映画「彼女が好きなものは」感想

Cです、観ました。※ガッツリネタバレありです。



とても素晴らしい映画でした。
日々の中で彼らのように真摯に向き合うことが僕にできるだろうか。
苦しみの中で思いやりを忘れずに居られるだろうか。


普段書かないnoteで感想を書こうと思ったくらいには満足度が高い。同性愛を取り扱った映画。

内容に触れる前に言っとくけど僕は男性で異性愛者で、同性愛者の友達も居る、高校生の頃は普通にエンタメとしてBLも読んだりしてた。
なのでかなり抵抗はないつもり。

そんな僕がドキっとしたシーンがあって
主人公の安藤がゲイという事が学校でバレて飛び降りたあとのクラスでのディスカッション部分。
ちょっとリアルで、ゲイバレした主人公の事を好奇な目で見ていたクラスメイト達が、話し合いになると否定的なことを言わず、理解あるようなことを言う、それに友人の小野っちがキレるシーン。

このシーンのクラスメイト達って自分のことだなと思ってドキッとした
実際好奇な目で見たりクスクス笑ったりネタにしたりはしないけど
この人は同性愛者の人だなと思って接するし、異性愛者にはしない配慮が生まれたりはすると思う。
この作品では”これだから腐女子は”ではなくて”これだから三浦さんは”っていうのをずっと言ってるよねレッテルを貼ってわかった風に思いたくないって。
だから異性愛者も同性愛者も普通とか普通じゃないとか関係なく、個人個人に真摯に向き合っていかなきゃなって思ったりした、大変なことだとは思うけど。


他にも見所(好きなシーン)は沢山あって
・ヒロインの三浦さんの切なさ
・主人公安藤の終わらない悩み
・デリカシーのない三浦さんの腐女子仲間の彼氏
・好きなもの
・親子のどうしようもない悲しみ
・幼馴染亮平の祝福


三浦さんは好きな人がゲイだった、そしてそれを知らず付き合って、発覚して、でももう嫌いになれなくて、友達としての好きに不時着させた最後が大人すぎて…自分磨き頑張ってるシーンとか見るとマジで幸せになってくれって思う。

お母さんとのシーンも、どっちも悪くないのが余計に辛い
慰め方がわからなくて、寄り添ってあげたくて出た自分の憧れの先輩の話も裏目にでちゃって、泣きながら抱きしめて「ごめんね」としか言えなくて…
多分この「ごめんね」も「何も言ってあげられなくてごめんね」「気づいてあげられなくてごめんね」のごめんねだと思う。
そうであってくれ、産んでごめんねとは思って欲しくないなぁ。
母親の無力感と息子の吐露が本当に辛いシーンだった。

こういうのって結構受け入れてもらえないのが辛いってなりがちだけど
主人公は自分でも受け入れ難いし女の子を好きになれることに期待してたし母親にも申し訳なくて辛いっていう、本当に思春期のゲイを自覚したての悩みって感じで新鮮だったし演技も良くて悲しくなった。
安藤くんはこれから自分を受け入れられるようになると良いな。


幼馴染の亮平はいい奴、THEいい奴、好きな女の子が違う男の子(しかも自分の親友)に告白したいって言ってきてそれを手伝ってあげて尚且つ祝福してあげられる、器が大仏くらいでかい。
観覧車のとこの「おめでとう」ももちろん良かったし、「好きな人と好きな人が一緒にいるの見ると吹っ切れる」って言うのも良かった、どっちも嫌いになってもおかしくないのにって思う。
それにこいつはずっと主人公の味方だった、いつでも。多分5歳からずっと。


そしてラスト
正直、性的対象ではなくてもこの2人なら付き合っていく未来もあったんじゃないかなとか淡い期待を抱きながら駅のホームで膝枕するシーンを見てた。(それでも片方だけだと辛いよなっても思う)
三浦さんはゲイだからじゃなくて「遠距離なんて無理!」って理由にしたのも思いやりが見えて良かった。

「私が好きなものはBLであって、安藤君だよ」「僕が好きなものは男であって、三浦さんだ」
お互い好き同士なんだけど多分ちょっとだけ意味が違う好き。ちょっとだけ。

そして「BL星に行くときは私も一緒に行く。」これって「ずっと友達だよ」に似てるかなって思う。


合わせたのは三浦さん。

三浦さんはLOVEの好きをLIKEということにした
安藤くんはLIKEの好きをLOVEにしたかった

あーつら


この感想を書きながら思ったんだけど
「思いやり」みたいなのが裏テーマだったりするのかなぁ
母は息子を、三浦さんと亮平は安藤を、小野っちは亮平を、安藤は周りの人全部を。
思いやっての発言や行動が描かれていた気がするなぁ。
だから良い意味で優しいひとばっかりの映画だった気がするんだよな。
好き。


ファーレンハイトに関しては映画だけだとあんまりわからなかったなぁ。
原作小説で続編も出てたり、ファーレンハイトの過去もあるみたいだから原作読みたい。

そしてここまで感想書いたけど、公式HPの著名人からのコメント欄で林遣都さんのコメントが完璧すぎるからそれみた方がいいよ!笑
https://kanosuki.jp/


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