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未婚男は年金で5000万円損をする

あなたは、自分の平均寿命を知っていますか?

そんなの当然86歳ぐらいだろ。
ほとんどの人がこう答えるでしょう。
しかし、もしあなたが中高年で結婚したことのない男性なら答えは違います。
2020年のデータに基づくと、生涯未婚男性の平均寿命は、驚きの67歳です。

そう平均寿命より20年近く短いのです。

年金は平均2年しかもらえない

ここで気づいた方も多いと思います。国民年金や厚生年金など公的年金の受給開始年齢は65歳です。
もし平均寿命で亡くなるとすると仮定すると、結婚したことのない、未婚独身男性は、なんと年金を2年間しか受給できないことになります。
社会に出てから、長い人では40年以上も年金の保険料を納めてきたのに、平均で2年しか受け取れないのです。

未婚男の年金はたった400万円

驚きましたか?
ちょっと計算してみましょう。
仮に20歳から60歳まで平均月収30万円と仮定して計算してみます。
保険料は月収の18.3%です。半分を会社が負担することから、給料から天引きされる月の保険料は3万円弱(2万7450円)ほどになります。
この毎月の保険料を合算すると40年で1300万円を超える大金です。しかも、この中には会社負担分が含まれていません。会社負担分を人件費と考えると、実際の負担額は倍の2600万円を軽く超えます
一方で、受給額の方は、厚生年金の一般的な受給額である月16万5千円程度だとすると年間で192万円です。平均寿命を67歳として、2年間しか受給できないとすると年金の受取総額は400万円程度です。
そうです。40年間で総額1300万円の負担で給付は400万円です。会社負担分も考慮すると、2600万円の負担で400万円しか受給できません。
もしあなたが自営業などで国民年金の場合には、年金の保険料の総額は、40年で815万円です。受取は、月6万5千円、総額で156万円にしかなりません。やはり大幅なマイナスです。

既婚男性は年金3000万円超受取

一方で結婚している、既婚男性の平均寿命は約82歳です。
ちなみに、もし収入が一緒なら、既婚男性も未婚男性も年金の保険料は一緒です。

既婚男性の場合には、1300万円の負担で、3000万円以上の年金を受け取ることが出来ます。
また既婚者ですので、奥さんの年金も受け取ることが出来ます。
奥さんが専業主婦の場合には、悪名高い第三号被保険者で保険料負担はありませんから、奥さんの月6万5千円ほどの年金がまるまる受け取れます。また女性の方が長生きですので、更に受取額は膨らみます。

夫婦合算で4000万円

奥さんが専業主婦の場合は、国民年金の3号被保険者になり、毎月の保険料は免除されています。夫がサラリーマンで妻が専業主婦の女性が、月6万5千円の基礎年金を既婚女性の平均年齢である約79歳まで受け取った場合、受取額は合わせて1000万円を超えます。
旦那さんの分と合わせて、既婚者の夫婦の場合だと、受取額はなんと4000万円を超えることになります。現役時代に支払った保険料の1300万円を差し引いても、余裕で2000万円越えのプラスです
さらに妻が夫より年下の場合が多いでしょうから、その場合には、夫が亡くなった後に遺族年金が受け取れる場合が多いです。

既婚の夫婦が支払保険料を大きく上回る総額4000万円以上の年金を受け取れる一方で、生涯結婚したことのない独身男性は、1000万円近く損をすることになります。
その差額は驚きの3000万円を軽く超えます。

旦那が死んぬと嫁は6000万円丸儲け

更に驚きのデーターがあります。それは、旦那さんが亡くなった後の女性です。その平均年齢は91歳を超えます
嘘ではありません。旦那が先に死亡した場合には、残された嫁の寿命は平均で91歳なのです。100歳を超える場合も今や珍しくありません。

もし会社員と専業主婦の夫婦だった場合、旦那さんが81歳まで生きて、その後、残された奥さんが91歳まで生きた場合には、奥さんは自分の基礎年金に加えて、旦那さんの厚生年金から基礎年金を除いた額の約四分の3を遺族年金として生涯に渡って受け取れます
仮に妻と夫が同い年の場合では、夫の平均寿命の82歳と死別妻の平均寿命の91歳の期間である9年間にわたって遺族年金を受け取れます。
この場合、夫婦合算の年金受取額をざっくり計算すると6000万円を超えます。
もし年の差夫婦で、妻の年齢が夫より低い場合には、より長い期間に渡って夫の遺族年金を受け取れることから、受取額は更に膨らみます。

受取総額の差は5000万円以上

つまり、既婚と未婚の男性会社員が、同じ会社で同じ給与を受け取っていた場合で、支払った年金保険料が同額の場合でも、生涯未婚男性が400万しか年金を受け取れない一方で、既婚者夫婦の場合には、最大で6000万円を超える年金を受け取れるのです。
これは受け入れがたい不平等ではないでしょうか?

消費税も見方によっては不公平

未婚男性が搾取されているのは、年金保険料だけではありません。
今の年金制度では、国民年金の支給額の半分が税金で支払われています。国民年金に関しては、少子高齢化の影響から、20年前の時点で既に破綻状態でした。そのため小泉政権のときに、有名な”年金100年プラン”で税による補填が決まりました。
そしてこの国民年金の不足分を補っているのが”消費税”です。そう考えると、生涯独身男性は、”年金保険料”に加えて”消費税”でも搾取の対象になっていると考えることもできます。

シングルマザーも搾取

ちなみに今の公的年金制度で搾取されているのは、非モテ障害未婚男だけではありません。一番の被害者といえるのは、シングルマザーかもしれません。
シングルマザーに関しては、同じ子育てをしているにも拘わらず、サラリーマン専業主婦妻のような優遇策がほとんどありません。
もし非正規雇用で(大半がそうだ)子育て中のシングルマザーの場合でも、国民年金保険料を満額支払わなければならないのです。しかも受け取れるのは、国民年金の月6万5千円程度だけです。

働く女性も搾取

シングルマザーと同じように働く女性も搾取の対象になっています。夫の扶養を超えて収入がある場合には、満額厚生年金や国民年金の支払いが必要になります。また健康保険や配偶者控除なども受けられません。
また夫と合わせた世帯年収が多い場合には、子供の高校無償化やもろもろの子育て支援が受けられない場合が多いようです。

生涯独身男性が三分の一に

この許容しがたい未婚と既婚の差が生まれた理由は、年金の制度が、ほぼ全員が結婚することが当たり前だった昭和時代に作られたためです。当時はサラリーマンの夫と専業主婦の妻の組み合わせが家族の大半を占めていました。
しかし今や男性の生涯未婚率は25%近くになっています。また近い将来には30%まで上昇するとの予測もあります。
つまり全男性の三人に一人が「生涯未婚」という社会がやってくるのです。

今の年金制度は”憲法違反”?

この話を読んだ多くの人が、結婚できないのは本人の努力不足という考えを持ったかもしれません。それはそれでいいでしょう。
それでも最大で5000万円を超える格差がある制度は、既に公的な保険制度としては破綻してます。
考えようによっては、「法の下の平等」を定めた憲法違反と言えなくもないでしょう。

独身男性の年金を選択制に

公的年金制度にこれだけ巨大な格差があり、生涯未婚男性の搾取が行われていることは、法の下の平等を唱える民主主義国家として許容しがたいものと考えます。
少なくとも”既婚未婚””男性女性”の平均寿命をもとに、生涯未婚男性の年金保険料を”減額”すべきでしょう。
または、40歳または50歳で未婚の男性の場合には、年金制度そのものからの脱退や保険料の支払い免除を認めるべきではないでしょうか。
また、それでも20歳代から40歳代(または50歳)まで年金保険料を支払っているのだから、例えば50歳時点で未婚の男性には、年金の受給の受給開始年齢を50歳代に繰り上げるなどの特例が認められるべきと考えます。


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