しかしこまったお店だった。
外はどんどん暗くなり、子供ながらにそろそろ家に帰らなくてもいいのかと心配になった。
食事のあとに行ったのは、映画館。
私が子供の頃(昭和50年代)は、そんなに映画に行くような家庭ではなかった。
映画を観たいと母に言ったわけでもなかったのに、母は当たり前のように私と妹を連れていく。
「遅くまで外にいて、早く家に帰らないといけないのではないか」と、ビクビクしていた。

映画のタイトルは『くるみ割り人形』。
映画の背景・画面が全体的にうす暗く、人形がカタコトと動いている。
少し不気味な感じ。
耳年増で想像力豊かな子供だった(自分で言う)。
「綺麗な洋服を着せられ、おいしい物を食べて、映画までみて、このあと何か悲しいことが起きるんじゃないか」なんて、恐ろしいことしか頭に浮かんでこなかった。

母にそのことは言えずにいた。
黙って従うしかないと思った。
その後はタクシーに乗って、あっけなく帰宅。

きっと、父が仕事でいないので夕飯も作らなくていいと考えた母の息抜きだったのだろう。
考えすぎな子供だ。

映画の内容は、ほとんど覚えていない。
クリスマスが近づき、バレエ公演などで『くるみ割り人形』のタイトルを耳にすると、このエピソードを思い出す。

本やドラマ、三面記事の見過ぎな子供時代だったということか。

くるみ割り人形



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