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#6 前十字靭帯損傷の秘密教えます ①機能解剖編

こんにちは!理学療法士のKEIです!

はじめに

今回から膝関節を支える上でとても重要な靭帯である、前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament:ACL)についての記事を書いてみます。

複雑ですが面白いことの多いテーマかと思います。
書きたいことがたくさんあるので、変形性膝関節症と同様に複数回に分けて話を進めていきたいと思います。

初回は基本的な機能解剖についてまとめていきます。
ぜひ最後までご覧ください。
それではいってみましょう!


前十字靭帯の解剖

ACLは人体の中でも珍しい関節内靭帯になります。
バラバラで考えると分かりにくいので表にまとめてみました。


1  右下肢大腿骨付着部


2  右下肢脛骨側付着部


表を確認しながら解剖書をみると分かりやすいかもしれません。
ぜひご活用ください。


前十字靭帯の機能

主な機能としては脛骨の前方亜脱臼を抑制です。
代表的な整形外科的テストとして、Lachman testや前方引き出しテストがありますのでイメージしやすいですね。

二次的に下腿回旋や膝内外反の制動もおこなっています。
こちらはpivot shift testが該当します。

線維束の機能分担

線維束による違いは上記のようになります。
軽度屈曲位(20〜30°)で切り替わると言われています。


前十字靭帯の強度

正常ACLとグラフトとして用いられることの多い膝蓋腱、ハムストレングス腱の強度を破断荷重として比較してみましょう。

破断荷重
(英語:Breaking Load)

破断荷重とは、引張、圧縮、曲げ、ねじり試験において、破損を引き起こす荷重のこと。繊維や糸の引張試験では、破断荷重は破断強度とも呼ばれる。薄膜や小径ワイヤーの引張試験では、破断荷重と最大荷重の区別が難しく、最大荷重を破断荷重とみなしている。
インストロンジャパン

上記は腱の単独での強度になります。
ではACL再建の際に用いられる多重束はどうでしょうか。

このように再建の際には、正常ACLよりも高い破断荷重を誇るグラフトを使用しています。
ただここで注意しなければいけないのが、グラフトの強度は再建直後から一度急速に低下するという点です。これについてはまた別の記事に書こうと思っています。


まとめ

いかがでしょうか。
人の体の中では小さい靭帯ではありますが、知っておかなければいけない情報の多さに驚くと思います。
ACL再建に関わっている人はもちろん、そうでない人にも興味を持っていただければと思います。

今回はここまで。
次回は前十字靭帯の受傷機転についての記事を書いてみようと思います。

本記事をご覧いただきありがとうございました。
次回もお楽しみに!

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