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ドイツ語に海が3つあるワケ③

こんにちは。

さて、「海」シリーズのラスト、第三弾。

今まで過去2回に渡り、
-ドイツ語に存在する3つの「海」とその違いについて
-うち2つはもともと同じ意味で、しかも「海」を意味しなかったということ
-南と北(北西)ドイツでそれぞれ「海」という言葉は独特のルーツをたどってそれぞれの意味を獲得したらしいこと

と、まぁそんなことを書いてきました。

そして前回の最後に、「海」のdie Seeと das Meerには文法上の大きな違いがあることに少し触れていました。

今日は、そんな文法上の違いから見る2つの「海」の使われ方の違いと、実際のそれぞれの「海」に対してドイツ人の持つイメージについて紹介します。

漠然と海ならMeer 特定の海はSee

さて、
ドイツ語の「海」das Meer とdie See。
この2つの文法上の違いは、
das Meerには複数形(die Meere)があるけど、
die Seeには複数形がなく、不定冠詞と一緒に使われることもほぼない、ということです。

これが何を意味するのか。

つまり、
「海」をSeeといった場合には、固有名詞で断定的に使われる、ということです。
die Ostsee
die Nordsee
のように。

一方、das Meerは不定冠詞を伴って任意の海を指すことが出来ます。
例えば、
Ein Meer von Liebe(「慈しみの海」:絵本のタイトルです) 
Was ist ein Meer?(海ってなに?)
のように。

ふわっと一般的な「海」を言いたいならMeer!
と覚えておけばいいと思います。

それぞれの海、ネイティブの感覚

また、実際のそれぞれの「海」に対するネイティブの感覚を知るために、南ドイツ新聞に掲載されていたコラムを紹介しようと思います。

Deshalb fahren die Deutschen ja immer wieder ans Mittelmeer. Es heißt Mittelmeer, aber man sollte es Mittelsee nennen, das klingt wärmer, vertrauter. Cosy.
Und was man Nordsee nennt, sollte Nordmeer heißen, das klingt kühler, gewaltiger. Ferner.

24. Juli 2015 Süddeutsche Zeitung

(翻訳)
(ドイツ人は冒険したがらない、という文脈で)だからドイツ人はご存知のように度々、地中海(安全で何も起こらない、という意味での地中海)へ出掛けていくのです。地中(ドイツ語でMittelmeer)と呼ばれますが、実際には地中(Mittelsee)と呼ぶべきだと思います。その響きはより温かみのある、親しみのある、そして安心できる、居心地のいい感じです。
また、(北の湖と呼ばれている)北海(ドイツ語直訳で北の、Nordsee)は北海(Nordmeer)とするべきです。その響きはより冷ややかで壮大です。はるか彼方、という響きがあります。


ネイティブの「海」に対する2つの言葉のイメージ、つかめましたか?
これは標準ドイツ語を話す人の湖(der See)と海(das Meer) の感覚です。この記者がドイツ北西部出身だったら、全く逆のイメージを描いていた可能性があるのですから面白いですね。

最後に少しクイズを(^。^)
Seeは、海に関する多くの生き物の名前にもついています。
以下の組み合わせで意味する海の生き物とはなんでしょう?

der See+Igel(ハリネズミ)=?
das See+Pferdchen(馬) =?

他にもたくさんの海の生物の名前の枕にSeeがついていますので興味のある人は探してみてください。

今日も最後まで読んで下さりありがとうございました。



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