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スティンザーで並走する

たとえばドライブ中に
互いに目を合わせることなく、
同じ方向をみて日頃言えないことを伝えてみる。

正面で向き合わず、敢えて横並びに座り、
同じ場所と時間に身を委ねつつ
ゆるゆると思いを共有してみる。

すると 、視線から切り離された
いわば圧の無重力空間が生じる。
そこに本音をさらけ出せる瞬間があるのだ。

アメリカの心理学者スティンザーは、
向かい合う相手は、反対の主張やライバル意識を持ちやすく、
横並びの相手は同じ岸同士、同情や共感が得やすく仲間になってくれる可能性が高くなり、
斜向かいの相手は衝突が起きづらく、穏便に話を進められる、
といった現象について研究・発見した。
ビジネスシーンや恋愛においても多用される原理だ。

アイコンタクトをとり対面で話すことも
もちろん手段のひとつではあるが、
普段聞けない話を受けとったり
言いづらいことを伝えようという時は
敢えて目線が合わない空間が
心のクッションになる。

とりわけ親子で話をする時、
母親の立場にいる時も
娘の立場でいる時も
ドライブしながら話すのが好きだ。
流れる景色に目を遣りながら、
前進していく車内にいると
不思議と取り残される感じがしないし
沈黙もまた気にならない。

打ち明け話の「あのさ、」が聞こえてきても
前のめりにも深刻にもならず、
いくらでも続きを待てるくらい
心がフラットでいられるのだ。

隣から耳は傾けているけれど、
景色をみているから構えないでいいんだよ。
あなたのペースで、話の続きを
思うままに進んでごらん。
つかずはなれず、そばにいるよ。

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