言葉のすれ違いで擦れがちな人間関係
言葉で話していると、お互い正しく使っていても間違った伝わり方をしてしまう。
「10時5分前には準備を終わらせておいてね。」
この指示を受けた時、2つの解釈が生まれる。
・10時5分の前、大体10時くらいに準備を終わらせる。
・10時の5分前、大体9時55分くらいに準備を終わらせる。
普段わたし達が使っている「言葉」(自然言語)では、間違った使い方をしなくても、間違った読み方をしなくても思いが伝わらないことがよくある。
「あなたと二人で出かけるのは困っちゃうから、友達と一緒でいい?」
なんてサイアクで、きっとこれを女性から言われた男性は傷つくだろう。しかしこれを言った女性は「(好意があって)緊張するから友達の影に隠れたい。」と思っているかもしれない。
どんな言葉も真逆の意味で使えてしまう
言葉はしばしば真逆のものを表す。「前」や「先」はどちらも同じような意味で使われることが多いが、「この前の話」と「この先の話」では過去と未来になってしまう。「先んじて」だと過去の話だ。
言葉はこのように、使い手によって様々な意味を持つし柔軟な使い方ができると言える。このせいで誤解を生むけど、けれど言葉の良い特徴でもある。
カッチリと意味が決まっている言葉しか使ってはいけないなんて息苦しかろう。そもそもわたし達は辞書に載っている言葉の10%も知っているか怪しいんだから、意味通りにしか使っちゃいけないなら喋れなくなってしまいかねない。
会話のすれ違いの一因は「言葉の意味の揺れ」がありそうだ。
しかし、では同じ言葉、同じ意味で使っていればすれ違いは起きないのだろうか?
まずは同じ目線にそろえる
お互い「正しい」行いを目指して会話しているのに、どうにも話が通じないこともある。尊厳死は本人が哀れな姿を見せたくない気持ちに寄り添っているが、人間の命を意図的に断つなんて倫理的にありえないだとか。周りの困っている人を全員助けることは理想だけど、遅刻をしたり損をしたりしてしまうとか。
どちらも「正しい」世の中を目指していて、より暮らしやすい社会を目指しているのに喧嘩になってしまっている。お互い目指している場所は同じなのに、味方同士で争っている。
喧嘩の原因はきっと、「見ている世界」なんじゃないか。
2人はそれぞれ大事にしているものが違うんだ。正しい世界にしたいけれど、「正しい世界」が違っていた。家族が元気に生きている世界、お金に不自由しない世界、夢を自由に追える世界、「正しさ」なんて、有って無いようなものだった。
どうせ間違うなら端から聞かない方がいい
わたし達は恋人とカラオケに行って失恋ソングを歌うし、俳優はペットが死んでも愉快な役柄を演じ切るし、必ずしも口から出る言葉は心を表していない。
日常でも「もう嫌い」と言いながら好きでいたり、「あんな酸っぱいブドウはいらない」と言いながら羨ましがることがある。
言葉の使い方がそれぞれ違ううえ、更に裏腹な表現をすることも多い中でいちいち相手の「言葉」だけを見て振り回されてしまうのは疲れてしまう。思いもきちんと伝わらないだろう。
ただし、どんな言葉を使っていたとしても、どんだけ間違った言葉遣いをしていたとしても、その心はあるはずだ。その心は、普段のその人の延長線にあるはずだ。
いつも優しい人が急にトゲトゲしたり、一緒にいる友達が意地悪になったりはしないはずだ。
だから言葉を受け取るときはその心にだけ注目しよう。
「私の知ってるこの人なら、何を思って今喋っているんだろう。」
「私の知らないこの人は、なんで今その言葉を使っているんだろう。」
そうやって、言葉そのものは耳に入れずに思いを見て受け取ろう。
(追記)
相手の考えていることを理解するなんて、それこそ難しいじゃないか!!
と思うかもしれません。私も思います。
これを解決するための記事は、また今後投稿する予定です。
本記事はポッドキャスト『金曜夜の詭弁と妄言』を元に作成されました。
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