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NIリサーチャーコラム #35 リサーチ業界に転職してみて(2023年10月執筆)

執筆者: リサーチ・コンサルティング部 K.O

※NIリサーチャーコラムでは、当社の各リサーチャーが日々の業務等で感じた事を自由に紹介しています。

1)はじめに

ここ数年、テレビやSNSで転職に関するCMや広告を多く見るようになりました。

ひと昔前まで日系企業の特徴のひとつに「終身雇用」があり、新卒で入社した会社で定年まで働くんだ、という漠然としたイメージを学生のころまでは持っていました。

今や転職は一般的なものとなり、私自身、この会社には中途で入社しました。

今回のコラムでは、大学でマーケティングを学んだことも、前職でマーケティング関連の業務をしたこともなかった私が、なぜリサーチ業界を選んだのか、日々の業務で思うことをお伝えしたいと思います。

今後リサーチ業界への転職・就職を考えている方にとって、少しでもお役に立てば嬉しいです。

2)マーケティングとは無縁な生活

私は大学では語学や考古学などを主に学び、マーケティングや経営についてのクラスは一切履修しませんでした。

経済も経営(営業)もマーケティングも社会人になったら(嫌でも)勉強しなくちゃいけないのに、学生の時から勉強するなんて当時の私には考えられませんでした。

このコラムを書きながら、自分の考え方がいかに偏っていたか反省しています。

大学卒業後、日本製品を海外に売る仕事に従事したいと考え、繊維系の専門商社に入社し、アパレル生地を輸出する部署に配属されました。

様々な経験ができて充実していましたが、メーカーが作った商品をお客さまに流すという販売スタイルで、仕事に慣れてくると自身の仕事の必要性や将来について疑問を持つようになりました。

そこから転職を考え始め、そのとき初めて「マーケティング」という業界を知りました。

商品開発のあらゆるフェーズに関わることができることや、一般消費者とメーカーを繋ぐことができるリサーチに惹かれ、特に日常生活に欠かせない一般消費財のメーカーと多くの取引のある当社に入社し、営業部署への配属となりました。

3)何よりもコミュニケーション

入社後何よりも驚いたのが、コミュニケーションがとても大事ということでした。

「納品するのはデータだからクライアントとのやり取りも少なそう!」「簡単にデータが出てきてクレームとも無縁!」と入社前の私はなんとなく想像していました。

転職前は取引先との電話やメールのやり取りや商談が非常に多く、やり取りが多ければ多いほどアナログな業界、というイメージがありました。

思い返せば、データを扱う → デジタルな業界 → 社内外とのやり取りが少ない、というイメージがあったんだな、と思います。

実際にはお客さま、社内ともにやりとりが非常に多いです。

お客さまとは、まずは調査開始前にオリエンテーションを行います。そこで調査の目的や調査に参加してもらう方の条件(対象者条件)などの調査設計を共有してもらいます。

その後、調査目的や対象者条件を盛り込んだ企画書を作成しますが、調査設計に不明点がないようにします。

対象者の方を選定するための事前調査票(スクリーナー)では、企画書通りの対象者を呼べるような設問は含まれているか、条件は正しく設定されているかなど、メールや電話で確認しながら作成します。
(対象者の方に回答いただくアンケート(本調査)も、スクリーナー同様に作成します。)

調査が終わると、集計方法やどのような切口で回答データを確認できるようにするかなどを確認して、納品物を作成します。

対社内とは、実査兼リクルート担当部署、画面作成担当部署、集計担当部署*と、お客さまと確認した上記の調査設計や集計方法の共有をします。

*実査兼リクルート担当部署(フィールドワーク):会場型調査や自宅参加型調査において、会場やテスト品の準備・管理をしたり、対象者の方の対応を行う部署

 画面作成部署(インターネットリサーチ):WEB上で回答するタイプの調査のアンケート画面の作成や、アンケートの配信・回収管理を行う部署

 集計部署(アナリスト):実査終了後にアンケート結果の集計を行ったり、報告書を作成する部署

商材としてデータを扱ってはいますが、そのデータを作り上げるために関係者全員が同じ認識で案件を進める必要があり、そのためにはコミュニケーションが不可欠です。

正直、メールも電話もチャットも面倒です。

時間がかかります。

早く返信ほしいのになかなか来ないこともあります。

けれど、面倒だから~と手を抜くと後で必ず後悔します。

私は何度も後悔しました。

きっとどんな業界でも、どんな仕事でも、どんなにデジタル化が進んでも、人同士が関わる業務ではコミュニケーションが非常に重要なのだと、この仕事を通して思うようになりました。

4)データの見え方は人それぞれ

話は変わりますが、私はリサーチ・コンサルティング部という部署に所属しており、営業部署として企画書や見積書、調査票等の準備を担当する以外に、回答データをまとめた報告書を作成しています。

「データは誰が見ても同じ解釈になるんじゃないの。」と、転職前の私は思っていました。

考えが浅かったです。

特に、実態把握調査(例えば、お茶を飲んでいる人は「いつ飲むのか」「どんなときに飲むのか」「お茶をどこで買うのか」など、特定のモノやコトに関して、行動や意識を聴取する調査)では、質問A、質問Bそれぞれの結果はもちろんですが、質問Ax質問Bのように複数の質問の結果を掛け合わせることで、「こんな特徴があるかもしれない」「こんな背景があるかもしれない」と様々なことが読み取れます。

データの切り口や解析方法は無限にあり、見えてくる気づきも異なります。

私が報告書を作成するときに意識していることは、調査目的に沿った内容であることはもちろんですが、(調査目的からは少し逸れるかもしれないですが)自分なりの気づきやの考察を盛り込むことです。

自分は何を読み取ったのか。

なぜそのように読み取ったのか。

読み取ったこと、その根拠となるものをセットにして記載しています。

人によって見えるものが違うので、調査に関わった一担当者として、自分が見たものや感じたものを書くようにしています。

お客さまにとっては余計なお世話かもしれませんが、ひょっとすると何かの役に立つかもしれません。

何かの役に立てばいいなと思い、自身の考察をレポート提出がない場合でも一言添えるようにしています。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

今回は、私がリサーチ業界に転職した理由や業務を通して思うことをテーマに書きました。

中途・新卒問わず、少しでもリサーチ業界への転職を考えている方のご参考になれば幸いです。

リサーチ業界や当社については採用情報ページにも掲載しています。ご興味あればぜひご覧ください!

https://www.n-info.co.jp/recruit/

執筆者プロフィール

リサーチ・コンサルティング部 K.O

大学ではイタリア語と考古学を学び、卒業後は繊維商社でアパレル生地の輸出業に従事。
2019年に日本インフォメーションに入社。
営業部署内で複数のチームを経験し、2021年11月から現職。
休日は自宅でゴロゴロしているか近所のスーパーをウロウロしています。