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41【恋愛小説もどき×親友との思い出】

思わぬ形で弟は大阪に戻り、
再び私たちと生活することになった

父がいなくなってから、母は泣いてばかりいる
娘から見て
父は母のことを深く愛していたと思う

それなのに、なぜ?

父と母はまるで『美女と野獣』のようだった
母は若い頃美しく、芸能界にスカウトされたこともある程だった
一方、父は背は高いけど、それ以上に顔も大きく、
態度も大きく、、、
正直、私だったら絶対好きにならないタイプだ

父の古い友人が自宅に遊びに来た時、
初めて両親のなれそめを聞いた
父にとって、やはり母は高嶺の花だった
初めは全く相手にされなかったらしい
それもそのはず、母には当時、
すでにお付き合いしていた人がいたらしい
それを根気よく口説き落として、
何とか結婚に至ったらしい

父すごいな、どんな手を使ったんや
私は興味津々で、
父と母はどんな風に出会ったの?と聞いてみた
すると、、、

「・・・・・・・」

肝心なところで父の旧友は無言になり、
空気が悪くなってしまった
聞いたらいけないような出会い方って、、、

私は勝手に、母は水商売とかやっていたんじゃないかと思っている
父は自宅に人を招くのが好きだった
うちに来る男性の中には、
元々父の知人だけど、
母目当てで家に来るようになるパターンの人が結構いる
そういう男性達は、父がいない隙に積極的に母に話しかける
男性達の、母を見る目が何となく、嫌だった
姉弟で母目当ての男性が帰った後、その話で盛り上がる

「あいつ、お母さんのことエロい目で見てたよな、最悪」
「うちも思った!気持ち悪かったぁ!」
「母より若い娘が2人もおるのにな」
「ほんまに、それな!熟女好きかな?笑」

と盛り上がった後、
最後は何となく心が沈むのはなぜだろうか

母は来客者の名前、服装、趣味、細かい情報をきっちり頭に入れて、
来客者への細やかな気遣いも忘れない
「お父さんのお客様に、気持ちよく帰って頂きたいのよ」
と言うところが、なんかプロっぽく感じてしまう、、、

私は父に対して怒っている
父よ、はっきりいってあなたのしていることはダサい!
愛する女性を置いて、自分だけ楽になるなんて

お金の問題は、意外とどうにかなるものだ
父よ、あなたの負の遺産は将来全て精算できるのだ
それどころか、貯金だってあるんだから!
お金に苦労した者はせっせと貯金をするようになる笑
私たち姉弟の貯金の額、聞いたらちょっとびっくりするかもよ

父は賢いはずなのに、こんな未来がくることを、
どうして予測できなかったんだろう

父の最後の言葉は、次代への引継ぎのつもりだったのか
私は次代を担う者
人気と実力を兼ね備えた助産師になって
できるだけ多くの女性をサポートしたい
特にお金に困っている人、障害児の育児をする人、傷ついた人を
全力で応援したい

本当はこれからの私のがんばりを、父に見て欲しかった
いつも厳しかった父に、認めて欲しかった


さて、
私たちは感傷にばっかり浸っていられない
夢と希望を胸に抱き、
未来に向かって
強く、逞しく生きていくのだ!

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