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総合商社シリーズ (貿易ビジネス編①)

皆さんこんにちは。
総合商社シリーズ第二回、本日は貿易ビジネスについて説明します!

総合商社は「商社」というくらいですから、貿易ビジネスが総合商社の全ての始まりなのです。五大商社と言われる会社も、豊田通商も双日も、過去を振り返れば貿易ビジネスから会社の歴史が始まりました。つまり、貿易ビジネスが商社の祖業ということですね。

余談ですが、三菱商事を有する三菱グループの創業者は岩崎弥太郎ですね。彼は土佐藩出身で坂本龍馬とも幼馴染であったと言われています。そんな三菱グループの祖業は何かといえば実は海運です。今でも日本郵船という会社に形を変えて現代にも残っています。この日本郵船の歴史を振り返れば、坂本龍馬が長崎で創業した「亀山社中」が始まりと言われています。
亀山社中は幕末の動乱時に、裏で薩長同盟を手引きした坂本龍馬が、薩摩から長州に武器を輸送するために興した組織です。
船で海を渡り物資を運ぶというのが総合商社の貿易ビジネスの起源です。その後長い時が経ち、物資を運ぶ海運業は日本郵船のような海運会社に、一方で何を誰に運ぶのかといった交渉事は商社に棲み分けがされていきました。

話を戻します。総合商社の貿易ビジネスとは何か。まずは最初に結論、「安く買って、高く売る」です。これが全てです。本当です。
ただ、総合商社と言われる企業は「安く買って、高く売る」という行為を全世界的に、そしてあらゆる製品で行うのです。一昔前のとある総合商社のCMで流れていましたが、カップラーメンからからミサイルまで、あらゆる製品の貿易を行っているのです。

貿易ビジネスのパターン

総合商社が行う貿易ビジネスには大きく分けて3つのパターンがあります。
総合商社は全世界にオフィスを持っていて駐在員がいます。この総合商社の持つ海外ネットワークは外務省よりも巨大だと言われています。実際、日本領事館がない国にも総合商社のオフィスはあったりします。常に現地から生の情報を収集することで、「どこで」「何が」「いくらで」売れるのかを常に虎視眈々と狙っているのです。

① 日本⇒外国 パターン

これはイメージし易いと思います。メイドインジャパン製品を海外に売るということです。例えば、高度経済成長期の自動車や電化製品が最たる例でしょう。当時アメリカやイギリスにあまりにも多くの日本製品を売りすぎてアメリカ、イギリスの貿易赤字は大変なことになりました。これがバブル崩壊に繋がるプラザ合意の発端にもなったと言われていますね。
総合商社は日本の製品を欲している客(国や企業)を世界中から探してきて、生産者である日本企業と消費者である海外の客を繋ぐのです。
海外輸送は基本的には船で運びますから、船の手配やら通関業務やら面倒なことも全て総合商社が請け負います。

② 外国⇒日本 パターン

これは①の逆パターンですね。例としてコーヒー豆の貿易を挙げてみましょう。日本のコーヒーショップ(スタバやドトール等)は海外からコーヒー豆を輸入しています。特に南米(コロンビアあたり)がコーヒー豆の一大生産地でして、ここから大量のコーヒー豆を輸入しており、総合商社がこの輸入ビジネスに関わっています。
例えば、ドトールなんかはコロンビアに支社はありません。なので彼らが自分でコロンビアの農家と交渉してコロンビアから日本に運ぶ海上輸送を手配するのはとてもじゃないですが大変過ぎますよね。そういった面倒な交渉事を日本企業に代わって代行してあげるのが総合商社の一つの役割です。

③外国⇒外国 パターン

これは三国間貿易とも言います。日本以外の国同士を結び付ける貿易のことです。例えば、日本の商社が中国企業の製品を仕入れてアメリカ企業に売る場合は三国間貿易になります。何で三国間かと言えば、それぞれの企業がある国を世界地図上で線で結んだら綺麗な三角形が出来るからです。日本の商社が中心となってA国とB国の取引を実現させる、これが三国間貿易です。
僕が実際に仕事した経験では、他のビジネスで関係のあった海外クライアントから、「今他のプロジェクトでこういう製品が必要なのだけど、どこか知らない?」と聞かれ、そこから他の国のメーカーを紹介して三国間貿易のビジネスに繋がったという経験があります。

以上、3つの貿易ビジネスのパターンを紹介しましたが、全てに共通しているのは「安く買って、高く売る」です。総合商社は貿易ビジネスにおいて2つの企業の取引の間に入ることで利ざや(マージン)をとって儲けます。
マージンはあまり大きくとりすぎるとお客さんが気持ち良くないですから、一つ一つの取引のマージンはとても小さいです。例えば100円で買って102円で売るというイメージ。このような小さいな取引をとんでもないボリュームで行うのです。一つあたり2円のマージンも何億回、何十億回と繰り返せばそれなりに利益が出ますからね。

総合商社の貿易ビジネスは実はかなり泥臭い世界なのです。

NGUP

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