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雪組観てきた話。

 今日は、小学校からの友人と東京宝塚劇場で雪組さんの『Lilacの夢路』『ジュエル・ド・パリ!!』を観てきました。私の中に贔屓という概念があまりないので、基本的にどの組も満遍なく観るタイプです。今回は謎にS席ですが8列というなかなかの良席でした。
※以後、深い話はしていないと思いますが多少のネタバレを含みます


 まず、珍しいなと感じたのはやっぱり2番手3番手あたりが悪役じゃないことですよね。基本的に起承転結がしっかりしている大衆演劇において困難=悪役という構図が多くて、悪役がいい役である確率が高いですよね。そうなるとやっぱり2番手か3番手が悪役になる確率が高い気がします(ロミジュリのティボルト、スカピンのショーヴランのような)。
 私は芝居は主人公より、主人公の周りや脇役の配役が重要であると信じてやまないのですが、今の雪組さんはトップスターの彩風咲奈さんの圧倒的スタイルもさることながら、朝美絢さんと和希そらさんが全てにおいて”良すぎる”というのが1番の感想です(ちなみに一緒に観劇した宝塚ハマりたての友人の贔屓様は朝美さんだそうです)。特に、私は和希さんが宙にいた頃に『プロミセス、プロミセス』を観てその演技力に圧倒された経験があり、今回もとても格好良かったなと。悪役をすれば憎いと思えるほど嫌いになれるし、善人をやれば愛されてやまないキャラクターになれる演技力は圧巻。声色や仕草にもキャラクターが浸透していますし、シンプルに歌もお上手で本当に素晴らしいなと。月並みな感想ですが。
 もうお一方、本当に素晴らしいなと感じたのは美穂圭子さんです。もうなんと言っても声色の使い分けが天才すぎます。私も人生のほとんど歌をやってきましたが、あれは職人芸すぎて真似しようとすら思わない「妖艶な魔女」と「子を思う母」の声の使い分け。ある時には闇に誘うような声で、ある時には優しく真っ直ぐな声で歌えるのは本当にすごかったです。素敵。
 1幕はとにかく、5人兄弟のわちゃわちゃ感と葛藤、恋愛模様を描いた感じで、個人的には末の弟が亡くなるところでわんわん泣きました。恋愛ものより、家族とか友情の物語に弱いですね。私は圧倒的一人っ子なので、兄弟が欲しくなりました。兄弟だからこそ共有できる感覚や、兄弟だからこそ生まれる葛藤があるんですかね。知らないですけど。私は基本的に演劇見るときは前情報なしで行くことが多いのですが、今回は無知すぎてプロイセンてどこの国?ってところからわかっていませんでした。
 この公演のポイントのひとつは誰もが知る有名クラシックをアレンジしていることだったかなと思いました。2幕も、宝塚オタク同じみの<すみれの花咲く頃><愛の宝石>など耳馴染みのある曲ばかりで楽しかったです。特に<愛の宝石>は一昨年のVERDADで聴いてから鬼リピしていたので流れ始めた時すごくテンションが上がりました。
 次に衣装。私は黒燕尾とスリーピーススーツの信者なのですが、黒燕尾(謎のスカーフみたいなやつがついていましたが)あってめちゃくちゃ幸せでした。最近の燕尾服はよくわからない色のことが多くて悲しいです。男役といえばパリッとした黒燕尾一択だと思っていたのですが、案外そういうもんじゃないんですね。ただ、黒燕尾に気を取られすぎてそのシーンの娘役さんの衣装をチェックしておくことを忘れてしまいました。娘役さんのすみれをモチーフにした衣装が色合いも形も可愛かったです。
 2幕の白と黒の衣装(モチーフは善と悪なのか、天使と悪魔なのか)のシーンあれめちゃくちゃ良いですね。朝美さん率いる白陣営と和希さん率いる黒陣営が彩風さんに纏わりつく(もっといい表現あった)感じでしたが、これもまた和希さんの天才的な表情管理と、指先まで洗礼された動きが素敵すぎて危うく泣きました。

 以上、今回の感想でした。私のこの感想を読んだところで何にもならないと思いますが、もしここまで私の独り言を読んでくださった方がいてくださったのならありがとうございました。

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