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最近の記事

<劣化>:新たなイメージの創出 /"Print Generation"(J.J.マーフィー)

J.J.マーフィー(Murphy)の"Print Generation"を見た。 実験映画作家J.J.マーフィーの代表作の一つとして上げられる"Print Generation"は「構造映画」とも知られている。 本作は、映像フッテージをネガ→ポジへと現像処理をする、フィルムが<映画>になるその過程を25回繰り返し重ね焼きをした実験作品である。 本来は一回でよい現像処理の反復過程のなかで、当然「劣化」が生じるわけだが、この作品は「劣化」の新たなイメージの一側面をあらわにす

    • 新宿御苑の日曜日は盛況 / 23年の晩秋

      俺は上京するために会社に就職した。 新人研修・初日の早上がりとともに、 新宿御苑の年間パスポートを手にしたことはいうまでもない。 だから俺のパスポートの写真はスーツ姿にしあがっている。 写真機の性能がわるいのか、風体がわるいのか 新卒とは思えないほどのシケこんだツラが写っている。 ・・・ あれからずいぶんと冷え込んだ。 スーツも似合わなくなった。 だから会社をやめた。 ハア?なんてこった。 俺の誕生日に季節のみどころ情報が出てるじやねえか。 俺は花や植物にまったく疎

      • セルゲイ・ロズニツァ監督『アウステルリッツ』:鑑賞-突貫-備忘録

        セルゲイ・ロズニツァ監督『アウステルリッツ』を鑑賞後に感銘を受けたため、急いでこの印象を書きつけることにする。しかるべきときに、この素晴らしい作品をまた取り上げたいと思う。ところでこの監督は他にもウクライナ危機の『ドンバス』やスターリンの『国葬』など、特に最近話題になっている監督の一人でもある。 ダークツーリズムのドキュメンタリー? 本作はホロコーストが行われた強制収容所(ザクセンハウゼン)を「観光」するダークツーリズムを坦々と映し続ける映像作品である。 これはいわゆるド

        • 【隠れないジブリの名作】耳をすませば(1995)

          海がきこえる、耳をすませば これは一つの詩である。 そして二つの映画である。前回、わたしは『海がきこえる』について書いた。これで終いにしようと思っていたが、やはりどうしても書かねばならなかった。どうしても。 一つの接続、一つの対照 二つの作品のつながり。 製作上、『海がきこえる』(1993)に宮崎駿が触発されてプロデュースしたのが『耳をすませば』(1995)であるが、いずれも原作モノであり前者は氷室冴子の青春小説、後者は柊あおいの少女漫画。そうか、しかし偶然にもタイト

        <劣化>:新たなイメージの創出 /"Print Generation"(J.J.マーフィー)

          【隠れたジブリの名作】海がきこえる(1993)

          氷室冴子原作の青春小説をもとに、宮崎&高畑よりも若手で制作するジブリのプロジェクトとしてアニメーション化された作品である。つい先日これをたまたまGEOで見つけたばかりに、素敵な名作を掘り出してしまった。それはまるで初期~中期新海誠作品(「星の声」~「言の葉の庭」)のような雰囲気で私の好きな「何も起きず、何かが起きる、とても静かに力強く。」の作品であった。 そのためジブリとはいえ作風が異なり、特にある意味で理想を掲げたドラマチックで演劇的な宮崎駿作品と比べて、繊細でわざとらし

          【隠れたジブリの名作】海がきこえる(1993)

          映画を見る:旅のおわり世界のはじまり【エッセイ】

          世界のはじまりはどこからやってくるのだろうか?それは旅がおわるときだ。でも旅のおわりは旅のとちゅうでね。 この映画はこう教えてくれる。 旅とはなんだろう?世界とはなんだろう?少なくともわかるのは、「旅行」とか「グローバル」っていうような、けち臭いものではないことは確かだ。まったく人が生きるということに直接に関わってくるってのに、脳みそが凝り固まってしまって他者にも押し付けようとする大人が決めつけたような概念では決してないだろう? Amazonレビューは☆1だ!だが最高の映

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