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隣の芝が青く見える世界で、自分の家に庭を作らず生きる可能性を考えたい2022年

私の運営している大学受験生に向けたWebメディア「Educational Lounge」には、不定期連載の「キャリアコンパス」と題したコンテンツがありまして、本日その第三弾を公開しました。

今回は東京で創作鉄板ビストロ「眞か」などを運営する株式会社FIREWORK代表取締役の伊藤さんに、ご自身の人生や会社のこれまでとこれからを語っていただきました。ちなみに、うちは大学受験生向けのメディアなんですが、今回のインタビュー記事の中に受験の話は全く出てきません。

「『受験生向けのWebメディア』と謳っておきながら飲食店を経営する会社の社長の話、しかも大学受験のエピソードも特になしとは何ごとだ」と言われそうですが、私なりの考えというか思いがあるわけでして、今日はちょっとその辺りを書いておこうかなと思っているわけです。

共通テスト前のこの時期、受験生は目の前の試験対策に精を出していることでしょうし、実際に予備校現場で出会う受験生たちの多くが、近づいてくる入試に向けて必死になっている姿を目にします。そしてそれは今年度の受験生だけでなく、高1高2生も。そもそも高1や高2から予備校に通っている人たちの多くが少なからず受験を意識しているんですよね。

そんな環境にいると自分自身も何やかんやで「受験」「入試」というのを常に意識することになる(そもそもそれが仕事だし)わけです。我々の仕事は受講生が志望校に合格するサポートをすることに尽きるので、まずはそれに向けたコンテンツ(授業)を用意することが重要なのは言うまでもないことですが、10年以上「受験が当たり前」の世界にいると、忘れてしまいそうになるものがあるんですよね。

「受験は選択肢の一つにすぎない」

という単純な事実。

大学・短大進学率は上昇し続けていて、昨年時点で60%弱にまでなっているようですが、それでも「受験が全てではない」というのは紛れもない事実。予備校で指導している身でありながらこんなことを言うのはどうなのかと自分でも思わなくはないけれど、それでもやっぱり受験が全てであるかのように考えすぎるのはどうかと思ってしまうのです。

もちろん、この時期の受験生にとっては「受験が全て」であるかのように感じるのも仕方ないというか、それでも良いと思っています。「過程に意味があるんだ」というのは全くその通りだと思う一方で、そんなの考えるのは今じゃなく受験が終わってからで良いから、今は目の前の試験に向けて全力を傾けるべきだと思います。

でも、少しばかり受験まで時間がある非受験学年や、受験を終えた人には、自分が受験をする意味に思いを馳せてもらいたいと思ってもいるわけです。

それがきっと、自分を救うことにもなるだろうから。

現役生・高卒生を問わず、受験生としての1年間で壁にぶち当たったりモチベーションを失ったりすることはしばしば起こる。そんな時に自分を支えてくれる一つになると思っているんですね。

このコンテンツを通して、「我々の生きるこの世界にはさまざまな選択肢がある」ということをほんの少しだけでも見せられればと。そしてそれを通して「多様な選択肢の中で、大学進学を選択する」という決断を自分で下したということの意味を自分で掴んでほしい、そんな思いがあります。

「類は友を呼ぶ」からなのか、私の周りには型にはまらない生き方をしている友人・知人も多く、話をしたり活躍を耳にしたりするたびに、生き方はひとつじゃないというか、我々は「自分が選んだ道を正解にしていく」ために挑戦し続けているんだよなぁと思います。

いわゆる「レールに乗る」のも一つの選択肢、「レールから外れる」のも一つの人生。どちらを選ぶにせよ、隣の芝は青く見えるものだし、大抵において何かを選ぶということは別の選択肢を捨てるということ(どちらも選ぶということもあるかもしれないけれど)。隣の芝が青く見えるときに、「あえて自分の家には庭を作らない」と決意するのもまた一興じゃないですか。時には並行世界を思い描きながら、「別の人生もあったかもしれない」と考えつつも、自分が選んだ人生を納得できる形で歩んでいけるようにしていきたいものです。受験生みんなが同じように考えてほしいなんて思わないけれど、きっかけくらいはあってもいいんじゃないかなと思っています。

そんな思いで、今はスローペースではあるけれど、徐々にこのコンテンツも充実させていきたいなぁとぼんやり考えているのでした。おしまい。

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