33年後に彼氏ができる少女2

父に甘やかされて育った私も4歳になり幼稚園に入園した。

先に言ってしまうが、振り返ってみるとこの幼稚園時代が私の唯一の「モテ期」であった。
幼稚園で人生で唯一のモテ期が来てしまうなんて人が聞いたらきっと絶望しかないだろう。

今でもはっきり覚えている幼稚園時代。
そんなに目立つタイプではなくちょっと内弁慶な子供だったと思う。
でも、今でもそうだが、家族や仲のいい友人の前では人を笑わせるのが好きでひょうきんな面も持ち合わせていた。

一度、同じクラスの女の子のほっぺをつねってしまい、彼女の家まで母親と謝りに行ったことがあった。
あのときはなぜそんなことをしてしまったのか覚えていないけど、つねってしまった子の家族や私の家族には本当に申し訳ないことをしたと思う。
余談だが、彼女とは高校が同じになり今でも連絡を取り合うような仲になっている。
本当に不思議なご縁だと思う。

そしてここからが私の唯一の「モテ期」エピソード。
ある日、幼稚園で何かは忘れてしまったが写真撮影をするので男女ペアを作りなさいと先生からのお達しがあった。
すると、なおとくんという男の子から一緒に撮ろうという誘いがあった。
なおとくんはクラスの中でも元気が良いタイプの子でいわるゆイケてる男子だった。
そして、そのなおとくん。
何を隠そう当時の私が好きだった男の子だったのだ!
初恋の相手でもある。
うかれる幼稚園児の私。
「うん、いいよー」なんて嬉しさを隠してOKしていたと思う。
しかし、そこへ同じクラスの中野がやってきて、中野も私と一緒に写真を撮りたいと言いだした。
中野はそんなに目立つタイプではなかったが、普通におしゃべりはできるくらいのクラスメイトだった。
その中野の登場に私はビックリした。
すっかりなおとくんと写真を撮るつもりでいたので、中野のことをどう対処していいか当時の私にはわからなかった。
中野を無下にはできないが一緒に写真を撮るわけにはいかない。
私には心に決めたなおとくんがいるのだ。
私がはっきりしない態度を取りつつもなおとくんと撮りたいという気持ちをチラつかせるとなんと中野は泣き出した。
私は困った。
だって二人の男の間で板挟みにあっているのだ。
まるで韓国ドラマではないか。
私は女の子の友達に助けを求めたりした。

その後どういういきさつだったかは覚えていない。
とても幼稚園児の私が解決できたとは思えないので、おそらく先生が介入したのだろう。

実家にあるアルバムには私となおとくん、そして中野の3人で写った写真が残っている。
先生は誰も傷つかない方法としてその選択を選んだのだろうが結果的になんとも微妙な写真ができあがった。

まぁ私が先生だったらきっと同じことするだろう。
ひとつ覚えておきたいのは幼稚園児にもしっかり恋心は存在するってことだな。

「モテ期」エピソードとは書いたが、実際モテた時期なんて長いスパンの話ではなく、正確にはモテたように感じたエピソードって程度であったな。

そんな嬉しくもちょっとホロ苦い私の人生唯一の「モテ期」のお話。

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