ろぴお

毒親育ちの対人援助職。主に生活困窮者の就労支援に関わるカウンセリングやキャリアコンサル…

ろぴお

毒親育ちの対人援助職。主に生活困窮者の就労支援に関わるカウンセリングやキャリアコンサルタントを行っています。超箱入り娘が親になって七転八倒・八面六臂・荒唐無稽な20年の物語。

最近の記事

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想像と理解とゆるすこと⑪

父とサシでスシを食べた。 父と二人きりで食事をするのはいつぶりだろう。 記憶を辿っても辿っても思い出せる場面がない。 もしかして初めてなのか。 いや、母を介護施設に入居させた年に、施設からの帰り道、蕎麦屋に寄ったか…。 でもあの時は妹もいた気がする…。 どちらにしても『父と二人きりで食事をする』行為は私にとってはハードルの高い行為だった。 以前のnoteにも書いたが、若い頃の父は瞬間湯沸し器ですぐに手が出る父親だったので、幼い私にとっては『怖い』以外の何ものでもなく、

    • 想像と理解とゆるすこと⑯

      「ペットの猫が亡くなった時に、半身をもがれた気がした。」 生活困窮者の就労支援をする中で出会った言葉達。 その中で時々思い出すのが上記の言葉だ。 この言葉には続きがある。 「その失った半身を取り戻すために、働こうと思った。」 「ひきこもっていた20年の間、ずっと側にいてくれた猫が身をもってそれを教えてくれたのだと思う。」 その言葉を聞いた当時は、私は「なんて純粋な感情なんだろう」と感激して涙ぐんでしまった記憶がある。 しかし時間を経た現在思うことは、人とはそれほど大きな

      • 想像と理解とゆるすこと⑮

        この人は、私をお母さんに見立て、私に「ごめんね」を言わせたいんだ。 夫と対話ができない。 夫、52歳。現在メンタル不調により休職中。 彼がメンタル不調になるずっと以前から、夫とは対話ができなかった。 子育てをする中で、違和感はずっとあった。 子どもの教育や進路や体調のことを相談しても、彼は「俺は分からないから。」で終わらせた。 (以前のnoteにも書いたが) 「調べておくよ。」とか「先輩に聞いてみようか。」とか「病院に電話しよう。」とは言わなかった。 私は何度も対話

        • 想像と理解とゆるすこと⑭

          人に、心底甘えられない。 今日、私の体調不良を心配した、カウンセラーの師匠からメールをいただいた。 「いつでもあなたのことを、思ってるよ」という一文を読んだ瞬間、私は幼子のように声を出して泣いた。 みっともない。 泣くんじゃない。 母ならきっとそう言うだろう。 「あなたのことを、いつでも思ってるよ。」なんて、一度として言わなかった人だから。 「お母さん(親)のことを、いつでも考えていなさい。」という人だったから。 だから私はいつでもこうやって、一人で泣いて一人で考えて

        • 固定された記事

        想像と理解とゆるすこと⑪

          時代の尻拭い∼白旗宣言∼

          以前も書いたが、私は生活困窮者自立支援制度に基づく『就労準備支援事業』を受託しているNPO法人で、相談員として働いている。 (就労準備支援事業とは・・・様々な理由により直ちに就労することが困難な方に向けて就労に向けた準備としての基礎能力の形成からの支援を、計画的かつ一貫して実施する事業です。厚生労働省の手引きより。分かりづら…。) 現場で日々『様々な理由により直ちに就労することが困難』な方に接するようになって5年が過ぎた。 最近よく感じるのは、「この仕事は『時代の尻拭い』

          時代の尻拭い∼白旗宣言∼

          想像と理解とゆるすこと⑬

          熱中症になった。 我ながら自分の体力の無さに嫌気が差す。 グラグラと揺れる天井を睨み付けることもできずに、ただただ目を瞑ることしかできない自分が情けない。 怖い。虚弱体質で所謂「普通の子」のように通学できなかった幼少期に戻るようで怖い。 あの時も、今と同じように高熱でくらくらと揺れる天井をぼんやりと眺めることしかできなかった。 外に遊びに行きたくても、体を起こす事すらままならない。 ただじっと布団の上に横たわりながら、高熱で膨張する脳を頭蓋骨にかかえる。 時々目を開

          想像と理解とゆるすこと⑬

          想像と理解とゆるすこと⑫

          最近とみに考えることがある。「母は私に何を求めていたのか」 もう少し解像度を上げると「母は子どもにどんな人生を歩んで欲しいと願っていたのか」という問いになる。 私は母から”完璧”を求められていると強く感じていた。 彼女の思い描く”完璧な娘”。 テストは常に100点、スポーツでも校内トップクラス。 ピアノで音高に入学、音校→音大入学が無理なら早慶、妥協してMARCH。 就職先は一部上場企業、結婚相手は転勤族不可実家近隣在住もちろん一部上場企業勤務。 あまりにも分かりや

          想像と理解とゆるすこと⑫

          オープンダイアローグを語りきる

          今、ものすごい勢いでこの記事を書いている。 というのも、昨年私がまだ真っ白い霧の中に揺蕩っている時期に参加した 『オンラインオープンダイアローグ』で出会った仲間から、 今度は自分でオンラインオープンダイアローグを始めるというお知らせをいただいたからだ。(Home | karikakoi (jimdosite.com)) https://t.co/YBrN14MlYc このお知らせに触発され、私は今、「書くなら今しかねぇ!」という気持ちでこの記事を書いている。 私がこうい

          オープンダイアローグを語りきる

          自分の事だけ考えたい

          2023年夏、大学の同窓生に25年振りに再会した。 そして学生時には一度も旅行したことがなかった間柄なのに、何がなんだか分からないうちに2023年11月、15年振りの海外旅行、しかも初バンコク、しかもツアーではなく「ホテル+往復飛行機チケットのみ」という、完全に「子育てが一段落して空の巣症候群に陥ったアタオカおばさん達」がやりそうな、破れかぶれの旅をした。 でも、この旅行で私は発見してしまった。 「自分の事だけを考えていれば良い自由」というものに。 夫のことも、こどもの

          自分の事だけ考えたい

          想像と理解とゆるすこと⑩

          半年ぶりに母の面会に行った。 今月初旬、母の友人からクリスマスカードが届いた。 私宛ではない、母の名前が記入された封筒に入っているであろう、クリスマスカード。 誰にも気付かれずに捨ててしまうこともできたのに、私はクリスマスギリギリまで迷いに迷っていた。 そして一昨日、重い重い腰を上げてそのクリスマスカードを届けに行った。 母は居室でベッドに横になっていた。見ているのか見ていないのかわからないテレビが「もうすぐクリスマスですね!」とうるさかった。 「◯◯だよ、わかる?」

          想像と理解とゆるすこと⑩

          想像と理解とゆるすこと⑨

          あんなにも熱心にnoteを書いていたのに、最近放置気味。 継続は力なりとはよくいったものだ。耳が痛い。 書くことがないわけではない。書くことは沢山ある。だが書く体力がない。 仕事を理由にしてる、ってのもあります、はい。 継続しない理由はいろいろあるけれど、自分の中での「語り切った」感が大きい。 2か月前、夫の父が亡くなった。 夫の母は2年前に亡くなっているので、私は「義理の両親」という存在を失った。 人ってやっぱり死ぬんだな、死ぬと現実としてやっぱり存在しなくなるんだな

          想像と理解とゆるすこと⑨

          想像と理解とゆるすこと⑧

          「ママは可愛げがない。」 当時高校生だった子どもから言われた言葉だ。 当時の私の「全てを一人で抱え込みすぎてる」状態を「可愛げがない。」と評したのだろうと私は理解している。 衝撃を受けたが不思議と腹は立たず、「この子はすごい。」とすら思った。 親の一番痛いところを良くキレる鋭く長いナイフで確実に仕留める言葉。 そんな言葉を言えるだけ成長したんだな、と感慨深かった。 ただ、「そんなもんはキミを育てるために真っ先に捨てたよ。」とは思った。言わなかったけど。 夫がいつだか「や

          想像と理解とゆるすこと⑧

          想像と理解とゆるすこと⑦

          2022年12月。私は休職に入った。 父と妹に休職した旨を連絡し、介護施設からの第一連絡先を父に変更した。 その後は自分のケアに専念し、ひたすら寝た。 読書も大好きなBTSの動画視聴も音楽も何一つ楽しむ体力もなく、ひたすら寝た。 そして少しずつ少しずつ受信ができるようになり、身の回りを整えられるようになり、散歩に行けるようになり、友人と会えるようになり、四六時中夫と家にいることに耐えられなくなり、3ヵ月後に復職した。 今も介護施設からの第一連絡先は父のまま、母はあれから一度

          想像と理解とゆるすこと⑦

          働きづらさとは

          私は首都圏で働きづらさをかかえる人への就労支援を行うNPO法人に所属している。 働きながらキャリアコンサルタントの資格を取得したものの、大抵のキャリコン職は「実務経験3年以上」が必要で、それまで事務職の経験しかなかった私はどこも門前払い。 「実務経験無し可」の求人を出していたのが今の法人だったのだが、あいにく希望の職種はその年度は募集しておらず、1年待っての応募、そして採用だった。 今年で5年目。 1年目は端的に言えば「私の知らない世界」だった。目の前に現れる人は、超超箱入

          働きづらさとは

          想像と理解とゆるすこと⑥

          20歳になった子どもが、友人から誕生日プレゼントをもらっている。 ラジオが好きだからとマルチラジオスピーカーをいただいたたり、一年間の思い出を動画に編集してもらったり。「今日と明日は夕飯いらないよ~。」と、日々様々な友人と食事や遊びに出掛けていく。楽しそうだ。 嬉しい。子どもが色んな人から愛されてることが、その日々を楽しんでいることが、私ができなかった経験をしていることが、色んな世界を見て感じてまた世界を広げていくその姿が、嬉しい。 母は、私が楽しそうにしていると顔をしか

          想像と理解とゆるすこと⑥

          想像と理解とゆるすこと⑤

          「前は完璧なお母さんって感じだったけど、相談職に転職してから良い意味で変わったよね。」 先日、20歳になった子どもからの手紙にあった言葉。子どもによく言われる言葉。「ママは変わった。」。 ああ、この子もそう感じてるんだな、感じてくれてたんだな、あなたを二度と傷つけまいと、二度とあんな顔をさせまいと固く決心したあの日がそうだったんだよ、ごめんね、あんな顔をさせて。ごめんね、呪いをかけて。 嬉しさとありがたさと申し訳なさが交錯して、自分でも呆れるほど涙が出る。 8年前、子ども

          想像と理解とゆるすこと⑤