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【読書感想】僕は何度でも、君に初めての恋をする。
両親の不仲に悩む高1女子のセイは、ある日、カメラを構えた少年ハナに写真を撮られる。優しく不思議な雰囲気のハナに惹かれ、以来セイは毎日のように会いに行くが、実は彼の記憶が1日しかもたないことを知る――。それぞれが抱える痛みや苦しみを分かち合っていくふたり。しかし、逃れられない過酷な現実が待ち受けていて…。
女子高生視点で物語が展開されており、両親の不仲が原因でとても悩みます。その影響で、前半はあらゆる描写が暗くマイナスに表現されていきます。そんな中から一筋の光のように描かれるハナはとても美しく感じました。この作品は全体を通して情景の表現が美しく、主人公の感情が徐々に変化していくところはとても魅力的です。ゆっくりと主人公にとっての世界のあり方が変化していくのを感じることがこの本を楽しむ上での重要な視点だと思います。
一方で、内容が少々物足りなく感じました。主人公の変化を十分に表現するあまりに、ストーリーの進行が全体的に重く感じました。さらに、二人の関係性に変化が感じられませんでした。主人公のセイはハナとの出会いがきっかけで家族との関係に一歩踏み出すことができ、自らの生き甲斐を手にいれることができました。しかし、ハナは1日で記憶をなくすため、彼自信の変化はあまり無いように感じました。ハナが一方的にセイに恩恵を与えているような構図。
このストーリーを読む上で、ハナに変化を求めるのは難しいことなのですが、恋愛小説を読みたい私としてはお互いの変化をより感じたかったです。
でも、このハナが取り残されるような状態が切なさを感じさせて、良いと考える人もいるのでしょう。
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