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海辺の青年

海辺の青年

何もかもが嫌になってしまった。
今までの人生もこれからの人生も。
もうどうでもいいと思った。

アルコールの言いなりになった体で海岸まできた。
月明かりを返す水平線をただ見つめている。
そうしていると今までのことやここ最近のことなんかがグルグルと頭の中で再生された。

死んでしまいたい。

そう思って月の道を歩いた。
じゃぶじゃぶと水に浸かっていく。
どんどん体が波に飲まれていく。
胸の辺りまで入ったところでとても寒くなってきた。
これ以上進むのを諦めた。

浜の手前。
コンクリートのところまで戻ってきた。
なんて馬鹿なことをしているんだろう。

結局僕は何処へ行くことも出来ぬままここで蹲っていることしかできない。

どうしようもないことばかりをひたすらに思考した。

月がだんだんと雲にのまれていき光がゆっくり消えていくのとは反対に僕の心はもう此処にはなかった。

もう行くか。

青年は海を背に振り返る。


そこにはもう何一つとして残っていなかった。
青年は灰になった。


朝はまだこない。

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