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映画 オッペンハイマーを観て



遅ればせながら、先日映画館で観てきました。お客さんは7〜8人といった感じでしょうか?

映画はアカデミー賞などを幾つも取ったと評判のようでしたが、最後のオッペンハイマーの苦悩を思うと、いくら戦争中で国からの命令とはいえ、取り返しのつかない恐ろしいものを作ってしまったなあというのが率直な気持ちでした。

また、その苦しみをトルーマン大統領に話したところ、原爆を使うかどうかは君には関係ない、決めるのは私だ、みたいな発言をされて。

どんなに優秀な頭脳を持っていろいろなものを発明したとしても、すべてそれは人間の使い方次第なのです。人間の心は神のようにもなれるし、悪魔のようにもなれるのです。

トルーマン大統領のような政治家は特に、哲学を学ぶべきでしょう。
ソクラテスとかプラトンのような普遍的な真理を追求するような学びを。

私は中学校で長年社会科を教えてきたので、戦争が契機となってさまざまな技術開発、科学の発展があったのも知っています。毒ガスの開発に対しての防毒マスク、戦車や潜水艦、爆撃機、爆弾、原爆などなど。なかには恐ろしい細菌兵器も。

でもそれらをどう使うかは人間次第なのです。オウム真理教の信者が起こした恐ろしい事件を忘れてはなりません。


そしてもうひとつ。
この映画では原爆の実験の場面はあっても、実際に広島、長崎に落とされた原爆については何ひとつ映像は出てきませんでした。被爆者は着物の柄が肌に焼き付いた、と説明があったくらいで、驚いたというか唖然としてしまいました。

アメリカでは、スミソニアン博物館での原爆展が反対されて実現できなかったこともあったけれど、映画ですらその様子を伝えられないのかと。

この映画は、アメリカでの侮辱的なできごとにより、日本での公開が危ぶまれましたが、やはり原爆の被害の事実はきちんとアメリカ人にも、いや世界中の人々に伝えなくてはいけないと思います。原爆の投下は戦争を早く終わらせ戦死者を減らしたなどと都合のいい解釈は通用しません。

そしてこの世界中で原爆の被害に遭ったのは日本だけ。しかもその後水爆実験でも第五福竜丸の乗組員が被爆して命を落としています。

日本人にできること、いや私にできることはなんだろうと改めて考えさせられました。

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