社会的接触が持つ報酬的な価値とは?脳内麻薬系の活性化に関する研究
人は社会的動物であり、他人と交流を持つことが喜びや充実感をもたらすことが知られています。しかし、そのメカニズムはまだ完全には理解されていません。今回は、「脳内麻薬系の活性化による社会的接触の報酬的な価値(The reward value of social contact via brain opioid receptors)」という研究について解説します。
親密度の高いパートナーと話すことで脳内麻薬系が活性化される
この研究は、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームによって行われました。
被験者には自分と話をするパートナーとともに座ってもらい、対人関係に関する質問に答える課題を行いました。
この課題によって、被験者は自分とパートナーとの親密度を評価し、親密度の高いパートナーと話すことで脳内麻薬系が活性化されることが示されました。
脳内麻薬系は、自然に報酬を得たり、快感を感じたりするための神経回路であり、オピオイド受容体を介して調節されます。
社会的接触は、脳内麻薬系を活性化させる
この研究では、社会的接触がこの神経回路を活性化させることが示され、また、オキシトシンが社会的接触によって放出され、脳内麻薬系の活性化に関与することが明らかにされました。
つまり、社会的接触は、脳内麻薬系を活性化させることで快感や報酬をもたらすということがわかったのです。
これにより、社会的関係が人間にとって非常に重要であることが再確認されました。
また、この研究は、自閉症スペクトラム障害やうつ病などの精神障害において、社会的接触に関する問題があることを考慮しています。
この研究結果は、これらの疾患の治療法にも役立つ可能性があるとされています。
また、この研究は、社会的接触が人間に与える様々なメリットについても示唆しています。
社会的関係が豊かであることは、ストレスを軽減し、免疫系を強化するなど、健康に良い影響をもたらすことが知られています。
以上のように、「脳内麻薬系の活性化による社会的接触の報酬的な価値」という研究は、社会的接触が人間にとって非常に重要であることを示しています。
今後は、この研究結果をもとに、さまざまな疾患やストレス対策、健康増進策などにつながる新しいアプローチが模索されることでしょう。
【参考文献】
Nummenmaa, L., Tuominen, L., Dunbar, R., Hirvonen, J., Manninen, S., Arponen, E., ... & Hari, R. (2016). Social touch modulates endogenous μ-opioid system activity in humans. NeuroImage, 138, 242-247.
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