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北海道で居候をしながら旅をする

一週間ほど北海道で過ごしました。
今回の目的は以下の通りです。

・梅雨から逃げる
・友人宅に居候をする
・北海道の絶景を探す
・アイヌ文化の知見を深める
・60センチ超のニジマスを釣りたい
・旨いものを食う


【フェリーにて】

日本最大級の太平洋フェリー「いしかり」で北海道へ向かう。15時間の船旅です。
二等は片道6,600円(ネット早割)。利用客は大型貨物のドライバーやバイク乗り、旅する団塊の世代など。カーテンは全体を覆えないつくり。ドライバーさんはたいてい「入浴セット」の小さなプラカゴを脇に置いてリラックスしている。次回から真似したい。
沈む夕陽をボーッと眺めて感慨にふけったりする。
外海に出るとスマホが使えなくなるので、読書に集中できます。今回は「死の貝 日本住血吸虫症との闘い」を読破。腹に水がたまって異常に膨らみ、やがて動けなくなって死に至る謎の奇病の話。田圃にいる小さな貝に生息している寄生虫が農作業中に脚から侵入して、血管に入り込む。大量に増殖してやがて脳にも侵入するという恐ろしい病気です。先人たちの大変な労苦を知る。

【友人宅に居候する】

今回は十勝の友人Kさん宅に数日間居候。私の釣竿は2年以上オキッパ状態です。本州では不必要な60センチ超のニジマス用の大型フライロッド(米国オービス社製)。今回は大活躍するはずです。
わたくしめの寝床エリア。まるで我が家のようにくつろいでいる感じをわかって頂けると思います…。
洗濯機も借りる。図々しい私…。


【北海道の絶景を探す】

帯広駅のポスター。このような絶景を見てみたいのです。十勝平野と背後にそびえる日高山脈。
Kさんに相談。十勝平野に突出した剣山を一緒に登ることに。マイナーな山ですが眺望がよく地元の方に人気のようです。標高差は750m、往復7km 5時間半の行程です。
トワイライトゾーンに入ってしまったような怪しい雰囲気。ヒグマが出そう。

ヒグマ対策のカプサイシン入り撃退スプレーを持参。突然、上から黒くて大きい物体が突進してきたので、ホルダーに手をかける。「撃たないでください!」とトレイルランニングの兄さんは言った。(このときの様子を兄さんはYAMAPのブログに掲載していた。それによれば、この時の私はすっとんきょうな声をあげていたらしい…)
山頂の目前に試練が!心もとない細い数本のロープの下は、垂直の一枚岩です。「こんなキビシイ山とは想定してませんでしたよ」「うん、わざと言わなかった。どんな反応するか見たかった」とのこと。
ビビる私の様子をKさんは楽しそうに連写した。

剣山(1205m)山頂。残念ながら何の景色も見えない…。また急斜面の狭い場所だったのでくつろげる雰囲気はなかった。
剣が突き刺さるカッコいい山頂。脳内では「七人の侍」のテーマが流れた。
天気が良ければこんな感じなのでした…。「また挑戦しよう」とこころに決める。


さて、釣りをした日の午後、美しい「六花の森」を散策する。
森の中にコテージ風の小さい美術館があちこちに点在する。
なかでも坂本直行が開拓の傍らに描いた十勝の風景画は、荒々しい自然の中に温かみを感じさせるもので、大好きになりました。
坂本直行の絵は六花亭の花柄包装紙に使われています。
バイカモが揺らめく中を、オショロコマが走っていった。
森を歩き終えると、美術館のような純白の建物が現れる。六花亭製菓の中札内工場。「このような素晴らしい環境で作られた菓子をぜひ食ってみたい」と思うのであった。

【アイヌ文化の知見を深める】

「アイヌ民族博物館」が国立になったので行ってみた。
建物は大きく変わったが、展示物はあまり変わっていない印象。個人的には網走の「北方民族博物館」を推したい。

博物館で販売されていた書籍の中で、個人的に感銘を受けた一文を下記します。

彼らの身体が自然に対しいかに抵抗力が強かったかは、ほとんど今日我々の想像以上であって、明治初年私が幼少の頃の彼らの生活は驚嘆に値するものがあった。一例を挙げれば、熊祭の儀式は北海道の酷寒二月上旬で、必ず積雪数尺で温度は相当に下がっているときである。こんな日に戸外の儀式に素足のまま参加し、数時間にわたっても苦痛を感じる様子もなく、またこのため凍傷にかかるようなこともない。(中略) 山野を歩くにも足袋、靴などはなく、素足で千古の密林を駆け回っても擦り傷一つ負わない。
(中略)内地人もまた種々の事情から赤子をアイヌにくれることが往々あった。その児は純血の内地人であるが、彼らの家庭では実子同様に取り扱うので、結局言語、習慣、食物等も全然アイヌと同一である。粗末なアットゥシ一枚で寒さをしのぎ、深い雪の中を素足で歩いても平気である。

大正12年「アイヌの足跡」満岡伸一 


【60cm超のニジマスを釣りたい】

単独で川に入るときにはピストルをバンバン鳴らす。フェリー内に持ち込めるか、念のため船会社に確認した。「おもちゃのピストル、ですか?ええと、まわりの方がびっくりしたり、見えたりしないよう、ご自分で管理して頂けるなら、結構です」と電話口のお姉さんは言った。
札内川支流の戸蔦別川(とったべつがわ)。かつて30cmオーバーが連発したポイントが渋い…。
かつて一投一匹の魚影を誇った岩内川も渋い。誰かがこっちをずっと見てる…。
釣果は2日間でニジマス7匹。60cmオーバーにはほど遠く、すべて25cmを下回る無残な結果に終わる…。また挑戦したい。


【いろいろ食った】

六花亭の「大平原」。札幌大通公園のベンチにて。「触った時にバターが指に付くか付かないか」のレベルを探り、上限ギリギリまでバターを入れたと言われている。絶妙な口どけとバターの香り。
札幌の「やしろ」では、昆布〆熟成ネタの個性的な寿司を食う。
十勝の居酒屋にて。十勝清水産のニンニクの素揚げ。翌日の登山に備えてガッツリ頂く。食べても臭わない(たぶん)。
道内のコンビニには必ず置かれている高橋製菓(旭川)の「ビタミン カステーラ(115円)」。札幌の円山山頂で食う。賞味期限は3ヶ月と長い。そのため水分活性をかなり抑えているようで、口どけには大量の唾液を要する。これは「噛む」ことでおいしく食べれるのです。
セイコーマートのホットシェフ(店内調理)のおにぎり。剣山山頂にて。定番の「ベーコンおかか」で北海道らしい味を懐かしむ。おにぎりの奥は垂直の崖下です。
十勝で多店舗展開する満寿屋パンの「白スパサンド(240円)」。ツンとくるカラシがアクセントのマヨネーズが、細かく刻んだパスタにからまっている。牛乳は地元の「よつ葉乳業品」をセレクト。
帯広駅の「ぶたはげ」の豚丼。鰻丼をアレンジしたあっさりしたタレが炭焼きの豚肉とコメにしみこむ。いつもより食がすすむ。
六花亭の「マルセイ アイスサンド(260円)」。中札内工場のカフェにて。クッキー生地は提供の直前にのせているようで、水分移行が無くサックリしている。細かい配慮がうれしい一品。

【最後に】

という訳で、北海道で存分に楽しむことができました。

居候先のKさんは15年前に仕事を通じて知り合った友人です。

転勤族で釣り場を知らなかった私に、惜しげも無くあちこちの川を案内してくれました。

今回あらためて、楽しい時間や体験を一緒に過ごせる友人の有り難みを強く感じました。

「また近々山に行きましょう」と言われました。
今度は北海道の百名山を一緒に登ってみたいです。

ではまた…。

【後日追記】

一週間後(6/30)に、Kさんが再登頂して送ってきてくれた写真。





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