統合するとは? 【人生工学 第Ⅲ部:実践の章 第12章①】

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では、早速!


第12章 統合する(インテグラル)

統合すると、次のステップに進む
あらゆるものは、+の性質と−の性質が統合されることでニュートラルになり、すると次元が上がり次のステップに進みます。

例えば身近な例で野球では、攻め(+的)と守り(−的)が”1巡”すると、次の”イニング”にいきます。さらに9回の”イニング”が完了して勝負がつくと、次の”試合”に進みます。

またポップミュージックでも、AメロとBメロで音を色々とつけて、感情の+と−を揺さぶった後、必ずと言って良いほど”間”を入れます。一瞬音がない、ニュートラルな空白を置いたところで次元を上げ、”サビ”に入って盛り上げるのです。そしてサビ(+的)の後には間奏という少し長めの空白(ー的)を用意します。それが完了すると、次の”2番の歌詞”へとステップが移り、また”Cメロ”(ー的)という変化で中和してから、最後にキーを上げたり、長めのサビとしてのラストを用意するのです。ラストには長めで歌詞のない”後奏”(ー的)を用意し、以上でもって”1曲”が完了します。あなたは次の曲ないしリピートという次なるステップに進むでしょう。このようにニュートラルになることで、綺麗に完結し、時に心が満たされます。

肉体的なところでいえば、”腹が減っては戦ができぬ”というのもまずは空腹を満たしてニュートラルにすることで意識を”戦”という次のステップに集中させるという意味になります。またサウナと水風呂は体の交感神経と副交感神経のバランスを整えることで脳をニュートラルにし、意識レベルを引き上げるとも考えられます。

このような「”意図的にバランスを揃えること”をあなたの人生に直結する心理的なレベルで行おう」と言うのが、人生工学が特に提唱する「統合」の手法になります。

”憑依”が全て!誰かに何かになり切り、”違う視点”を持つ

人生に満足し、後悔が少なくなるようにするためのインテグラル。その手法の答えと、「憑依」につきます。プライベートでも仕事でも、自分一人の中でも”憑依”が万能です。

理論的なことでいうと、今までの”自分視点”や”エゴ”(+的とします)から大きく離れ、今までにない他人の視点(ー的)に完全になり切ることで、しっかりと統合され、ニュートラルな視点に立つことができます。多くの人の意見や立場、深層心理がわかるのて、本質的な問題解決もできますし、表現の幅も広がり、自然と人格的な成長ができます。

実際の社会でも、男性の気持ちがわかる女性はモテますし、女性の気持ちがわかる男性はモテます。社員の気持ちが本当に分かる経営者は会社を大きくできますし、経営者の気持ちが本当に分かる社員は出世します。もちろん、そうでなくても上手くいくこともありますが、心理的な統合ができていると実社会でも上手くいきやすいはずです。

注意したいのは、これは「相手の立場になって考える」という手法とは、かなり近いですが大きく決定的に違います。「相手の立場になって考える」は2つの意味で不完全です。

1、相手の”立場”とは、「もしも私がAさんで、お金がない状況で部長という肩書きで、今こう言われていたら…」と、あいてのポジションの”いくつかの”条件に立って考えることになります。つまり、そもそも部分的な憑依をしようとしているのです。自然とその答えも「私だったらこうする」という、「私」の意識が残っている前提の答えになります。「憑依」というのは、価値観や過去の全ての知識と経験を踏まえて「なり切る」ことを目指しますから、「私」というものは完全に排除して考えようとします。もちろん完全になり切ることは簡単ではないかもしれませんが、それでも「なり切る」のを目指すことが憑依です。

「あの時、暴言をはいたAさんに憑依する」とは、Aさんになりきります。すると当然、「私はAさんですから、こういう理由で暴言を吐きます」ということになります。本当に成り切っているなら、同じシチュエーションで同じことをするでしょう。そして憑依すれば相手を深く理解し、そうしようとした理由や背景に気づけるはずです。

2、憑依とは”考える”だけのものではありません。
完全に憑依した状態では、まさにイタコさんのように、無意識のうちに相手の言動をなぞることになります。「考えた結果の言動」もあるかもしれませんが、多くは「なんとなく無意識にした言動」になるはずです。「相手の立場になって考える」の場合、まさに相手のポジションからある程度論理的に”考える”ことになりますから、無意識的な部分、感覚的な部分までは理解が浅くなってしまいます。
ですから「相手の立場になって考える」ではなく「相手になり切る」という意味で憑依を自選すると良いです。

具体的な憑依の方法

いきなりですが、どんな時やものごとにでも使える、万能の方法をお伝えします。この方法は万能で、小学生からでも実践できます。しかし少し大変で慣れないこともありますので、上手く出来なくても、試してみたことを喜んでください。繰り返すうちに必ず慣れて、いずれ深く憑依できます。なので”今回も1回でも多くチャレンジした自分”に感謝してあげてください。

事前の準備として、目を閉じながらイメージして、憑依したいものを明確にしてください「あの時、あの場所で、あの人やあの物になりたい。あの時はこういう形式で、あの人やモノはこういう感情だったはずだ。」と。初めは過去に強く感情が動いた瞬間をイメージし、試すことをお勧めします。人は感情を扱う扁桃体が揺さぶられると、しっかりと記憶してくれるので、きっと思い出しやすいはずです。慣れてきたら、いまこの瞬間のことでも、未来のことに憑依してもOKです。

憑依したいものを明確にしたらリラックスでき、邪魔が入りにくい環境を整えてください。静かなところに行ったり、イヤホンをしたり、暗いところにいくと良いですね。環境がある程度整ったら、実際のワーク開始です。

1、まずは目を閉じて息を吐き切り、大きく吸い込みます。この手法は、最後まで目を閉じることをお勧めします。「吸って、吐いて」を心で唱えながら深呼吸を繰り返して呼吸だけに集中します。それだけ考えていると、自然と自分の感情や雑念が沈んでいきます。

2、ある程度雑念が整ったら、大きく息を吸いながら目一杯伸びをします。同時に、自分の意識が、魂が幽体離脱のように自分の体をはなれ、他の人やものに入り込むイメージを持ちます。この時「他の人やものの着ぐるみを着る」イメージを持つと、なりきりやすいです。
あなたの心も価値観も、全てがなりきってしまいました。「なんとなく入り込めたな」と思えればOKです。

3、なりきったあなたは自問自答してみましょう。
・どんな景色が見えますか?
FPSゲームやVRをつけている感覚のように、完全に”他の人やもの”視点の景色をみてみましょう。
・どんな音や声が聞こえていますか?

こうして感覚ごと入り込んで行ったら、いよいよ本質的な質問をなりきった自分にします。

・いま、何を考えていますか?
・いま、あなたは何を大事にしていますか?
・いま、どんな感情ですか?
・いま、何を目の前の相手に求めていますか?
・いま、目の前の相手に、何に気づかせようとしていますか?

4、こうした相手への深い内面の思考/価値観・そして感覚を自問自答するうちに”本来のあなたへのヒント”や、”本来のあなたと同じ部分”、そして”相手への理解となる気づき”をハッと得られると思います。色々と自問自答し、”なんとなく気づけたな”と思ったら、また大きく息を吐いて伸びをし、「他の人やもの」から意識を抜け出し、本来のあなた自身に戻ってきてください。

5、戻ってきたら目を開けて、ノートやパソコン、スマホに気づいたこと、ヒントになりそうなことを書き留めてください。いつもより記憶は無くなりやすくなっていたりするので、早めに書き留めてください。一連の手法を通してのあなた自身の気づきや感覚を、とにかく書き出してください。

以上が万能の方法です。

慣れてきたら、ショートカットしたり、目を開けたまま行ったり、その場で行っていただいて構いません。

今回紹介したワークの中では一番しっかりと取り組む必要があるので、少し気力も使い、時間もかかると思います。しかししっかりと取り組めば、それだけ必ず大きな気づきがあるはずですので、ぜひ一度、騙されたと思ってでもやってみてください。

他にも「ただ相手の立場で考えてみる」や「相手が思っていそうなことを書き出してみる」「まずは小説を読む」など、部分的な場合が多いとはいえ、憑依につながる実践方法は様々あります。”普段の自分の考えや意識から離れる”時間を自分なりにとってみると、インテグラルが進んでいきます。

では、具体的にどんなときにこの手法を行うといいのでしょうか?

↓いよいよ、本編最後です↓



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