見出し画像

アパホテルはなぜ「現金キャッシュバック」を行うのか

アパホテル。出張経験のあるビジネスパーソンなら、一度は泊まったことがあるであろうホテル。都心部であれば、見上げればアパホテルの看板が見えます。

私自身、東京のクライアント先で打ち合わせをする際、アパホテルはよく利用しています。クライアント先に行く頻度が多すぎて、昨年の8月末からアパの会員になって、気づけば会員ランクは5段階中、上から2番目の「Executive」になっていました。年間20泊以上すると、このグレードになるみたいです。

ちなみに1番上のランクである「President」は、年間50泊以上かつ30万以上を利用した場合のようです。さすがにアパホテルでそこまでの宿泊回数と利用金額を達成できる人は、そうそういないでしょうが。。。

話はさておき、アパホテルは5,000ポイント貯まると、フロント受付で現金5,000円をキャッシュバックしてくれる制度があります。もちろんポイントとして、アパホテルの宿泊料金から割引くこともできます。

現金キャッシュバックとは太っ腹だなと思いながらも、「なぜアパホテルは現金のキャッシュバックをしているのだろう」と考えるようになりました。通常であれば、貯まったポイントは、次回の支払い金額から割引する用途でしか使えない場合がほとんどです。

これは再訪を促す方法としては定石で、ポイント制度を導入している企業では、よく見かけます。しかしアパホテルは現金キャッシュバックを行なっている。これはなぜか?少し考えると一応納得できる理由はみつかりました。

アパホテルの「料金を支払うのは宿泊者本人ではなく会社」だということです。ここが今回のポイントです。

会社勤めのビジネスパーソンであれば、出張にかかる交通費、ホテルなどの宿泊費は会社が支払います。これは当然です。

宿泊費を会社が払うのなら、宿泊者本人は最低限の条件(ホテルが綺麗とか立地条件が悪くないとか)さえクリアしていればどこでも良いわけです。もちろん会社も経費として処理しますので、値段の指定はあると思います(ホテル代は、1万円以内で抑えてね的な)。

そうなると宿泊者本人がホテルを選定する時、以下2つの基準からホテルを探すことになります。

  • ホテルの質が良い(部屋が綺麗・ルームサービスが良いなど)

  • そのホテルに宿泊することで、宿泊者自身に何らかの形でメリットがある

ホテルの質という面では、そこまで大きな期待はできません。何せ会社の経費で宿泊するのですから、金額上限が必ずあり、よほどの金額でないと「ホテルの質の差」を感じることができないからです(1泊5,000円〜10,000円の価格帯なら、そこまで大きな差がない)。

もちろん上記金額を超えたホテルでも泊まって良いという気前の良い会社であれば話は別です。それならホテルの質を感じることができるでしょう。

しかし世間一般の会社はそうではありません。無駄な経費はなるべく抑えようとしますので。そうなるとホテルを決める基準は後者の「そのホテルに宿泊することで、宿泊者自身に何らかの形でメリットがある」になります。

ここで先ほどのポイントの話に戻ります。通常ポイントは「次回の支払い金額から割引する用途」でしか使えません。商売である以上リピーターは必要ですので。しかしポイント割引による恩恵を受けるのは、料金を支払う人や組織です。

会社の経費で宿泊するなら、ポイント割引の恩恵を受けるのは会社であり、宿泊者本人ではありません。これだとビジネスパーソンは、「どうせ会社の金だし、それなら上限金額を目一杯使って、少しでも高くて良いホテルに泊まろう」と考えるわけです。

しかしこれだとアパホテルとしては都合が悪い。ビジネスパーソンに選んでもらえる確率が下がってしまうからです。だからこそ現金キャッシュバックなのです。

これなら、会社が払った宿泊費でポイントが貯まり、そのポイントを活用して現金キャッシュバックを受けられるので、宿泊者本人としてはこれほど美味しいことはないでしょう。

この結論に辿り着いた時、アパの戦略は上手いなと思いました。もちろん僕も現金キャッシュバックを活用して、懐を肥やしています。まぁ僕の場合は、自営業なので宿泊費は会社の金ではなく、自分のお金ですけどね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?