マガジンのカバー画像

お通しです

14
とりあえずの気持ちで読んでほしい文章をまとめました。
運営しているクリエイター

#創作大賞2023

葬式では泣け

2020年12月1日。その夜、私たちはガストにいた。夫が「ガストには糖質控えめほうれん草麺がある」と言ったからだ。ダイエットを意識して夕飯は質素に済ませるつもりだったが、私も「糖質控えめならいいか」とまんまとのせられ、雪降りしきる中、田舎町の国道沿いにあるイオンへと車を走らせた。ガストに入店し、メニューを開き、意気揚々と糖質控えめほうれん草麺なるものを探した。しかし、そんなものはどこにもなかった。 ないものはないで仕方ないので、私はねぎとろ丼を、夫は何かしらの肉の丼を注文し

クリスマスに街コンでおむすびを握った話

7年前の冬のことである。 クリスマスを目前に控えた街では、赤と緑の配色が増え、あらゆるものに電飾が取り付けられ、クリスマスソングがエンドレスリピートされていた。道行く人々も心なしか浮き足立っているように見えなくもない。 そんな中、私にはクリスマスの予定が何もなかった。恋人もいなければ、こういう日に遊んでくれそうな友人の当てもない。まあ別にクリスマスだからといって必ずしもイチャイチャ、またはドンチャン、もしくはフォッフォしなければならない決まりなどない。だいたいキリストは未