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ゴキブリと年金生活者

ごきぶりとわたくし


ゴキブリほど、嫌われている虫はいない。
だから、嫌いな人のことを陰口で「あの人はゴキブリのような人」と形容する。
よく見かけるのは、茶色のチャバネゴキブリと大型のクロゴキブリである。
夏になると、家の中に必ず現れる。
雑誌に「10年間ゴキブリを見かけない我が家の対策法」などの記事が乱れ飛ぶ。
わたくしには、10年間遭遇しなかっただけで、家の中にはゴキブリは潜伏しているだけとしか思えない。
まあ、いないと思いこんでいるのも良いかもしれない。
だから、10年間もごきぶりを見たことのない素晴しい環境に住んでいる人には話は通用しない。
普通の家庭で普通に過ごしているだけで、ごきぶりから逃れることは出来ない。

我が家は普通にごきぶりがいる

1年間に10回以上ゴキブリと遭遇する。
これは新築の時からずっと同じ。
ときには10回以下のときもあったかもしれない。
他所の家のことは良くわからないけれど、毎年、殺虫剤が普通に売れているところを見ると、
どこの家庭にもそれなりにゴキブリがいるということだろう。
ただ、複数匹で見かけることはない。
全部単独行である。
我が家のゴキブリは、かなりの孤独癖があるようだ。
クロゴキブリは、大方は庭から入ってくる。
庭の掃除をしていると、草むらにクロゴキブリをみることがある。
チャバネゴキブリは、半地下倉庫から台所の隙間を通してやってくる。
だから、隙間を無くせばゴキブリは入って来るわけがないけれど、
家屋の隙間をすべてなくすことは出来ない。
そんなことは最初から諦めている。
たまにはゴキブリも越境して人間世界を見てみたい心境は理解できる。
だって、人間ほど面白い生物はいないはず。
観察にはうってつけだ。

ゴキブリに遭遇したらどうするか

これが、セミやカマキリやバッタだったら、手で捕まえる。
わたくしの3年生の孫は、ゴキブリも普通に手づかみする。
でもわたくしは、ちょっと遠慮して掴まない。
つかもうとすればできるけれど、どういう気持ちなのか、ためらう。
で、大概は、サンダルで叩き潰すことになる。
サンダルはこの日のために、堅牢な叩きやすく叩いた後水洗いができるようにプラスチックのサンダルだ。
だから自宅では、サンダルはいつも履いている。
ゴキブリとの邂逅はまったく予測できない。
台所へ出没する回数が多いとはいえ、台所でずっと見張っているわけにはいかない。
ファーブルならできることが、わたくしには出来ない。
こういう時、自分は凡人だと痛感する。
ゴキブリを、こちらが認識してからの初期行動が運命を決める。
ゴキブリより、わたくしの方の動作が早いことが、良い結果につながる。
ゴキブリを発見したら、サンダルを脱いで、サンダルの底でゴキブリを叩くだけ。
あとはティッシュでサンダルのゴキブリの亡骸を燃えるゴミに収容する。
汚れたサンダルを風呂場で洗うだけ。
これで一件落着。
これがたまに続くと大変だが、大体一回に1匹が標準である。

うるさいことを言うよりやっつける

良く、うるさいことを言う人がいる。
ゴキブリをサンダルで叩くと、内臓が破裂してバイキンを撒き散らすと。
どこそこのアメリカの大学の結果だとか、権威主義的な記事だ。
大げさだ。
そういう意味不明なことを言っていると、遭遇したゴキブリは逃げてしまう。
逃したら最後、用心深いゴキブリは出てこない。
とにかくやっつけることが大切だ。

年金生活者の男子諸君のできることは少ない

女性はたいていゴキブリが嫌いだ。
だから、ゴキブリの駆除には男子は率先して取り組もう。
ゴキブリとの遭遇は、男子諸君の存在価値を高める絶好の機会だ。
その機会が年に10回も約束されているのは、神に感謝すべき。
ゴキブリを女子供が嫌うのは分かるけれど、
年金暮らしの男子はゴキブリの出現を自分の存在価値を高める喜びの時に変えよう。
男子の仕事として、確実に完璧にやり抜くことだ。
そうやって、ゴキブリを駆除した後の爽快感は、なにものにも代えられない。

やわな年金生活者にならないことが大切だ

若い頃は誰もが昆虫少年だった。
紅顔の美男子も年齢には勝てない。
それでも、自分の果たすべき役割は家人の前で発揮しよう。
かっては一家を支えたはずの力を再び発揮して、衰えていない力を見せようではないか。
ゴキブリに、心臓をパクパクさせているようでは長生きは出来ない。
ゴキブリに恨みはないけれど、家の中で共存するのは難しい。

旗じいの話を最後まで聞いてくれてありがとう。
夏になると、ゴキブリは話題の中心だ。
インターねとの検索数では、くわがたやかぶとむしを凌ぐと思われる。
特に、害を与える害虫ではないが、見た目だけで嫌われている。
見かけというのは、人間の社会でも虫の社会でも同じように大切だとつくづく思う。
もしかすると、わたくしも「ごきぶりじじい」と呼ばれているかも知れない。

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