CryptoKittiesの流通USD高

CryptoKittiesは内部マーケットでどの程度収益を出しているのか?

前回の記事ではどのように収益を稼いでいるのかの仕組みを説明しました。

内容として

・ゲーム内マーケットの売買成約時における手数料収益
・交配マッチング時の手数料(ただしガス代のカバー用)
・二次流通マーケットでの手数料収益
・運営からの売り出しであるgen0オークションの売上収益

という4種類の収益形態を紹介しました。

今回は多くを占めると思われる

・ゲーム内マーケットの売買成約時における手数料収益
・運営からの売り出しであるgen0オークションの売上収益

の2つを分析して、内部マーケットでどの程度の収益を上げているかを分析してみます。(内部マーケットでの収益には交配マッチング時の手数料収益も入りますが、ガス代のカバー目的でほぼ相殺されると考えられるため今回触れていません)

分析期間は2017/11/1 ~ 2019/7/31で、こちらのコントラクトアドレスから分析をしました。

https://etherscan.io/address/0x06012c8cf97bead5deae237070f9587f8e7a266d

CryptoKittiesの流通高

次の図はCryptoKitiesのオークション流通高(USD建)を月毎時系列で示した図です。運営自身が実行したgen0オークションはオレンジで色付けしています。

暗号通貨バブル、またCryptoKittiesが話題になった時期に最も流通高が多くあります。2017年12月に最も流通高が多く、約1300万ドルです。全期間の流通高合計は約1800万ドルで、実は2017年12月の流通高が3分の2程度を占めています。

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ゲーム内マーケットの売買成約時における手数料収益

前回のおさらいとして、手数料収益は販売価格の3.75%になります。1ETHでKittyがオークション落札されたら、0.0375ETHが運営の収益になります。

以下は、オークションの手数料収益を月毎時系列で示したものです。gen0オークションは売却代金がそのまま収益となるので除いています。合計は約60万ドルで、12月に約40万ドルの手数料収益をあげています。

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運営からの売り出しであるgen0オークションの売上収益

gen0オークションの売上高はそのまま運営の収益になります。gen0オークションの売上高をオレンジ色で被せてみます。

サービス開始直後の2017年12月はgen0オークションが行われ、多くの売上が上がっています。この月にはおよそ180万ドルの売上が上がっています。その後、gen0オークションの比率はどんどん下がっていきましたが2018年8月〜11月にかけてgen0オークションが行われて、一時的に収益が上がっています。

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いくつかの関連するイベントを書き込んだ図が以下になります。バブルの終焉を経て低迷しつつ、二次流通マーケットであるOpenSeaや、Kittyを使ったゲームのKittyVerseが出た後にgen0オークションを行なっています。ただし、gen0オークション後も特に内部マーケットで増加するわけではないことが見て取れます。直近2019年7月の収益は約2,000ドルまで落ち込んでいます。

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最後に収益合計と割合を見ると、約330万ドルとなっています。gen0オークションの売上が約268万ドル、手数料収益が約65万ドルと、8:2の割合で収益が構成されています。

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まとめ

CryptoKittiesのデータを見ると、サービスリリース直後に売上手数料、gen0オークション共に売上の最大を更新し、その後売上は低迷しています。

合計収益を見るとgen0オークションの売上が収益の8割を占めており、時々gen0オークションを行なうことで一時的に収益は上がっていますが、ユーザー間での取引が活発に行われるか、単価が上がらないことには収益は上がりません。また、もし利用用途を充実させて単価を上げる事ができれば収益の上昇が見込める可能性があります。ただしCryptoKittiesのチームはDapperというコントラクトウォレットの開発を始めており、今はこちらにリソースを割いている可能性もあります。

OpenSeaなど二次流通マーケットでの売上は今回加味していないので、もう少し収益が変わる可能性はありますが、トレンドとしては同様になる可能性が高いと思われます。




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