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#17 前十字靭帯損傷の秘密教えます 12リハビリ編ートレーニング前期

こんにちは!理学療法士のKE Iです!

はじめに

今回も前十字靭帯再建術後のリハビリについて記事にします。

それなりに歴史の長いACL再建術ですが、現在強い根拠のある標準的プロトコールは確立されていません。
一般的にはスポーツ復帰まで最短6ヶ月、標準9ヶ月としています。

移植腱の治癒過程に応じて4期に分けています。
回復期:術後6週まで
トレーニング前期:6週〜3ヶ月
トレーニング後期:3〜6ヶ月
復帰期:6ヶ月〜
※半月板損傷の有無や程度によっては遅らせることあり

今回は「トレーニング前期」について書いていきますので、最後までお付き合いください。

それではいってみましょう!


移植腱

トレーニング前期(術後6週〜3ヶ月)は、移植腱ー骨孔結合部の力学的強度が高まり、移植腱自体もリモデリングが活発に起きていると考えられています。
つまり強度が徐々に上がってきているということです。

そのため回復期より運動負荷を漸増していきます。
膝関節に対して剪断力、圧縮力の少ない自転車駆動や水泳などで持久力の回復を図ります。


筋力強化

この時期では回復期と比較しCKCトレーニングの割合を高めていきます。

しかし6週になったから何も考えずにおこなっていいわけではないので注意が必要です。
術前からおこなってきた膝への剪断力がかかりにくい動作ができていて、その上でやっとCKCトレーニングを積極的に進めていけます。

両脚スクワットが安定すれば、患側下肢の荷重を漸増して片脚スクワットへと移行していきます。
また移行期には患側下肢の荷重量が調整可能である、Bulgarian split squatやForward lungeなどが良いかと思われます。

Forward lungeは広い歩幅で踵から接地すると下腿が後傾位となり膝剪断力が発生してしまいます。
そのためこの時期では、短い歩幅で前足部から接地して適度な下腿と体幹の前傾を維持します。


姿勢制御機能の改善

ACL損傷の受傷時における姿勢として、膝関節の浅い屈曲、過度の膝外反や回旋、股関節内旋増加、体幹傾斜などがあります。
また再建術後の患者はジャンプ、スクワット、ランジなどの基本動作で左右非対称性を認める場合が多くあります。

術後リハビリテーションでは、これら基本動作の不良姿勢を回避する姿勢制御機能の獲得が重要になります。

片脚立位→スクワット→ランジ→片脚スクワット
このように徐々に運動学習を進めていくことが、わかりやすくて良いかと考えます。


衝撃吸収機能の改善

安定した片脚スクワットの獲得後は、modified drop squat(爪先立ちから下降し、踵接地の瞬間に膝を屈曲して停止する。これを繰り返す。)を両脚から開始します。

modified drop squatは膝関節への負荷が走行や跳躍の着地よりも小さいですが、踵接地に伴って膝関節伸展モーメントとパワーを発揮する衝撃吸収のメカニズムは似ています。
そのため練習としてはおすすめです。

正確な動作が獲得できたら、徐々に重心上昇の際のスピードを上げます。
股関節、膝関節、足関節の機能を高めていきます。


まとめ

今回はACL再建術後トレーニング前期(6週〜3ヶ月)におこなうべきことを記事にしました。

★ポイント
筋力強化と姿勢制御は、両脚から片脚支持へ徐々に移行する
片脚スクワットの姿勢制御機能を徹底的に改善する
膝関節の衝撃吸収機能をmodified drop squatで評価、トレーニングする

本日はここまで。
別の記事で術前のリハビリについても触れていますので、興味があれば覗いてみてください。

本記事をご覧いただきありがとうございました。
ほかにもACL関連や変形性膝関節症などの記事もありますので、よろしければ読んでみてください。

次回もお楽しみに!

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