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【#48】行動とリスク

新しいことを始めようと考えると、足が止まってしまう。「失敗したらどうしよう」とか「自分にできるわけがない」と隙あらば「やれない」理由を見つけて先延ばしにする。こんな経験は誰にでもあるはずだ。

もちろん全ての物事に絶対はない。だからこそ失敗の可能性というのは、どんなに小さな行動でも必ずつき纏う。

  • 外出する → 暴走車に轢かれてしまうかもしれない

  • 飛行機に乗る → 墜落してしまうかもしれない

  • 家に引きこもる → 大地震が来て自宅が倒壊してしまうかもしれない

これらは極端な例だがゼロではない。なので失敗のリスクを背負いたくないのなら「行動を一切しない」という選択肢を取るしかない。しかしそれでは何も得られない。

リスクはそれ自体が大きな問題ではなく、リスクによってもたらされる自分への悪影響こそが問題なのだ。しかし「リスク = 悪」という考え方が浸透し過ぎて、「適正なリスク(損失の上限値がわかるリスク)」ですら過剰に拒絶されている。

適切なリスクのように「損失範囲をコントロールできる」のであれば、リスクは避けるべきではなくむしろ積極的に引き受けていくべきだ。

適正なリスクの取り方

まずリスクは「計算可能なリスク」と「計算不可能なリスク」に分けられる。計算可能なリスクは似たような事例が過去にあり、この先の未来もその法則から大きく乖離することないと推測できるリスクだ。

一方の「計算不可能なリスク」は、過去の事例もなく予測が難しい未知のリスクを指す。例えばARコンタクトレンズなどの「受け入れられるかどうかわからない」商品を販売するなどのケースが該当する。商品が売れるかどうかを入念に調査したとしても、人の心理状態は刻々と変化していくため、過去の調査結果が当たる保証はどこにもない。

「リスク計算ができないなら最初からやらない」というのも1つの選択肢だろう。それを否定する気は毛頭ない。しかし大きな成功を掴み取りたいのなら、計算不可能なリスクを避けるべきではない。

なぜなら、イノベーションや大きな成長は、計算不可能なリスクに挑戦することで生まれるからだ。計算可能なリスクは、良くも悪くも上限が見える。市場規模がどれくらいで、競合のシェアが何%あって、これくらい儲けるなら、これだけの予算が必要、というのがおおまか計算できる。

計算ができれば参入者が多くなり、市場規模が拡大していかない限りは「パイの奪い合い」となり、結局1人あたりの取り分は小さくなる。

ではどのようにリスクを取るべきかというと、ありきたりな回答だが「小さく始める」ことだ。いきなり巨額の投資をせずに小さく始めれば「損失の最大値」を把握できるようになるため、大胆な行動が可能になる。

いきなり店舗ビジネスで数千万の初期投資が必要となると足が止まって動けなくなるが、自宅で無在庫の販売を始めるなら、損失額の最大値は仕入れた商品の代金になる。

最初は単価の安い商品を販売して需要を確かめて、顧客や市場の反応を見ながら徐々にスケールアップしていく。こうすることで、リスクを最小限に抑えながらチャレンジができる。

石橋は叩き過ぎると壊れる

チャレンジできない人は「考える」ことばかりに時間を費やし、行動を先延ばしする場合が多い。もちろん慎重に進めることは重要だが、石橋を叩き過ぎると橋は崩れる。橋が崩れると当然向こう側には渡れないし、その先にある成功を掴み取ることはできない。

適正なリスクの取り方で説明した「小さく始める」であれば、大きく損する可能性を下げながら行動することができる。また実際に石橋の上を渡っているからこそ、渡る前では見えなかった気づきや経験も得られるのだ。

石橋を叩くだけで全てがわかればよいが、世の中はそう都合の良いようにはできていない。適正なリスクさえ確保できれば、あとは考えずに走り出した方が良い。小さく始めているのなら、失うものなど大してないのだ。

行動しないことこそが最大のリスクであり、最大の失敗なのだろう。

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