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【NJRPG-2ND/シナリオ】フォールス・ウインター:#11:キャン・ネバー・ビー・ザ・セイム・パーソン・アズ・ビフォア

あらすじ:鷲のニンジャたちは"アシッドウルフ"と手を組むことを、自らの手で選択した。次なる目標は、寒村カナリーヴィル。アマクダリ・セクトのロケット計画をジャックし、秘められし計画を進める時が来た!

これは「ニンジャスレイヤーTRPG2版」のシステムに対応した、「鷲のニンジャ」がテーマのキャンペーン『フォールス・ウインター』の第11話かつ最終チャプターの「序」に該当するサンプルシナリオ記事です。

プレイ人数:4名
所要時間:12~16時間(オンラインセッション/テキストセッション)
難易度:キャンペーン専用のルールで作成後、10シナリオを踏破した程度の強さのPCを想定(成長の壁(1)をそれぞれ2~3つずつ超えている。さらに成長の壁(2)を1つ超えた直後程度の、ほぼ限界級の能力値)

キャンペーン全体の背景設定やルート分岐の調整方法などは、別途CPセッティング記事も参考にしてください。

※各ゲーム要素はニンジャスレイヤーTRPG初版で行ったキャンペーン実卓を元に、2版向けへコンバートされたものです。ゲームバランスは現行環境やプレイヤーキャラクターに合わせて都度調整することを推奨します。

関連記事はこちらのマガジンから。

◇本文中に登場する略称
NM:ニンジャマスター    → ゲームの進行役。描写などを行う。
PL:プレイヤー       → ゲームの参加者。PCを操作する。
PC:プレイヤーキャラクター → ゲーム内の主人公。メインキャラ。


前シナリオ


はじめに

このシナリオは、最終的な分岐選択で全てのPCが『アシッドウルフ』率いるブラックサイトに加担することを選択し、反アマクダリ・反アガメムノンの立ち位置を取る鷲のニンジャ勢力となった場合を想定した内容となっている。

PCは紆余曲折を経た後に合流し、トリロジー・エピソードである【ヒア・カムズ・ザ・サン】のストーリーラインに従い、アマクダリ・セクトのロケット計画を妨害しに寒村カナリー・ヴィルへと向かう。一行はそこで同じくアマクダリの妨害に潜入していたナンシー・リーと遭遇し、なし崩し的に共同戦線を張ることになるが、最終的にはアシッドウルフの計画との競合を理由に敵対する事になってしまうだろう。

なおPCが別々の道を歩むことになった場合や、PC全員がアシッドウルフに敵対することを選択した場合のシナリオアイデアは末尾に収録されている。

目的:第二のASATSを放ち、アルゴスとのリンケージを確立する。
任務:アマクダリのロケット計画を阻止しつつ、上記の目的を達成するため磁気嵐突破装置を利用する。
敵 :アマクダリ・セクト


マップデータ

このシナリオで使用するマップデータはGoogle スプレッドシートで作成されています。下記からローカルにダウンロードするか、ご自身のアカウントにコピーを作成してGoogle スプレッドシート上で使用してください。


導入

手配された新たなアジトの片隅にて、何日ぶりのことか、N人とN人は再び顔を突き合わせている。それぞれが過酷なイクサを潜り抜け、何かを知り、悩み、それらの情報を咀嚼するのに十分な時間を経た。

ブラックサイトほど広くもないが、変わらず閉塞感と無機質な印象が拭い去れぬこの場所には、やや困惑の感情を含む、張り詰めたアトモスフィアがあった。

描写のサンプル

シナリオは過去の回想の形で、アジトにおける顔合わせのシーンから始まる。全員がアシッドウルフに忠実な形で物語が進行していた場合、このシーンは特別なものにはならないが、敵対的な行動を取ったPCが存在する場合、ややヒリついた緊張感のあるものになるだろう。

この導入シーンやダンゴウでは(PLが求めるなら)必要に応じて【オペレイシヨン・グレイストーン】で語られるような断片的な真実(PCは元ソウカイヤのニンジャであり、アシッドウルフによって"リクルート"された存在である等)が望むPCに与えられる。これはPC間の会話による共有でも、単にアシッドウルフから知識として(シナリオ開始以前に)与えられたものとしてもどちらでも構わない。


ダンゴウ

微かな物音の後、ガゴンという金属音と共に、天井のハッチが開き"ボス"が部屋へと滑り降りて来た。この部屋は地下に埋まっていたのだ。「……全員揃っているな」砂を払いながら、旧世紀ポリゴンめいたメンポの歪みを直す「そろそろ埃っぽい地下にもうんざりした頃合いだろう」

「仕事の時間だ」彼はテーブルに歩み寄ると、幾つかの写真を開いた。「次の任務はこれだ」そこには何らかの工業地帯と思われる風景が納められている。発電所、あるいは黒煙を吐き出す製造プラント……そういった風景だ「お前達の任務は、この場所への潜入と……破壊だ。幾つかの寄り道はしてもらうがな」

アシッドウルフは別の写真を取り出して続ける「ここはつい最近まで、ただの寂れた田舎の村だった。それが今では、ジェネレーターから製造工場までを取り揃えた工業地帯と化している。アマクダリ・セクトの仕業だ」


「そして、ここで製造されているのは磁気嵐と大気圏を抜け、その先へと至る宇宙開発ロケットだ」突飛もないキーワードに君たちは耳を疑うかもしれない。現代における宇宙開発技術はほぼロストテクノロジーであり、彼方此方に存在するスペースデブリや狂った軍事用衛星、なにより磁気嵐が原因で夢もまた夢……アマクダリ・セクトはそんなものを実現しようとしているというのか……?

描写のサンプル

PC同士の会話が十分に行われ、シナリオ本編におけるわだかまりがある程度解消された(=再び協力関係を取り戻すことができた)と感じたら、マスターはシーンを進める。

地下の隠れ家にはアシッドウルフが現れ、次のような任務の概要を一行に説明する。

◉今回の任務はネオサイタマ北東の寂れた寒村『カナリーヴィル』に潜入し、アマクダリ・セクトのロケット打ち上げ計画を阻止することだ。

◉アマクダリは工場から発電所までを建造することで、カナリーヴィルをロケット打ち上げ実験場へと変貌させており、更にはこの村から直接ロケットを打ち上げようとしている。

◉この事実が明らかとなったのは最近のことであり、ロケット計画は最終フェーズまで到達してしまっていると考えられている。少なくともロケットは完成し、村の後ろの広大な空白地の中央に管制塔と共に屹立している。

◉カナリーヴィルの詳細な状況は判明していないが、警備として多数の武装クローンヤクザやドローン兵器が配置されていることまでは確認されている。この傾向は先述の管制塔に近づくほど顕著であり、空白地は戦場じみた厳重な警備システムに護られている。


目標1:PCは厳重な警備を潜り抜け、管制塔に接近する方法を見つけ、ロケットを破壊しなくてはならない。

目標2:PCは発射台に設置されている磁気嵐突破システムをハッキングし、ある特定の地点を穿つよう再プログラミングしなくてはならない。この座標はUNIXコンソールに到達した時点で伝えられる。

目標3:PCは管制塔・発射台・工場・発電所・UNIX拠点といった関連施設を物理的もしくは電子的に破壊しなくてはならない。これは施設および器材の流用により、セクトが計画を迅速に再稼働させないための予防措置である。

支給品:PCには目標2,3を達成するウィルス・プログラムが書き込まれた、専用のフロッピーディスクが支給される。これは管制塔の制御UNIXに挿入すれば、自動的に効力を発揮する。


シーン1:鉄塊カゲムシャ

こうして君たちがアシッドウルフとのブリーフィングを終えた――――のは数日前の話だ。そして現在!

「ゴウオオオーン!」シャッターが内側から引き裂かれ、カラテ警戒する君たちの前に、巨大なスモトリじみた存在が出現した!「虫ケラァ……虫ケラァ」鉄のスモトリニンジャ、コーナラーが、鉄のニンジャフルヘルムの覗き穴から紫の炎を滾らせ、マントラじみた呟きを吐きながら進み出る。

君たちは寒村『カナリーヴィル』に潜入して以来、この鉄のニンジャに執念深くつき纏われている。異常なタフネスに加え、大質量から繰り出される致命的なカラテ。それは君たちであっても侮り難く、2~3人がかりでどうにか撒けるような強敵だ。

幸いにも、意志なき自立兵器なのか、現在はアマクダリ側に侵入は検出されていないようだが、コーナラーとの戦闘が長引くほどにそのリスクが高まることは必然。しかし今は、突破口を開くためにもカラテあるのみ!

描写のサンプル

ダンゴウが終わると、このシナリオは突然にして強力な無機物ニンジャ、コーナラーの追跡に対処するシーンへと移行する。ここで彼らはカナリーヴィルに潜入したものの、この厄介な超常存在につき纏われ、思うように任務を遂行できていないことが説明される。

マスターは、彼らが調査の結果、目標地点である中央管制塔が自動プラズマ・カカシやオナタカミ戦車、地雷などに守られていて容易に接近できないことを突き止めていることを伝える。これらのトラップに対処しながら目標に接近することは決して不可能ではないが、戦場じみた状況にコーナラーや他の敵性ニンジャが乱入してくれば事態は困難を極めるであろう。

ここでPCはコーナラーと1~2ターンの戦闘を強いられ、その強さや厄介さを実感する。NMはその間に、目標地点である中央管制塔が自動プラズマ・カカシやオナタカミ戦車、地雷などに守られていて容易に接近できないことを既にPCが突き止めていることを伝える。


戦闘処理

ここでPCはコーナラーと1~2ターンの戦闘を強いられる。マスターは戦闘用のグリッドマップを用意しても構わないが、基本的には敵の厄介さを印象づけるためのイベント戦闘となるため『グリッドマップを使用しない戦闘』ルールを用いて簡易的に処理を行うことを推奨する。


◇NPCデータ:コーナラー/鉄塊カゲムシャ

コーナラーは成長限界級のPCにとっても相当に厄介な敵であり、シナリオ終盤までしぶとく彼らにつきまとう。またこの時点で倒されることは想定されていない。NMはこれがイベント戦闘であることをPLに伝えつつ、RPの一環として、PCに短い戦闘でコーナラーの強さを実感させる。

もしコーナラーの【体力】が0以下になってしまった場合、1ターン行動不能になった後に完全回復する、あるいはその時点でシーンクリアとする(足止めに成功したものとして扱い、後のシーンで再登場する)と良いだろう。

「虫ケラァ……虫ケラァ」 /// 「ゴウオオオーン!」

◆コーナラー  (種別:ニンジャ/大型1x1)
カラテ    13    体力   38/-1
ニューロン  6     精神力  –
ワザマエ   7     脚力   9/UH
ジツ     5     万札   0
近接攻撃D:11、回避D:8
◇装備や特記事項
 スキル:『●連続攻撃3』、『●ダメージ軽減1』、『●即死耐性』
     『★巨体の怪力』、『★◉弾き飛ばし』、『◉叩き伏せ』
     『★アースクエイク・シコ』、『★★ビッグ突撃』

『●鉄塊カゲムシャ』:
 カゲムシャ・ジツによって生み出された強靭な無機物ニンジャとして、次の補正を得る。
  ・ジツ値5として扱われ、ビッグニンジャ・クランのサマリーに従ってジツを得る。
  ・【精神力】が「−」となり、精神攻撃の対象とならなくなる。
  ・『●アースクエイク・シコ』などビッグニンジャ・クランのスキル使用時のコストを無視する。

  ・常に『ダメージ軽減1』を得る。これは『爆発』に対してのみ『ダメージ軽減4』となる。
  ・出目2〜5の『サツバツ!』による能力値ダメージを全て無視する。
  ・『大型(1x1)』となり、『轢殺攻撃2』を得る。
  ・素手による近接攻撃時に『リーチ+1』を得る。

『●裏拳カウンター』:
 コーナラーは敵からの近接攻撃で体力にダメージを受けたとき、望むなら自動的に
 『カウンターカラテ』を発生させて反撃しても良い。1回の攻撃フェイズ中に1回までの使用。

◇戦闘スタイルについて
コーナラーは極めて頑強なニンジャであり、自らの被弾も意に介さずパワフルなカラテでPCを猛追してくる。想定される攻撃パターンは次の通りだ。

通常移動による轢殺(PC2人まで)→PC1人に素手攻撃*3
移動せずアースクエイク・シコ→PC1人に素手攻撃*3
ビッグ突撃による轢殺(1d3ダメ、回避HARD)→PC1人に素手攻撃*3
 ※極力PC2人以上を射程に捉え、命中時は弾き飛ばしを与えたうえで、別のPCにターゲティングさせると想定外の被弾による事故が減るだろう。


ドンデンガエシ・ジツ

「グワーッ!」巨体が……遂に膝をつく!一瞬の隙を突き、君たちはその場から離脱を試みる。過去の戦闘で実証されているように、コーナラーの耐久力は無尽蔵だ。今は怯んでいるように思えるが、すぐにそのタフネスは取り戻されてしまうだろう。

そしてその場から駆け出したとき……君はいつの間にか、足元の1角に超常的な光の切れ目が入り、およそ4m四方の領域が形成されていることに気がつく。君はこれと同じ現象を目にしたことがある。

ドンデンガエシのジツ。背後には体勢を立て直し初めたコーナラー。これ以上、イクサの騒動を長引かせるわけにはいかぬ。

そうして君たちは再び、数日前を思い出させる地下へ。しかし下水道へと"落下"することになるのであった……。

描写のサンプル

コーナラーと激しいイクサを繰り広げるPCは、いつの間にか地面のある箇所に光の切れ目が入っていることに気がつく。【コールド・フィート√B】などを経験しているPCは、それがブルームキャットの仲間、メガヒンジによるドンデンガエシ・ジツであることが分かるだろう。

イクサの騒動を長引かせるわけにはいかないPCたちは、否応なしにこのドンデンガエシを用いることとなり、落下した先の下水道でメガヒンジと対面することになる。

もしPCがこのドンデンガエシの使用を快く思わないのであれば、コーナラーとの追撃戦がもうしばらく続いた後、下水道へと追い詰められ、遅かれ早かれメガヒンジと遭遇するように処理を行うと良いだろう。


◇NPCデータ:メガヒンジ

メガヒンジは小柄で機敏なニンジャである。
ストリート・ファッションの上から、破った錠前類をアクセサリめいて着用する。

メガヒンジは相棒のライトニンググローブと共に金庫破りを繰り返していたストリートニンジャであり、現在はブルームキャットの仲間として彼女に協力している。彼は鷲のニンジャの存在や目的などは何も知らず、ただブルームキャットやPCが何らかの計画に携わっていることだけは把握している。

このシナリオにおいて、メガヒンジは密かにPCを尾行して接触する機会を伺っている。これは独断専行の単独行動であり、その目的は【オペレイシヨン・ライト】で何があったのかを、ブルームキャットと同じ秘密を共有していると思われるPCに問いただすことだ。


ブルームキャットは【オペレイシヨン・ライト】でシロウ・イスヒの言葉に自己定義を揺らがされて以来、自己認識に関する疑念と不安を抱いている。これには特殊な彼女のジツの性質も影響を与えている。

メガヒンジは様子のおかしい彼女を案じており、解決の糸口を探るべく、何かがあったのではとPCを尋問する機会を伺っている。このシーンでメガヒンジはPCの活動の最終的な目的を聞き出し、またそれがブルームキャットを害したり彼女の意に反することではないのか確かめようとする。

「自分のジツは、壁や床を無視する。逃げるにはもってこいのジツだ」

◆メガヒンジ (種別:ニンジャ)
カラテ    5     体力   8
ニューロン  8     精神力  8
ワザマエ   7     脚力   5
ジツ     5     万札   25
近接攻撃D:5、射撃D:9、ジツ発動D:13、回避D:9
◇装備や特記事項
 スキル:『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、『◉防具習熟』
     『◉常人の三倍の脚力』、『◉トラップ対処知識』、『◉暗殺者の眼』
 装備 :『アサシンダガー』、『タカハシ・マスター・ツールキット』
     『近代的タクティカルニンジャ装束一式』
 ジツ :『☆ドトン・ジツLv3』

『★ドンデンガエシ・ジツ』:
 移動フェイズ終了時、【精神力】を1消費して発動(難易度:NORMAL)。
 術者に隣接する壁もしくは1マス分の障害物を回転扉に変化させ、直ちにその反対側へと移動する。

『★◉マス・ドンデンガエシ・ジツ』:
 『ドンデンガエシ・ジツ』発動時、【精神力】をさらに1消費することで
 効果対象に隣接するキャラ全員を追加しても良い。対象は術者と同じ方向へと直ちに移動する。
 ただし、移動方向に壁や障害物が存在しないキャラは全く影響をうけない。
 この効果は難易度HARDで回避が可能。

『★★グレーター・ドンデンガエシ・ジツ』:
 攻撃フェイズ開始時に【精神力】を2消費して発動(難易度:HARD)。
 術者と同じ部屋に存在する敵全員を対象に、大規模なドンデンガエシで上空へと跳ね上げる。
 対象は激突ダメージ1(回避:NORMAL)を受けた後、ターン終了時まで「回避難易度+1」となる。

『★◉ドンデンガエシ回避』:
 回避判定に成功したとき、即座に『☆ドンデンガエシ・ジツ』の発動を試みても良い。
 発動に成功したとき、本来の効果か『バック転回避』の効果のどちらかを発生させる。
 これによって届かなくなった攻撃は失われる。


シーン2:下水道とハッカーの隠れ家

「彼女の心のゆらぎ。その原因がお前達なら……」メガヒンジがその続きを口にしようとしたとき、ガタン、と金属音が下水道に響き渡り、何者かがマンホールから飛び込んできたような物音を水路の先から聞き捉える。

君たちの警戒に反して、メガヒンジはまだ冷静に見えた「あの光の柱に近づけなくて困ってるんだろう」発射台のある空白地のことを言っているのだろう。実際、そのとおりだ。「……助けになる連中が居る」

「手が無いわけではない。行儀よくするなら、引き合わせてやる。助けになるだろう。代わりに、話してもらう」メガヒンジは君たちを伴い複雑な水路をしばらく歩いた後、忌まわしきドンデンガエシのジツを用いた。

そしてそれは、厳重なセキュリティを迂回して、君たちを小さな"アジト"へと導いた。ドンデンガエシを越えた君たちの目に飛び込んでくるのは、妙な取り合わせの4人であった。

描写のサンプル

メガヒンジと遭遇してからしばらく後、その詰問に明確な答えが出る前に、その場の全員が何者かがマンホールを開けて飛び込んできたような物音を水路の先から聞き捉える。この物音の正体は、トリロジー・エピソードの【ヒア・カムズ・ザ・サン】でも描かれる、子供を保護したレッドハッグが逃げ込んできた音である。水路はレッドハッグや、彼女と協力関係にあるナンシー・リーが構築した隠れ家に繋がっているのだ。

メガヒンジは尾行の過程で検出した彼女らと、PCよりも先に接触を果たしており、中立的な協力体制を築くことに成功している。メガヒンジが受け取る対価はPCを追跡するための中間拠点、ナンシーらが受け取る対価はドンデンガエシによる安全な移動手段である。


抜け目のないメガヒンジは、PCやブルームキャットが取り組んでいる謎めいた計画について情報を引き出す(あるいは開示してもらった)対価として、ナンシーとPCを引き合わせ、さらなる協力体制を構築させようとする。PCは空白地の防衛システムへのハッキング対抗策を、ナンシーらは不足していた対アマクダリの手数を手に入れることになるだろう。

現れたPCにレッドハッグは不信感を顕にするが、幸いにもPCは【オペレイシヨン・スターゲイト】にてナンシーと面識があるため、彼女は油断こそしないものの、彼らに交渉のチャンスを与えようとはする。
 彼女らにとって、アマクダリの勢力圏の内部で騒動を起こして不要に検出されるリスクを増やすのは本意ではない。これはPCにとっても同じであり、彼らより先行して潜伏していたナンシーらは重要な情報源になるであろう。

PCがここで過激な反応を取らず、ナンシーとの会話に応じた場合(【オペレイシヨン・スターゲイト】で敵対的な関係になっていない限り)、次のような情報を引き出すことができる。

◉はナンシーから明かされる情報、▲はPC視点での情報の解釈を表している。なおカナリーヴィルにはニンジャスレイヤーも潜入しているが、彼女は意図的にその情報を伏せて会話を進めてくる。

◉知っての通り、カナリーヴィルはセクトの手によってロケット実験施設へと改造されてしまっているが、同時に本来の住民たちは奴隷として捕らえられ、施設での労働を強いられている。

◉ナンシー及びレッドハッグの目的は、陰謀の正体を掴み、奴隷化された住人を解放し、セクトに何がしかの打撃を与えること。それら要素のいずれか、あるいは全てを達成することだ。

◉セクトの計画の要にして、ナンシーらの最終目的地は、村の後ろの広大な空白地と、その中央に屹立する管制塔である。彼女らは外部から切り離されたクリティカルなシステムに直接侵入し、電子的に破壊するつもりだ。

◉管制塔に接近するには、まず空白地に配置されている自動プラズマ・カカシやオナタカミ戦車、地雷等を無力化する必要がある。ナンシーとサヌマ(同行しているシステムエンジニア)が今まさに取り組んでいるのがそれだ。

▲現状、ナンシーらと利害関係は完全に一致しているように思える。特に敵ニンジャ戦力が未知数の状況では、防衛システムに対するハッキング工作は願ったり叶ったりだ。

▲ナンシーのウィルスが想定通り機能するならば、管制塔の基幹UNIXを連鎖爆発させることでシステムを滅ぼし、うまくいけばロケットにアクセスして自壊させることも可能だろう。物理的なアプローチより、PCの手間は省けるはずだ。しかし、磁気嵐突破装置のシステムを書き換えるという目的は達成されない。

▲奴隷化された住人の開放はPCにとって全く重要ではない。しかし、うまく煽動して暴動に発展すればセクトの警備網を混乱させられるだろうし、何よりナンシーらを味方につけやすくなるはずだ。

▲懸念材料は、ロケット計画を阻止した後に何が起こるかだ。現状は利害関係が一致しているように思えるが、目的を達成し磁気嵐突破装置に干渉したとき、何が起こるのかPCは知らず、それによって彼女ら……場合によっては協力者であるニンジャスレイヤーがPCの背後関係を探ろうとインタビューを試みてくる可能性は十分にある。


◇NPCデータ:レッドハッグ

レッドハッグはフリーランスのニンジャであり、偶発的な事故からアマクダリの陰謀に巻き込まれ、そのオトシマエをつけさせるためナンシーに協力している。アマクダリによる管理支配体制をよく思っていない。

彼女はPCの出自や所属を気にはしないが、身元を隠そうとする動きから危険な香りを感じ取っており、表面上は普通に振る舞っていたとしてもPCに対する警戒を怠ることはない。レッドハッグはPCが自分たちとは異なる目的を抱えていることを察知しており、それがナンシーや自身に不利益と分かれば妨害するつもりでいる。しかしそれが起こるまでは、彼女は頼もしい味方となるだろう。

「全く!こんなガキを……面倒増やしやがってさ」

◆レッドハッグ (種別:ニンジャ)
カラテ    10    体力   10
ニューロン  7     精神力  9
ワザマエ   10    脚力   5/N
ジツ     0     万札   0
近接攻撃D:10/12、射撃D:10、回避D:11
◇装備や特記事項
 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
     『◉◉戦闘系ソウルの力』、『◉◉タツジン:ボックスカラテ』
     『◉◉タツジン:イアイドー』、『◉ヒサツ・ワザ(ファイアフライ)』
     『◉特殊近接ステップ』、『◉タクティカル移動射撃』、『☆◉ニンジャ存在感のオーラ』

 装備 :『ニンジャ存在感のオーラ(【体力】+2、【精神力】+1、回避+1、緊急回避+4)』
     『クロームのライター(精神力+1)』

 武器 :『カタナ』、『生成ナックルダスター(素手、近接攻撃D+2)』


◇NPCデータ:ナンシー・リー

ナンシー・リーはニンジャスレイヤーに協力するフリーランスのハッカーである。彼女はアマクダリに打撃を与え、カナリーヴィルを開放しようとしている。

【オペレイシヨン・スターゲイト】でPCがナンシーに過激な行動を取ってさえいなければ、彼女は彼らが無差別的なニンジャではないと認識し、最初から協力的な態度を示す。そうでない場合、先述の情報のすべては開示せず、なるべくPCに目的が悟られないように試みるだろう。

ただし、いずれの場合でも、別道中のニンジャスレイヤーの存在については言及したり認めたりすることはない。

「セキュリティの再設定のトリガーが引かれた。想定はしていたけど、相当早いわね」

◆ナンシー・リー (種別:モータル)
カラテ    1  体力   1
ニューロン  12  精神力  12
ワザマエ   4  脚力   2/-
ジツ     -  万札   10

攻撃/射撃/機先/電脳  1/4/14/19
回避/精密/側転/発動  12/-/-/-

※モータルのため、ナンシーの行う『回避判定』は難易度が+1される。
 ナンシーは監視カメラ網などの複数レイヤー視界を常時有し、敵の攻撃を察知して物陰に隠れる。

◇装備や特記事項
 ▶︎▶︎生体LAN端子LV2、▷電脳戦用デッキ、▷ファイアウォール
 『◉kill-9』、『◉killall』、『◉sudo_kill-9』、『◉ニューロンブースト/チルアウト』、
 
 『◉◉監視カメラレイヤー没入』:
  『集中状態』に入ったナンシーは、別の部屋にいる敵に対しても電脳戦系スキルを使用できる。
  ただしこの場合、各スキルの発動難易度は+1されてしまう。
  また、それが『対抗判定』を必要とするスキルならば、ナンシー側の判定難易度のみ+1されてしまう。


その他アジトに潜伏している人々(補足情報)

サヌマ:ITエンジニア。下請けでロケット計画の関連案件を受注したことで陰謀に巻き込まれる。ナンシーと共にセクトの計画を妨害しようとしている。

ハマ:カナリーヴィル出身の少年。帰省すると故郷がロケット実験場と化していた、という状況に衝撃を受けつつ、自由を取り戻すために行動を起こそうという気概を持っている。


シーン3:破壊工作

「端的に話すわ。私達には空白地を守るセキュリティを突破する手段がある。でも手が足りない――」

君たちに求められるのは、ナンシーらが空白地への突破口を開く間に、セクトによる追跡を遅らせることだ。具体的には、このカナリーヴィルに駐屯し、コーナラーの戦闘痕を調査している2人のニンジャを始末しなくてはならない。

コーナラーは君たちを追って彼方此方で暴れており、彼らの手でコチラ側の存在が暴かれるのも時間の問題だ。彼らは空白地へのホットラインを持っており、ブースターアンテナを含む電子設備を保有する施設に駐屯している。だが、迂闊に侵入すれば彼らに即通報されてしまうだろう

そこで、有害電磁波を放ち通信を妨害しているコーナラーを誘導し、彼を引き連れて設備に突入して欲しい。追跡ニンジャの始末と、ブースターアンテナの破壊が達成されたならば、戦況はかなり有利になる――

描写のサンプル

ナンシーとの交渉の結果、PCは彼女がハッキングにより空白地への突破口を開く間に、アマクダリの電子拠点を襲撃し、敵の追跡を遅らせる破壊工作(そして実質的には陽動作戦となる)を引き受けることになる。

カナリーヴィル内には空白地との通信設備(制塔との通信電波を増強するブースターアンテナなども含む)を備えた電子拠点が幾つかあり、PCがターゲットとする拠点にはセクトのニンジャが駐屯している。彼らは巡回こそしていないが、PCとコーナラーの戦闘痕に気が付きクローンヤクザ部隊を派遣した捜査を開始している。

PCは有害電磁波を発するコーナラーをここに誘導することで、敵のIRC無線通信を妨害しつつ、駐屯ニンジャを爆発四散させることで敵の追跡を遅らせなくてはならない。


戦闘マップ

この戦闘では「電子拠点襲撃」の戦闘マップを使用する。マスターはマップ上の「白い◉マーク」上にPCを配置させてから、戦闘を開始する。

NMはPCの強さに応じて、ハイタカやクローンヤクザを追加で配置しておいても構わない。また複数名のニンジャが入り乱れるこの戦闘においては、乱戦のルールが適用される。

戦闘の勝利条件:ハレーションとヴァンデグラフを爆発四散させる。

警報の発報(戦闘中のルール処理)

ヴァンデヴラフとハレーションは、ブースターアンテナを介して空白地との通信ホットラインを有している。コーナラーの有害電磁波がなければ、手元のIRC端末から無線接続して、PCと遭遇した時点で空白地へと警告を送信してしまう。

一方で電子拠点内に配置された『通信装置』は有線回線を用いており、コーナラーの有害電磁波の影響はほぼ受けない。ヴァンデヴラフとハレーションは【体力】が半分以下になると、この『通信装置』で空白地と連絡を取ろうと試みる。

通信装置:隣接し「その他の行動」として空白地と連絡を取ることができる。敵が2ターン連続でこれを行った時点で、空白地に情報が伝わってしまう(後にPCに不利な展開が発生する)。

通信装置は【体力】2を持つものとみなされ、PCは通信装置を直接攻撃して破壊することで、これを妨害することができる。

追跡するコーナラー(戦闘中のルール処理)

この戦闘ではターゲットのニンジャ2人に加え、PCの撒き餌に食いつき追跡を開始したコーナラーがマップ上の任意の場所に配置され、襲撃してくる。

マスターは自由に壁を破壊しながらコーナラーを動かし、プレイヤーにプレッシャーを与え続けると良いだろう。

彼のニューロンに帰還命令が届いたのはこの時である:戦闘開始から3ターンが経過すると、異常事態を疑うヘファイストスからの思念命令が届き、コーナラーが空白地へと撤退してゆく。これによって有害電磁波による電波障害が解消されてしまうため、ターゲットの2人を迅速に始末できなければPCにとって不利な事態が引き起こされる。

◇NPCデータ:ハレーション

ハレーションは強力な範囲攻撃の持ち主であり、特定のキャラクターを攻撃するためにPCが密集すると一網打尽を狙って立ち回る。

サイバネローブの起こした火種をジツで増幅することで、あたかもローブの内側から火球が出現するかのように見せかける、極めて精密なジツ制御を身に着けているニンジャ。

「紛い物のテックなど、おれが溶かし尽くしてくれよう」 /// 「それを上回るがニンジャのジツ……」

◆ハレーション (種別:ニンジャ)
カラテ    7     体力   7
ニューロン  9     精神力  10
ワザマエ   6     脚力   5/E
ジツ     4     万札   25
近接攻撃D:7、射撃D:6、ジツ発動D:15、回避D:9
◇装備や特記事項
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『◉常人の3倍の脚力』、『◉トライアングル・リープ』
 装備  :『パーソナルメンポ』、『赤熱クロー(ダメージ1+火炎ダメージ、攻撃難易度EASY)』
 サイバネ:『▶生体LAN端子Lv1』、『▷ジツ支援サイバネ』
 ジツ  :『☆カトン・ジツ』、『★カトン連打』


◇NPCデータ:ヴァンデグラフ

謎めいた装束に蓄積された静電気をサイバネ増幅し、連鎖放電攻撃へと転化する。制圧射撃にたまらず接近してきた敵に電撃を浴びせる戦法を得意としている。

ヴァンデグラフは特殊な2種類の遠隔攻撃を使い分ける。連鎖アーク放電は密集しているPCに対して、体力受けをしづらくし、スリケンマシンガンは離れたPCに対して油断ならない制圧力を発揮する。

「賊め……ここをどこか分かっての狼藉か!?」 /// 「失せよ!サンシタ!」

◆ヴァンデグラフ  (種別:ニンジャ)
カラテ    7    体力   8
ニューロン  8    精神力  9
ワザマエ   7    脚力   4/N
ジツ     0    万札   25
近接攻撃D:7、射撃D:12、回避D:9
◇装備や特記事項
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『◉銃弾の見切り』、『◉爆炎の見切り』、『◉緊急ブリッジ回避』
 装備  :『パーソナルメンポ』、『タクティカルニンジャスーツ』
 サイバネ:『▶テッコLv1』、『▶サイバネアイLv1』、『▷高性能赤外線ターゲッター』

『連鎖アーク放電装置』:
  銃器、時間差可、マルチ可、連射2、2ダメージ(電磁)、回避HARD
  
  『●連鎖感電』:
   射撃の命中時、対象に隣接する敵1体を選択して同じダメージを与える。

『内蔵型スリケンマシンガン』:
  銃器(回避時はスリケンとみなす)、本人の連射+2、1ダメージ、回避NORMAL、時間差可


◇NPCデータ:ハイタカ

◆ハイタカ  (種別:戦闘兵器)
カラテ    2  体力   4
ニューロン  2  精神力  –
ワザマエ   3  脚力   6(飛行のみ)
ジツ     –  万札   0
射撃D:4

◇装備や特記事項
 ショットガン: 銃器、連射1、ダメージ2
 小型マシンガン: 銃器、連射3、ダメージ1

 『◉飛行移動』:ハイタカは常に6マスの『飛行移動』を行う。


◇NPCデータ:クローンヤクザ

◆クローンヤクザY-12型 (種別:モータル/バイオ生物/ヤクザ)
カラテ     2   体力     1
ニューロン   2   精神力    1
ワザマエ    3   脚力     2
ジツ      -   万札     -
近接攻撃D:2、射撃D:3
◇装備や特記事項
 アサルトライフル:遠隔武器、連射2、ダメージ1


◇NPCデータ:コーナラー/鉄塊カゲムシャ

ここで登場するコーナラーはシナリオ冒頭で戦闘した際と全く同じステータスを持つ。もし【体力】など副次能力値がダメージを受けていた場合でも、このシーンではすべて完全回復した状態で再登場する。

なおコーナラーはこのシーンでも爆発四散はせず、先述のように3ターンが経過するか、戦闘の勝利条件を満たした時点で、彼を操るジツの使い手であるヘファイストスの命令を受け空白地へと撤退してゆく。

◆コーナラー  (種別:ニンジャ/大型1x1)
カラテ    13    体力   38/-1
ニューロン  6     精神力  –
ワザマエ   7     脚力   9/UH
ジツ     5     万札   0
近接攻撃D:11、回避D:8
◇装備や特記事項
 スキル:『●連続攻撃3』、『●ダメージ軽減1』、『●即死耐性』
     『★巨体の怪力』、『★◉弾き飛ばし』、『◉叩き伏せ』
     『★アースクエイク・シコ』、『★★ビッグ突撃』

『●鉄塊カゲムシャ』:
 カゲムシャ・ジツによって生み出された強靭な無機物ニンジャとして、次の補正を得る。
  ・ジツ値5として扱われ、ビッグニンジャ・クランのサマリーに従ってジツを得る。
  ・【精神力】が「−」となり、精神攻撃の対象とならなくなる。
  ・『●アースクエイク・シコ』などビッグニンジャ・クランのスキル使用時のコストを無視する。

  ・常に『ダメージ軽減1』を得る。これは『爆発』に対してのみ『ダメージ軽減4』となる。
  ・出目2〜5の『サツバツ!』による能力値ダメージを全て無視する。
  ・『大型(1x1)』となり、『轢殺攻撃2』を得る。
  ・素手による近接攻撃時に『リーチ+1』を得る。

『●裏拳カウンター』:
 コーナラーは敵からの近接攻撃で体力にダメージを受けたとき、望むなら自動的に
 『カウンターカラテ』を発生させて反撃しても良い。1回の攻撃フェイズ中に1回までの使用。


シーン4:レジスタンス暴動の発生

電子拠点は無残に破壊しつくされ、残党を狩り終えた君たちにこれ以上ここでなすべきことはない。約束を正しく果たすか確かめるため、一度ナンシーらの元に戻るべきだろうか?

極めて微妙なバランスの上に成り立っている協力関係に、君たちは僅かばかりの不安を抱く。ナンシーは本当に約束を果たすだろうかと。そして君たちがその場から撤収を開始したとき、大地の一部が裏返り、メガヒンジがその場に現れた。

描写のサンプル

ハレーション、ヴァンデグラフを撃破してしばらく後、PCの前には伝令としてメガヒンジが再び現れる。PCが【オペレイシヨン・ライト】の出来事や、彼らの目的についてまだ明かしていない場合、メガヒンジはまずナンシーらと引き合わせた対価としてその情報を要求してくる。

どこまで情報を明かすかはプレイヤー次第だが、メガヒンジは元々PCをそれほど信用していない。PCの対応によって、その警戒度が変化すると考えるのが良いだろう。

PCがナンシーと良くない出会い方をしていた場合:メガヒンジはPCの危険性について情報共有を受けており、レッドハッグがレジスタンスの救援に向かったことを自分からは明かそうとしない(「暴動支援」シーンは強制的にスキップされる)。

PCがナンシーを狙おうとした場合:メガヒンジは先んじてナンシーの潜伏地点を移動させており、PCが彼女たちの居場所を突き止めて襲撃することができないように仕掛けを施している。彼らは無駄足を踏まされることになるだろう。

PCが情報を出し渋った/嘘をついた場合:メガヒンジは必要以上に食い下がらないが、その時点でPCがブルームキャットにとって有害な存在であると判断する。ナンシーを安全な場所に移動させるだけでなく、レッドハッグに協力し、展開によってはPCの敵として再登場する。

メガヒンジとの会話が一段落すると、PCはカナリーヴィルが妙に騒々しいことに気がつく。アマクダリの罠に燻り出されたレジスタンスのヤバレカバレの反撃を契機に、カナリーヴィル住民による村解放の暴動が始まったのだ。メガヒンジはレジスタンスが罠にかかり、その救出にレッドハッグが向かったと伝えるだろう。

空白地を目指すPCにとって、揺動のためにもレジスタンスが生存していることはメリットになると思われる。だが空白地を守っていた防衛装置がシャットダウンされたなら、彼らの生死は目的に何の関係もないのは事実だ。PCはここで行き先を選択する必要がある。

レジスタンスの支援に向かう:PCはレッドハッグに協力し、「暴動支援」シーンでレジスタンスの暴動を支援する。続く「空白地へ」シーンの難易度が低減する。

空白地へと向かう:PCは義理は果たしたと判断し、「暴動支援」シーンをスキップして直接「空白地へ」シーンを開始する。ただし、空白地における戦闘難易度は増加してしまう。


暴動支援

 ブッシュの中から飛び出した影が空中で一回転して着地すると、そのクローンヤクザの首から鮮血が噴き出し絶命!山猫めいた影がゆらりと立ち上がると、赤い二つの光が闇に刻まれた。光る目?否、それはタバコの火だ。二つのタバコの火だ。タバコを二つ咥え、抜身のカタナを持つ女である!

「チェラッコラー!」ヤクザ達が一斉に銃を構える!「ッたく!ステルスは苦手なンだよ!面倒くせえ!」女は叫び、次の獲物をめがける!「イヤーッ!」「ザッケンナコラー!」BRRRRTTTTT!「イヤーッ!」「グワーッ!」そして、刺激臭をともなう白煙はいよいよ濃さを増して回り込む!

「ザッケンナコラー!」「スッゾコラー!」遠巻きに新たなヤクザスラングの波!白煙の中、カタナ持つ女は唖然とするレジスタンス達を見渡し、叫んだ。「アンタ達、何寝てンだい!」「ウオッ!」オミロは我に返った。地面に屈み、クローンヤクザの死体の手からライフルを奪い取った!「ウオーッ!」

【ヒア・カムズ・ザ・サン】より

暴動を支援することを選択した場合、PCはレッドハッグとハマ、そしてカナリーヴィル住民が暴動を起こしている場面に増援として登場する。

ここでは武装したクローンヤクザが主な敵だが、はるか遠方からはロングカットによるスナイパースリケンが飛来する。PCはこれに対処しながら、村人たちを収容施設へと到達させることが目的となる。


戦闘マップ

この戦闘では「暴動支援」の戦闘マップを使用する。マスターはマップ上の「白い◉マーク」上にPCを配置させてから、戦闘を開始する。この戦闘ではレッドハッグも味方NPCとして援護してくれるため、マスターは任意の場所に彼女を配置して構わない。


  • この戦闘において、マップ上の「村人」は特殊なギミック・オブジェクトとして扱われる。

    • 「村人」は毎ターン終了時に難易度NORMALの「進行判定」をダイス10個で行い、成功数と同じ値だけ全員がマップ上側へと前進する。ただし、そこに敵NPCがいた場合は強制的に移動は止まる。

    • 「村人」が1人でもマップの7行目=建物に到達した時点でシーンクリアとなる。

  • マップ上の「エネミーPOP地点」からは、毎ターン開始時に隣接マスへ敵NPCがPOPする。クローンヤクザとハイタカのどちらがPOPするのか、あるいは全てのマスからPOPするのかは、マスターの判断に委ねられている。

戦闘の勝利条件:村人がマップ7行目の建物に到達する。


◇NPCデータ:ロングカット

「スッゾオラー」包囲ヤクザトルーパーの一人が前へ出た。片手にアサルトライフル、片手にIRCスピーカー装置を持っている。『貴様らは終わりだ』女の声がスピーカーから発せられた。『下手な動きを取れば皆殺しにする。貴様らには情報提供の義務がある。ここでこのまま尋問する』

【ヒア・カムズ・ザ・サン】より

シャーテック出身のスナイパーニンジャ、ロングカットはPCの攻撃が及ばないはるか遠方からスナイパースリケンによって一方的な攻撃を行ってくる。マスターはターン開始時にPC1人を選択して狙撃攻撃を行わせること。なお彼女の狙撃は自動成功である。

ロングカットは基本的に動かないPC(例えば攻撃集中を行っているようなPC)を優先的に狙撃する。

『●スナイパースリケン・カタパルト』:
 ロングカットは毎ターン、スナイパースリケンによってマップ外から敵1体を狙撃する。
  ・精密狙撃  :連射1、ダメージ1+D3、回避難易度:HARD
  ・先読み狙撃 :連射2、時間差、ダメージ1、回避難易度:U-HARD


◇NPCデータ:ハイタカ

◆ハイタカ  (種別:戦闘兵器)
カラテ    2  体力   4
ニューロン  2  精神力  –
ワザマエ   3  脚力   6(飛行のみ)
ジツ     –  万札   0
射撃D:4

◇装備や特記事項
 ショットガン: 銃器、連射1、ダメージ2
 小型マシンガン: 銃器、連射3、ダメージ1

 『◉飛行移動』:ハイタカは常に6マスの『飛行移動』を行う。


◇NPCデータ:クローンヤクザ

◆クローンヤクザY-12型 (種別:モータル/バイオ生物/ヤクザ)
カラテ     2   体力     1
ニューロン   2   精神力    1
ワザマエ    3   脚力     2
ジツ      -   万札     -
近接攻撃D:2、射撃D:3
◇装備や特記事項
 アサルトライフル:遠隔武器、連射2、ダメージ1


空白地へ

君たちはカナリーヴィルの暴動を他所に、巡回クローンヤクザを殺しながら駆け、ついに空白地を隔てる金網を前にした。視界の先ではプラズマカカシがこれまでと打って変わった静かな様子を見せる。

ナンシーらの工作は上手く行ったのだろう。だが、管制塔に接近する上空の薄緑の光……それはまるでUFOじみていた。 想定外の出来事、不穏なアトモスフィアだ。さあ、猶予は何分ある?今こそ強行突入の時間だ。

描写のサンプル

レッドハッグは「暴動支援」シーンでレジスタンスに手を貸した後、空白地へと向かう。PCが「暴動支援」に参加していた場合、彼女はナンシーからプラズマ・カカシが停止したこと伝えられ、PCにも共に来るよう促すだろう。

「暴動支援」をスキップしていた場合:レッドハッグは「暴動支援」シーンの戦闘を継続しており、空白地には到達していない。防衛装置は停止しているものの、PCは単独でここに対処することになる。


空白地のマップ処理

現在地を書き込んだり、塗りつぶしたりして進行度を管理する。

空白地では特殊なマップ踏破ルールによってターンを進める。マスターは「空白地」のマップを使用し、次のルールに従って処理を行うこと。

  • 「空白地」では通常の戦闘と同様、イニシアチブ順にPCの手番を処理する。PCは手番が回ってきたとき、「踏破率」を固定値1増加か、1+D3増加させるかを選択する。

  • この判定のたびに、PCは出目に応じた妨害を受ける。つまり、固定値1を選択した場合は妨害表のイベント1が発生することになる。発生イベントは「妨害表1」を参照すること。

  • レッドハッグが同行している場合、PCと同様のルールで「踏破率」を増加させるか、「踏破率」を増加させる代わりに、次のターンに発生するあらゆる妨害表のイベントの回避難易度を-1させるかを選ぶことができる(これはPCも恩恵を受ける)。

  • 「E」と書かれたマスを通過する、すなわち「踏破率」が10と20を超えると、対応したイベントが発生する。

◇妨害表1(ロングカットのスナイパースリケン狙撃)
1 : ほんの20フィート程度しか離れていない土管の陰へ飛び込んだ!:特に妨害は受けない。
2 : ……ルルルル!空気の唸りが接近!:対象者は『精密狙撃』を受ける。
3 : 移動先を読んだ更なるスリケンが飛来!アブナイ!:対象者は『先読み狙撃』を受ける。
4 : スリケンがブラズマ・カカシに着弾、起爆!KABOOM!:全PCは2ダメージの爆発を受ける(回避NORMAL)。


◇イベント1:トラック

「イヤーッ!」車内で発せられたカラテ・シャウトをレッドハッグは聴いた。助手席のドアが弾かれるように開いた。運転者が蹴り開けたか。運転者は窓から顔を出し、「乗れ!」と叫んだ。レッドハッグは手段の評価を先送りし、すぐさま動いた。「イヤーッ!」跳躍する彼女にトラックがドリフト接近!

【ヒア・カムズ・ザ・サン】より

1つめの「E」地点を通過する(踏破率が10を超える)と、トラックを運転するニンジャスレイヤーが空白地へと現れる。レッドハッグは彼の呼びかけに助手席へと飛び込み、PCもなし崩し的に荷台ないしルーフ上に飛び乗ることになる。


このままでは管制塔に辿り着くころには来週だ!何か打開策がほしい。スリケンを斬る?そんなアクロバットを二度三度と繰り返すのは至難だ。ましてあの管制塔まで行くとなると、百度以上繰り返すハメに。

あらためて君たちは管制塔を見る。塔の上には薄緑の光を放つ影が浮いている。機影か。不穏だ。そしてやや離れた発射台……目を細めて見れば、そのロケットの機体には大きく「将来性」とショドーされているのが確認できる。

……乗り物……乗り物?そんなとき、<任意のPC>は背後の金網の向こうに、クローンヤクザを満載したトラックが走っているのを認める。丁度いいものがあるではないか。

描写のサンプル

レッドハッグが同行していない場合:ロングカットの執拗な狙撃に近づけずにいるPCは、背後の金網の向こうに、クローンヤクザを満載したトラックが走っているのを認める。PCはこれを奪うことで、空白地を踏破しようと思いつく。


ひとりは爆走するトラックの運転席に、残りはルーフでスナイパースリケンを迎撃する。無謀だが、一番可能性のある突破手段だ。KRAASH!フロントガラスを突き破り、スリケンが顔の横を掠める。

だがハンドルを握る<任意のPC>は別の物に意識を取られていた。真正面から此方へと向けて突撃してくるあれは……。

「……ケラァ……虫!ケラァ!虫ケラァーッ!」あれは忌々しき鉄塊ニンジャ、コーナラー!ZBOOOM!コーナラーは大地を弾けさせ跳躍すると、<運転中のPC>の真上からフロントルーフを踏み潰しつつ、車体に着地!君たちと対峙する!

描写のサンプル
マップは「空白地2」を使用する。

PCがトラックという移動手段を手に入れたのも束の間、後方からはニンジャスレイヤーを追跡してきたコーナラーが現れ、トラックのルーフ上でPCとの戦闘になる。

同時に、ここからは各PCの手番ではなく毎ターン開始時に3+D3ずつ踏破率が自動で増加するようになり、「妨害表2」から妨害イベントを発生するようになる。

◇妨害表2(ロングカットのスナイパースリケン狙撃)
1~2:ルルルル!更なる高速回転音接近!スナイパースリケン狙撃だ!:ランダムなPC1人はスリケン狙撃により1ダメージを受ける(回避:UH)。
3~4:KBAM!スリケンを受けトラック後部が火を吹いた:全キャラは回避不可の回避ダイスダメージ4を受ける。
5~6:トラックのフロントウインドウが破砕し、車体がスピンしかかる。:このターンの間、全キャラクターの回避難易度が+1される。


レッドハッグが同行している場合:PCはレッドハッグないしニンジャスレイヤーの援護として、妨害表2からいずれか2つの出目について、効果を取り除くことができる。また、ニンジャスレイヤーが運転手を務める。

レッドハッグが同行していない場合:コーナラーは背後からではなく、真正面の管制塔から走って向かってくる。彼の狙いはPCたちの抹殺である。任意のPC1人は運転手役を担う必要がある(詳細後述)。

トラックを運転する:このシーンにNPCが存在しない場合、誰か1人は運転手役を担う必要がある。運転主役は本来の行動の代わりに、次のルールで行動しなくてはならない。

・運転手役は回避ダイスの上限が素の【ワザマエ】値となる。
・運転主役はコーナラーの攻撃対象にならないが、スナイパースリケン狙撃の対象にはなる。
・妨害表2で3~6が出たとき、その効果に対して回避を試みても良い(難易度U-HARD)。回避に成功すると、その効果自体が発生しない。

・生体LAN端子を持つキャラは、NMが許可するなら、車両をLAN操作しているものとして、あらゆる回避難易度を+1する代わりに通常通り戦闘に参加しても良い。


◇イベント2:狙撃可能域を突破

このまま殴られ続ければ爆発四散してしまう!だが彼は絶望していなかった。拳を受けながら、彼は風を感じていた!トラックの速度を!「イヤーッ!」「グワーッ!」重く硬い拳!だがスナイパースリケンは飛ばない。コーナラーの巨体が邪魔なのだ。そして、角度……ついに狙撃可能域を越え……!

【ヒア・カムズ・ザ・サン】より

2つめの「E」地点を通過する(踏破率が20を超える)と、ロングカットからPCに対して射線が通らなくなり、「妨害表2」によるイベントが発生しなくなる。空白地の踏破は目前だ。


◇NPCデータ:コーナラー/鉄塊カゲムシャ

ここで登場するコーナラーはシナリオ冒頭で戦闘した際と全く同じステータスを持つ。もし【体力】など副次能力値がダメージを受けていた場合でも、このシーンではすべて完全回復した状態で再登場する。

なおコーナラーはこのシーンでもまだ爆発四散はしない。恐るべきタフネスのニンジャだ。

◆コーナラー  (種別:ニンジャ/大型1x1)
カラテ    13    体力   38/-1
ニューロン  6     精神力  –
ワザマエ   7     脚力   9/UH
ジツ     5     万札   0
近接攻撃D:11、回避D:8
◇装備や特記事項
 スキル:『●連続攻撃3』、『●ダメージ軽減1』、『●即死耐性』
     『★巨体の怪力』、『★◉弾き飛ばし』、『◉叩き伏せ』
     『★アースクエイク・シコ』、『★★ビッグ突撃』

『●鉄塊カゲムシャ』:
 カゲムシャ・ジツによって生み出された強靭な無機物ニンジャとして、次の補正を得る。
  ・ジツ値5として扱われ、ビッグニンジャ・クランのサマリーに従ってジツを得る。
  ・【精神力】が「−」となり、精神攻撃の対象とならなくなる。
  ・『●アースクエイク・シコ』などビッグニンジャ・クランのスキル使用時のコストを無視する。

  ・常に『ダメージ軽減1』を得る。これは『爆発』に対してのみ『ダメージ軽減4』となる。
  ・出目2〜5の『サツバツ!』による能力値ダメージを全て無視する。
  ・『大型(1x1)』となり、『轢殺攻撃2』を得る。
  ・素手による近接攻撃時に『リーチ+1』を得る。

『●裏拳カウンター』:
 コーナラーは敵からの近接攻撃で体力にダメージを受けたとき、望むなら自動的に
 『カウンターカラテ』を発生させて反撃しても良い。1回の攻撃フェイズ中に1回までの使用。


◆イベントのタイムライン(状況整理用)

1:ナンシーらがカナリーヴィルに潜入
2:PCらがカナリーヴィルに潜入
3:PCらがコーナラーと交戦(本シナリオ導入時)
4:ニンジャスレイヤー&レッドハッグがハマ少年を救い、コーナラーと交戦
5:レッドハッグ&ナンシーがPCと合流

<夜>

6:ニンジャスレイヤーが脱走レジスタンスを救出。ナンシーからハマ少年および
  PCの情報をIRCで受け取り、レジスタンスの隠れ家へと移動を開始する。
7:ナンシーと協力体制を構築したPCがコーナラーを誘導し、駐留ニンジャの排除を試みる。
8:ヘファイストスがコーナラーによる戦闘痕の情報を手に入れ、侵入者の可能性を警戒する。
9:ニンジャスレイヤーがレジスタンスとの接触を経て、電子復興センターで作業を完了する。
10:ディスタンスの罠によりレジスタンスが釣り出される。
   ニンジャスレイヤーがもぬけの殻のアジトに戻る。
11:コーナラーが命令により撤退し、ヘファイストスに侵入者全員の存在がバレる。
   防衛システムの再設定プロセスが始まる。
12:ナイミツによりメフィストフェレスがカナリーヴィルに訪れる。
13:レッドハッグ、ニンジャスレイヤー、PCがレジスタンス暴動支援のため合流地点に向かう。
14:合流地点にコーナラーが乱入。ニンジャスレイヤーとカラテラリーしながら消えてゆく。
15:ハッキングによりプラズマ・カカシ制御システムがダウンする。
16:レッドハッグの支援を受けながら、カナリーヴィル市民が2つ目の収容所を開放する
17:PCらが先行して空白地へ到達。ディスタンスの狙撃を受ける。
18:ニンジャスレイヤー&レッドハッグがトラックで空白地に到達。


シーン5:管制塔襲撃

「虫……ケラッ!」再び迫りくるコーナラー!だが……本来彼の支援にあったはずのスナイパースリケンは飛ばない。コーナラーの巨体が邪魔なのだ。君は風を感じる。

そして、角度……ついに狙撃可能域を越え……!KRAAAAAASH!管制塔セキュリティゲートに、キャノンボール棺桶と化したトラックは衝突した!

KRA-TOOOOOOOM!爆発!炎が四方八方に拡散!全員が弾き飛ばされる!君たちは無事!コーナラーは!?「ゴウオオオーン!!」炎の中からゆらりと現れる!不死身か!?

描写のサンプル

踏破率が30を超えるか、コーナラーの【体力】を0以下まで低下させると、トラックは管制塔セキュリティーゲートを突破し、このシーンに移行する。

ここではPCだけでなく、ニンジャスレイヤー、レッドハッグ、コーナラーがその場に叩き出され、誰が誰に対処するのかを瞬間的に判断しなくてはならない。管制塔からはシャドウドラゴンとワイバーンがPOPし、コーナラーと共に侵入者の迎撃に当たる。

レッドハッグが同行している場合:ニンジャスレイヤーはワイバーンとシャドウドラゴンを抑え込み、レッドハッグに塔へと向かうよう促す。PCとしてはフロッピーディスクを持った彼女に先を越されるわけにはいかないため、必然的にそちらへ続く形になるだろう(この状態ではまだ明確に敵対しているわけではないと考える)。コーナラーはレッドハッグを追いかける。これにより、次の「戦闘S5-A」はスキップされる。


レッドハッグが同行していない場合:PCは次の「戦闘S5-A」に進み、シャドウドラゴン、ワイバーン、コーナラーの3体との戦闘に入る。


戦闘S5-A:アクシスの脅威

そしてここは既にアマクダリ・セクトの最重要防衛拠点の内部。管制塔からは、君たちを取り囲むように2人のニンジャが落下してきた。

ひとりは、竜頭の、影めいたニンジャである「ドーモ、シャドウドラゴンです」片や、ウェットスーツめいたサイバネ装束を身につけ、上半身は裸。灰色の皮膚。流線型のニンジャヘルム。「ドーモ。ワイバーンです」

かくして、輝かしいテックを背景に、空白地への強行劇はさらに過激さを増そうとしてた……!

描写のサンプル

このシーンでPCはシャドウドラゴン、ワイバーン、コーナラーの3体との戦闘に突入する。彼らは極めて強力なニンジャであり、簡単に倒してしまうことはできないが、3ターンが終了した時点でこのシーンは強制的に中断される。PCたちから1歩遅れ、ニンジャスレイヤーとレッドハッグがトラックでこの場に突っ込んでくるのだ。

マスターはこの戦闘では、シャドウドラゴンとコーナラーは倒されても爆発四散しない(一時的にイクサ場から引くだけ)としておくのが良い。

上記のイベントが発生したとき、シャドウドラゴンはニンジャスレイヤーの相手になり、コーナラーは次のシーンでヘファイストスを優先的に狙わせる導線作りになるからだ。


戦闘マップ

この戦闘では「S5-A:管制塔前」の戦闘マップを使用する。マスターはマップ上の「白い◉マーク」上にPCを配置させてから、戦闘を開始する。

マップ上にはワイバーン、シャドウドラゴン、コーナラーがボスNPCとして配置され、「電子拠点襲撃」でPCが敵にIRC通信を許していた場合、迎撃戦力としてさらにクローンヤクザ部隊やハイタカが配置される。

複数名のニンジャが入り乱れるこの戦闘においては、乱戦のルールが適用される。

戦闘の勝利条件:3ターンが経過するまで生き延びる。


◇NPCデータ:ワイバーン

ワイバーンの基本的な戦闘スタイルはバイオサイバネ(2ダメージ)による2~3連続攻撃だが、なるべく敵を引き離して分断しようと行動する。またワイバーンは特殊なサイバネ改造と、足技を絡めた戦闘スタイルによって、バイオサイバネ装備時でも素手状態とみなされ、常にタツジン(アイキドー)の全ての効果の恩恵を得られる。

「噂に聞く通り、どうやらそこそこやるようだ」 /// 「支払う代償は大きいぞ」

◆ワイバーン (種別:ニンジャ/バイオニンジャ)
カラテ    9     体力   13
ニューロン  7     精神力  5
ワザマエ   11    脚力   7/E
ジツ     0     万札   25
近接攻撃D:12、射撃D:10、回避D:13
◇装備や特記事項
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『◉常人の3倍の脚力』、『◉トライアングル・リープ』、『◉◉タツジン:アイキドー』
      『◉ヒサツ・ワザ:アウー・バチゥド(サマーソルトキックとみなす)』
      『◉連続攻撃+1(バイオサイバネ強化)』、『◉バイオニンジャ化』

 装備  :『フルヘルムメンポ&サイバネ装束(体力、回避ダイス+2)』

 サイバネ:『▲▲▲▲戦闘用バイオサイバネLV2』、『△△△ヒューマノイドアーム』
      『△拘束器官』、『△バイオテイル』

『●サイコ毒素注入』:
 出目【4+,4+】を含む『近接攻撃』は『精神力ダメージボーナス+1』を得る。

◇ステータス要約
・バイオ武器による基礎2ダメージの3連続攻撃で戦う。
・出目【4+, 4+】を含む近接攻撃には更に精神力ダメージ1が付属する。
・アイキドーによるジャストガードおよびサマソが控えている点に注意。


◇NPCデータ:シャドウドラゴン

シャドウドラゴンはワイバーンより遥かに強力なニンジャだが、誰かが貼り付いて戦わない限り、致命的な追尾性シャドウピン・ジツが襲いくるため、ワイバーンを先に倒そうとするとイクサは一気に危険なものと化す。

「作戦遂行上、私が貴様と死力を尽くして戦う事にさほど意味は無い」 /// 「無意味な発言だ。……仕掛けましょうワイバーン=サン」

◆シャドウドラゴン(種別:ニンジャ)
カラテ    9      体力   16/-1
ニューロン  12     精神力  19
ワザマエ   12     脚力   9
ジツ     7      万札   25
近接攻撃D:14、射撃D:12、ジツ発動D:18、回避D:14
◇装備や特記事項
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『●飛行移動』、『●即死耐性』、『◉空中制動』
      『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉◉アーチ級ソウルの力』
      『◉◉タツジン:エアロカラテ(トレジャーボックス参照)』

『☆シャドウピン・ジツ』:
 精神力を1消費して難易度NORMALで発動。発動に成功した場合、即座にスリケンで射撃する。
 射撃判定は自動成功する。このスリケンはダメージを与えないが、命中した相手を
 術者の次の手番開始時まで拘束状態(回避難易度+1、移動不可)にする(脱出難易度U-HARD)。
 
 ※この拘束状態からの脱出失敗によるダメージは発生しない。
 ※拘束状態のキャラは1ダメージでも受けると自動的に解放される。

『★追尾性シャドウピン・ジツ』:
 精神力を2消費して難易度HARDで発動。敵隣接時には使用不可。
 『回避難易度+1』を付与した『☆シャドウピン・ジツ』を即座に発動する。

『★生成クナイ・ダート連投』:
 精神力を1消費して発動。7発の『カラテ・ミサイル』が発射される。
 発動判定時、出目【6,6,6】でさらに2発が追加される。
 ※同じ敵に集中砲火する場合、2,3,4ダメージの時間差となる(回避NORMAL)。

『★★シャドウブレス・ジツ』:
  「リンピオトーシ……カイジンリッツァイゼン」
 精神力を3消費して難易度HARDで発動。集中時のみ使用可能。
 術者と隣接した5×5マスに無属性のD3ダメージを2回与える(回避U-HARD、時間差)
 1発でも命中した場合、フェイズ終了時に対象へさらに『回避ダイスダメージ2』を与える。
 また攻撃が命中した対象1体を選択し、拘束状態(脱出判定:ワザマエUH2)にしてもよい。
 ※これによる敵の拘束中は他のジツを発動することができない。
 ※術者が1でもダメージを受けた場合、この拘束は即座に解除される。
 
『★★★影の鎧』:
 ・常時ダメージ軽減1を得る(貫通不可)。
 ・素手による近接攻撃の基礎ダメージが2になる。
 ・【カラテ】+5、【脚力】+3、『連続攻撃+1』を得る。

◇ステータス要約
・基礎2ダメージの3連続攻撃で戦う。
・『切り裂き飛行』により通過した1体に轢殺1ダメージ(NORMAL)。
・『上空退避』中は、側転or飛行中の敵からしか近接攻撃を受けない。
・『上空退避』した次ターン、『急降下攻撃』によりUH1ダメから近接。

・シャドウピンによりPCの動きを止めてくる。集中でさらに回避困難に。
・集中時、連投やシャドウブレスで広範囲攻撃を繰り出してくる。

エアロカラテは以下を参照すること。


戦闘S5-B:管制塔襲撃(エントランス)

異常耐久ニンジャ、コーナラーに加え、マシンめいたシャドウドラゴン。どちらも恐るべき敵であり、未だイクサの行方は見えぬ。そして時間の猶予も……。進退窮まったか!?

「虫ケラァーッ!」コーナラーはさらなるビッグカラテをぶつけようと、拳を振り上げる。KRAAAAASH!!そのときであった、1台のトラックが君の眼の前から横薙ぎにコーナラーを轢き飛ばしていったのは!

そして「Washhoi!」トラックから飛び出す赤黒の影!あれはまさか!

描写のサンプル

「戦闘S5-A」をクリアするか、レッドハッグ同行の状態で「管制塔襲撃」シーンに突入するとこの戦闘シーンへと移行する。ニンジャスレイヤーがシャドウドラゴンとワイバーンを足止めしている間、PCはレッドハッグと共に(あるいは彼女を追って)管制塔に突入することになる。

あるいはPCが十分に強い場合、レッドハッグは追いついてきたワイバーン(あるいは傭兵ニンジャ、ミョルニールなど他の敵)とのイクサで足止めを食らい、この戦闘からは離脱する。


戦闘マップ

「イヤーッ!」首をへし折られながら吹き飛ぶクローンヤクザが円形エントランスホールに叩き込まれ、一瞬後には飛び蹴り姿勢のレッドハッグがエントリーした。

そして彼女に好き勝手動かれても困る君たちがその後に続く。同時に、スターン!スターン!スターン!円形エントランスホールに等間隔で設けられたフスマが一斉に開き、機銃を構えたクローンヤクザが出現!

「協力関係は継続中、ってことでいいんだね。アンタらが邪魔しないならの話だが」レッドハッグがカタナに手を掛ける。

「アッコラー……」そしてホール中央で待ち受けるのは、二刀流を構え、「御意見番」の旗を背負ったクローンヤクザだ。両腕がサイバネティクス置換された特殊運用タイプ……サムライヤクザである。「ツカマツル!」

【ヒア・カムズ・ザ・サン】より
一部改変

この戦闘では「S5-B:管制塔エントランス」の戦闘マップを使用する。マスターはマップ上の「白い◉マーク」上にPCを配置させる。その後、ヘファイストスによるアンブッシュ・イベントを発生させた後、ボスNPCを登場させる。これに伴い、任意のPC1体に1ダメージ(回避難易度U-HARD)を与える。判定後、回避ダイスは即座に最大値まで回復する。

複数名のニンジャが入り乱れるこの戦闘においては、乱戦のルールが適用される。

戦闘の勝利条件:敵ニンジャ全員を爆発四散もしくは撤退に追い込む。


さらに機銃ヤクザの死体を踏み越え現れるのは、(かつて交戦し生き延びているのならば)ベンドナイトである。既に死亡しているのならば、同ステータスの別ニンジャとするか、シャドウドラゴンに置き換えても良い。

難易度を少しマイルドに調整したいマスターは、ヘファイストスのアンブッシュイベントの前に1~2ターンほど雑魚NPCを排除するための前座戦闘を許しても構わない。ある程度数が減ったところで、ボスNPCを登場させる。


◇NPCデータ:ヘファイストス

ヘファイストス本体はそれほど強くないニンジャだが、彼が生存している限りコーナラーは凄まじい堅牢性を発揮し続ける。シナリオギミックとして、ヘファイストスを撃破することで戦闘の難易度は一気に低下するだろう。

彼の基本的な戦術は、『★カゲムシャ・ブースト』を使用したコーナラーとの連携攻撃に依存している。マスターは常にコーナラーとの挟撃が発生することをプレイヤーに警告しておくべきだろう。

ヘファイストスがオーガニック・トロスシを使用するかどうかは、マスターのバランス調整の采配に委ねられている。もし彼が消耗品を使用せずに爆発四散した場合、回復アイテムはPCが回収して使えるものとしても構わない。

「貴様の行いは高くつくぞ」 /// 「女、小癪な真似を……!」

◆ヘファイストス  (種別:ニンジャ)
カラテ    7    体力   7
ニューロン  9    精神力  15
ワザマエ   8    脚力   4
ジツ     6    万札   25
近接攻撃D:7、精密D:8、射撃D:8、回避D:13
◇装備や特記事項
 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
     『◉◉タツジン:アサシネイト・ドー』、『◉◉グレーター級ソウルの力』
     『◉トライアングル・リープ』、『◉バック転回避』
 装備 :『サイ二刀流(アサシンダガー)』、『*マルチ・スシタッパー*』
     『呼吸孔付きメンポ&伝統的ニンジャ装束(回避D+4)』
 消耗品:『オーガニックトロスシx2』

『●命に替えても』:
 ヘファイストスは【体力】が0になっても行動し続けられ、超過ダメージ分だけ
 【精神力】を消費することで【体力】のマイナス域への減少を防ぐことができる。

『★カゲムシャ・ブースト』:
 集中時のみ使用可能。自身の手番終了時、【精神力】を2消費することで
 本来のイニシアチブを無視してコーナラーを即座に行動させても良い。
 さらに、コーナラーの手番終了時に隣接マスに存在する場合、回避ダイスを即座に+1する。

『★★変種カゲムシャ・ジツ』:
 強靭な無機物のニンジャ『コーナラー』を使役する。
 ・ヘファイストスが生存している限り、コーナラーは爆発四散する代わりに気絶状態となる。
  ・コーナラーは手番で全ての行動を消費する代わりに、気絶状態から全回復状態で復活する。

 ・ヘファイストスが爆発四散したとき、コーナラーは『ダメージ軽減1』を失い、回避不可となる。
  ・コーナラーはさらに次の手番で行動不能となるが、その次の手番では上記のデバフを打ち消す。


◇NPCデータ:コーナラー/鉄塊カゲムシャ

コーナラーは「S5-A:アクシスの脅威」で受けたダメージをそのまま引き継いだ状態で現れる。このカゲムシャはヘファイストスのジツによって生成された存在であり、彼を爆発四散させない限りは無限に復活し続ける。

◆コーナラー  (種別:ニンジャ/大型1x1)
カラテ    13    体力   38/-1
ニューロン  6     精神力  –
ワザマエ   7     脚力   9/UH
ジツ     5     万札   0
近接攻撃D:11、回避D:8
◇装備や特記事項
 スキル:『●連続攻撃3』、『●ダメージ軽減1』、『●即死耐性』
     『★巨体の怪力』、『★◉弾き飛ばし』、『◉叩き伏せ』
     『★アースクエイク・シコ』、『★★ビッグ突撃』

『●鉄塊カゲムシャ』:
 カゲムシャ・ジツによって生み出された強靭な無機物ニンジャとして、次の補正を得る。
  ・ジツ値5として扱われ、ビッグニンジャ・クランのサマリーに従ってジツを得る。
  ・【精神力】が「−」となり、精神攻撃の対象とならなくなる。
  ・『●アースクエイク・シコ』などビッグニンジャ・クランのスキル使用時のコストを無視する。

  ・常に『ダメージ軽減1』を得る。これは『爆発』に対してのみ『ダメージ軽減4』となる。
  ・出目2〜5の『サツバツ!』による能力値ダメージを全て無視する。
  ・『大型(1x1)』となり、『轢殺攻撃2』を得る。
  ・素手による近接攻撃時に『リーチ+1』を得る。

『●裏拳カウンター』:
 コーナラーは敵からの近接攻撃で体力にダメージを受けたとき、望むなら自動的に
 『カウンターカラテ』を発生させて反撃しても良い。1回の攻撃フェイズ中に1回までの使用。


◇NPCデータ:ベンドナイト(第一戦)

ベンドナイトは管制塔内部でPCが遭遇する中で最も強力なアクシスのニンジャだ。彼は『マツシタズ・ワールウィンド・オブ・デス』で範囲外からの遠隔攻撃ダメージを軽減しつつ、接近して近接攻撃を繰り出してきたキャラに自動的にカウンターダメージを発動させる(カウンター不可の攻撃に対しても発動する点に注意)。

これは【オペレイシヨン・マタドール】などでベンドナイトと交戦し、彼が生き延びていた場合のオプションである。ダストブレイカーが爆発四散していた場合、ベンドナイトは単独である代わりに『アカシック・アイ』の能力を得ている。

なお『アカシック・アイ』の能力による回避ダイス増加の効果量は、PCの人数や攻撃の手数に応じて調整することが望ましい。


ベンドナイトはこのシーンでは爆発四散せず、本来爆発四散するような状態に陥ると撤退してゆく。ただし、彼とは続くシーンでも再びカラテを交えることとなる。

「来い、カラテを見てやる。もう一度だ」 /// 「そのワザマエは既に見切っている!」 /// 「元より、俺ひとりが居れば防衛など事足りるのだ」

◆ベンドナイト(種別:ニンジャ)
カラテ     9  体力     9
ニューロン   9  精神力    16
ワザマエ    12  脚力     7/N
ジツ      6  万札     50
近接攻撃D:9、射撃D:12、ジツ判定D:16、回避D:13
◇装備やスキル
 装備  :『パーソナルメンポ』、『特殊伝導ミリタリーニンジャコート(ジツ判定D+1)』
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●マルチターゲット』、『●時間差』
      『◉◉タツジン:ジュージツ』、『◉特殊近接ステップ』、『◉爆炎の見切り』
      『◉◉グレーター級ソウルの力』

『☆キネシス・ジツ』:
・タイミング:攻撃フェイズ開始時、コスト:精神力1、発動:ジツ判定(NORMAL)
 この手番のみ術者の『スリケン』に次の効果を付与する。
   『連射+1』、『射撃難易度-1』、『射撃D+3』、『障害物無視』、『隣接射撃可能』

 『●射撃スタイル|キネシス制圧射撃』:
   この手番のみ『連射+1』を『連射+3』に強化する。

 『●射撃スタイル|キネシスフェイント射撃』:
   この手番のみ『スリケン』の回避難易度を+1する。

『★★マツシタズ・ワールウィンド・オブ・デス』:
 キネシスにより大量の瓦礫などを術者の周囲で旋回させ、竜巻めいた閉鎖空間を形成する。
 術者は自身を中心とした5x5マスを効果範囲として、戦闘終了時まで次の効果を得る(自動発動)。

 ・効果範囲内の味方全員は、あらゆる遠隔攻撃に対して有効な『ダメージ軽減1』を得る。
 ・効果範囲内で『近接攻撃』を繰り出した敵は、そのフェイズの終わりに『近接攻撃』1発につき
  1ダメージを受ける(時間差、回避:NORMAL)。これはカウンターカラテに対しても発生する。

『●アカシック・アイ』:
 「回避ダイス」が最大値の半分以下(7)まで低下したとき、
 即座に【精神力】1を消費し、次のどちらかの効果を得ても良い。

 ・ターン終了時まであらゆる攻撃に対して「回避難易度-1」の効果を得る。
 ・即座に「回避ダイス」を+10する。


◇NPCデータ:ダストブレイカー

レアケースだが、【オペレイシヨン・マタドール】でPCと交戦し生き延びていた場合、ダストブレイカーがベンドナイトと共に再登場する。

マスターはこの戦闘において、ダストブレイカーを爆発四散させベンドナイトに『アカシック・アイ』の能力を付与しても構わないし、彼と同様に爆発四散せず撤退し、次の戦闘シーンで再戦になるとしても良い。

「……ダストブレイカー」 /// 「……」 /// 「眼を……!」

◆ダストブレイカー(種別:ニンジャ/重サイバネ)
カラテ     6  体力     9
ニューロン   8  精神力    6
ワザマエ    9  脚力     6/E
ジツ      0  万札     25
近接攻撃D:8、射撃D:13、回避D:11
◇装備やスキル
スキル :『●時間差』、『●マルチターゲット』、『●連射2』
     『◉常人の三倍の脚力』、『◉銃弾の見切り』、『◉重サイバネ化』
     『◉◉タツジン:ミリタリー』、『◉シャープシューター』
サイバネ:『▶︎生体LAN端子Lv1』、『▷回避パターン解析ユニット』
     『▶︎▶︎サイバネアイLv2』、『▶︎▶︎テッコLv2』、『▶クロームハート』
消耗品 :ZBRアドレナリン注射器

『スマート・ハンドガン』:
 自動追尾機能付きのマイクロミサイルを連射する特殊仕様のテック拳銃。
 拳銃、1ダメージ、連射3、時間差、射撃難易度EASY、回避難易度HARD

『▷キネシス干渉波発生装置』:
 視線の通る味方もしくは自身に対し、ジツかエンハンスされた遠隔攻撃が発生したとき、
 【精神力】1を消費して【ニューロン】判定(難易度:HARD)で使用を試みることができる。
 判定に成功した時、その遠隔攻撃の軌道を狂わせ、攻撃自体をすべて無効化してしまう。


◇NPCデータ:サムライヤクザ

両腕がサイバネティクス置換された特殊運用タイプのクローンヤクザ。1体しか配置されていないが、ボス級の敵として扱われ、ニンジャの攻撃にも回避を試みることができる。

「アッコラー……」 /// 「ツカマツル!」

◆サムライヤクザ (種別:モータル/バイオ生物/ヤクザ/ボス級の敵)
カラテ     4   体力     4
ニューロン   2   精神力    1
ワザマエ    3   脚力     2
ジツ      -   万札     0
近接攻撃D:7、射撃D:3、回避D:7(HARD)
◇装備や特記事項
 装備  :『カタナx2』
 サイバネ:『▶︎▶︎▶︎テッコLv3』、『▶︎生体LAN端子』


◇NPCデータ:機銃クローンヤクザ

イクサ場を取り囲むようにして、固定機銃に取り付いたクローンヤクザが配置され、PCに恐るべき機銃掃射をしかけてくる。これはギミックめいた存在であり、全員を始末しなければ機銃掃射ダメージは延々と発生し続ける。

◆機銃クローンヤクザ (種別:モータル/バイオ生物/ヤクザ)
カラテ     2   体力     1
ニューロン   2   精神力    1
ワザマエ    3   脚力     2
ジツ      -   万札     -
近接攻撃D:2、射撃D:3
◇装備や特記事項
 『●機銃掃射』:
  PC全員に銃撃による1ダメージを2回与える(時間差、回避HARD)。
  機銃クローンヤクザが何体存在していても、このダメージは1回しか発生しない。


◇NPCデータ:クローンヤクザ

◆クローンヤクザY-12型 (種別:モータル/バイオ生物/ヤクザ)
カラテ     2   体力     1
ニューロン   2   精神力    1
ワザマエ    3   脚力     2
ジツ      -   万札     -
近接攻撃D:2、射撃D:3
◇装備や特記事項
 ロングドス:近接武器、ダメージ1


アシッドウルフの〈指令〉

「フン。そうだな……こうも大人数の相手はやや難儀する。故に……」そういうとベンドナイトはおもむろに跳躍。「もうしばらく足止めを受け、疲弊してもらう」吹き抜けを1フロアずつ蹴り上がり、上層、上層へと登ってゆく。

「制御室は最上階だ…!とっとと追いかけンだよ!」レッドハッグが叫んだ。ベンドナイトと入れ替わるように、上層階からは大量のハイタカが降下。ガトリング砲火を浴びせ始める!

◆◆◆

BLATATATATTA!銃弾の嵐を受けながら階段を駆け上がる!もはやベンドナイトを追っているのか、君たちがレッドハッグを、 あるいはレッドハッグが君たちを追っているのか分からぬほどの大混戦!

そしてこの苛烈な追跡劇の最中、君たちの端末にIRC通信が入る。アシッドウルフだ。『現状を報告せよ。既にロケットは発射秒読み段階だ。なんとしても管制室まで辿り着け。多少の無理は俺が〈許す〉』

『今から送信する座標を手動でシステムに入力しろ。磁気嵐突破装置の焦点を修正するのだ』

描写のサンプル

S5-Bの戦闘を切り抜けた後、最上階へと撤退するベンドナイトを追うPCは、アシッドウルフからIRCによる現状確認と追加指示を具体的に受ける。難易度調整のオプションとして、マスターはこれに暗示的な痛覚遮断効果が含まれているとして、全PCの【体力】と【精神力】を+2(一時的に上限を越える)としても良い。


シーン6:ロケット発射を阻止せよ!

君たちはベンドナイトを追い、管制室に飛び込む。ピロコピロコピココ……そこには冷たいUNIX駆動音と、エンジニア達の寡黙なキータイプ音だけがあった。

モニタの一つは、着々とゼロに向かって縮小する数字が表示されていた。エンジニア達は厳粛な儀式を進行させる修道士めいて、その数字を……そして闇に浮かぶ光の柱を……凝視するのだった。

「このカウントダウン、何?大急ぎで飛ばすのか」君たちの横でレッドハッグは不敵な笑みを作ろうとした。一時的な協力者は未だ味方か、あるいは。

描写のサンプル

PCは管制室で再びベンドナイトと対峙する。だがすでにロケット発射のカウントダウンは始まっており、猶予はない。足止めによりレッドハッグが画面外で戦闘をしていた場合、この戦闘からPCと合流することになる。

注意しなくてはならないのは、ここではボスを爆発四散させることではなく、「ロケットの破壊」と「磁気嵐突破装置の改竄」という2つの目標が最優先事項であるという点だ。


戦闘マップ

この戦闘では「管制室」の戦闘マップを使用する。マスターはマップ上の「白い◉マーク」上にPCを配置させてから、戦闘を開始する。

先述の通り、このシーンでは「ロケットの破壊」と「磁気嵐突破装置の改竄」という2つの目標を優先して達成しなくてはならない。

◉このシーンでは、特定のPC1人がアシッドウルフから渡されたウィルス入りフロッピーディスクを持っているとみなされる(シーン突入前に自由に選択可能)。

◉フロッピーディスクを持つPCは、「コンソール」マスに隣接することで「その他の行動」としてフロッピーの挿入を試みることができる。

 ◎このとき、ベンドナイトと素の【ニューロン】値による対抗判定が発生する。失敗した場合、フロッピー挿入はキネシスに妨害されてしまう。


◉フロッピー挿入後、任意のPCは「コンソール」マスに隣接することで「その他の行動」として「ブーストタイピング」を行える。

 『●ブーストタイピング』:高速タイピングによる演算補助により、フロッピーに仕込まれたウィルス攻撃の進行速度を加速させる。ダイス10個(マスターは『ニューロン判定ダイス+』を加算することを許しても良い)で判定(難易度HARD)を行い、成功数だけ『進捗度』を増加させる。


◉『進捗度』が10に到達すると目標達成となる。ロケット発射施設は連鎖爆発で破壊され、磁気嵐突破装置はハッキングにより照射点が変化する。

◉PCと同様に、レッドハッグも「コンソール」マスに隣接することで「その他の行動」としてナンシーのフロッピーディスクの挿入を試みることができる。

 ◎一度フロッピーが挿入されると、ナンシーの遠隔ハッキングにより『●ブーストタイピング』が手番を消費せず自動的に進行する。ただし、増加する『進捗度』はPC側とは独立した別のものである。


◉PCがレッドハッグのみをターゲットに攻撃する場合、次の手番でレッドハッグはフロッピー挿入を試みず反撃する。ただし、これは予期せぬ結果を生む可能性がある。

確率の問題であることから、場合によってはナンシー側のフロッピーが先に処理を終える可能性もある。ただし、物語的には彼女らが勝利することは想定されていない。レッドハッグとのフロッピー戦はあくまでも、プレイヤーに通常のイクサ以外の要素でプレッシャーをかけ緊張感を保たせるためのものだからだ。

マスターは幾つかのオプションを用意して、これに対策を講じることもできる。ハッキングによりナンシー側の『進捗度』を減少させられるとしたり、あるいはナンシー側のハッキング完了後もアシッドウルフのウィルスを流し込めるものとしたりするのが良いだろう(ナンシーとアシッドウルフのウィルスはそれぞれ、若干違う役割を担っている)。

戦闘の勝利条件:いずれかの『進捗度』が10に到達し、なおかつアマクダリ側のボス級の敵を全員爆発四散させる。


◇NPCデータ:ベンドナイト(第ニ戦)

ベンドナイトは先の戦闘シーンで受けたダメージなどを全て回復させ、近接戦闘型のデータに切り替わった状態で再び現れる。

PCは弾き飛ばしによるクラウドコントロール能力を持つ彼を主要な敵として、ハイタカや場合によってはレッドハッグやダストブレイカーも相手に立ち回らなくてはならない。

「それで結構。互いに、秘め事はオヒガンへと持ち込むとしようではないか」 /// 「……手に余る仕事だったか」

◆ベンドナイト(種別:ニンジャ)
カラテ     9  体力     9
ニューロン   9  精神力    16
ワザマエ    12  脚力     7
ジツ      6  万札     50
近接攻撃D:9、射撃D:12、ジツ判定D:16、回避D:13
◇装備やスキル
 装備  :『パーソナルメンポ』、『特殊伝導ミリタリーニンジャコート(ジツ判定D+1)』
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●マルチターゲット』、『●時間差』、『●疾駆』
      『◉タツジン(ジュージツ)』、『◉特殊近接ステップ』、『◉爆炎の見切り』
      『◉◉グレーター級ソウルの力(精神力+6)』

『★★キネティック・ジュー・ジツ』:
 キネシスによる不可視のロングレンジカラテを行使する。
 術者は『リーチ+1』、『連続攻撃+1』および『近接攻撃D+X』の効果を得る(Xはジツ値と等しい)。
 ただしこの効果が持続している間、「サツバツ!」は発生しなくなる。
 
 『亜空間トモエ投げ』:
  手番終了時、術者を中心に5x5範囲内の敵全員に『弾き飛ばし(回避HARD)』を与えても良い。
 
 『ウデヒシギ・キル・ムーヴ』:
  近接攻撃の出目【6,6】で発動可能。回避難易度が+1となり、命中した対象は
  術者を中心とした5x5範囲内に再配置され、追加の1ダメージ(回避NORMAL)を受けた後、
  キネシス拘束により、次の術者の手番開始時まで移動不可となる。

『★★マツシタズ・ワールウィンド・オブ・デス』:
 キネシスにより大量の瓦礫などを術者の周囲で旋回させ、竜巻めいた閉鎖空間を形成する。
 術者は自身を中心とした5x5マスを効果範囲として、戦闘終了時まで次の効果を得る(自動発動)。

 ・効果範囲内の味方全員は、あらゆる遠隔攻撃に対して有効な『ダメージ軽減1』を得る。
 ・効果範囲内で『近接攻撃』を繰り出した敵は、そのフェイズの終わりに『近接攻撃』1発につき
  1ダメージを受ける(時間差、回避:NORMAL)。これはカウンターカラテに対しても発生する。

『●アカシック・アイ』:
 「回避ダイス」が最大値の半分以下(7)まで低下したとき、
 即座に【精神力】1を消費し、次のどちらかの効果を得ても良い。

 ・ターン終了時まであらゆる攻撃に対して「回避難易度-1」の効果を得る。
 ・即座に「回避ダイス」を+10する。


◇NPCデータ:レッドハッグ

レッドハッグは基本的にはフロッピー挿入を優先し、ハイタカなど雑魚NPCを集中的に攻撃する露払いに徹する。一方でPCと明確に敵対関係に陥る場合、ほぼ成長限界級の彼らにとっては大した敵にはならない点には留意が必要だろう。

彼女との戦闘が発生する場合、乱戦のルールを適用し、基本的にはベンドナイトとレッドハッグは相互に攻撃ターゲットに選ばないものとして処理するのが良い。それでもレッドハッグが爆発四散する可能性は高い。

「全く!面倒増やしやがってさ!」 /// 「何のつもりか知らないけど、売られた喧嘩は買う主義でね!」

◆レッドハッグ (種別:ニンジャ)
カラテ    10    体力   12
ニューロン  7     精神力  9
ワザマエ   10    脚力   5/N
ジツ     0     万札   0
近接攻撃D:10/12、射撃D:10、回避D:11
◇装備や特記事項
 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
     『◉◉戦闘系ソウルの力』、『◉◉タツジン:ボックスカラテ』
     『◉◉タツジン:イアイドー』、『◉ヒサツ・ワザ(ファイアフライ)』
     『◉特殊近接ステップ』、『◉タクティカル移動射撃』、『☆◉ニンジャ存在感のオーラ』

 装備 :『ニンジャ存在感のオーラ(【体力】+2、【精神力】+1、回避+1、緊急回避+4)』
     『クロームのライター(精神力+1)』

 武器 :『カタナ』、『生成ナックルダスター(素手、近接攻撃D+2)』


◇NPCデータ:ニンジャスレイヤー

PCが圧倒的に優位な状況で、なおかつレッドハッグと明確に敵対する場合、管制塔の窓ガラスを突き破ってニンジャスレイヤーが突然エントリーしてくる可能性がある。

ニンジャスレイヤーは自然災害のようなものであり、事情も聞かずにアマクダリ側の戦力とPC側の戦力の両方に攻撃を仕掛けてくる。PCは苛烈な攻撃に晒されるが、一方でベンドナイトやハイタカのリソースもハイスピードで削れるため、戦闘のテンポは早くなる。

「オヌシらの事情など知らぬ」 /// 「ニンジャ殺すべし!」

◆ニンジャスレイヤー(種別:ニンジャ)
カラテ     16  体力     17
ニューロン   10  精神力    12
ワザマエ    12  脚力     8
ジツ      0   万札     10
近接攻撃D:17、射撃D:13、回避D:17
◇装備や特記事項
 消耗品:『オーガニックスシ』、『家族の写真(常時精神力+1)』
 防具 :『●ドウグ社装備一式(体力+1, 精神力+1, 近接D+1, 射撃D+1, 回避D+1』
 スキル:『●連続攻撃3』、『●連射2』、『●マルチターゲット』、『●時間差』
     『◉◉タツジン(ジュージツ)』、『◉◉戦闘系ソウルの力』
     『◉スリケン受け流し』、『◉スリケン急所破壊』
     『◉トライアングルリープ・キック』、『◉鉄拳』

     『ヒサツ・ワザ:タツマキケン』、『ヒサツ・ワザ:ポン・パンチ』
     『ヒサツ・ワザ:サマーソルト・キック』、『ヒサツ・ワザ:ドラゴン・トビゲリ』
     『ヘルタツマキ』、『ツヨイ・スリケン』、『チャドー呼吸』、『ナラク・ウィズイン』

 『●ニンジャ殺すべし!』:
  ザイバツVSアマクダリなど、敵対するニンジャ組織がイクサする場にエントリーしたとき、
  ニンジャスレイヤーは1ターンに2回の行動手番を得る。
 
  ただし、それぞれの行動手番では別々の組織のニンジャを攻撃しなくてはならない。
  例えば1回目の手番でザイバツに攻撃をした場合、続く2回目の手番ではアマクダリを攻撃する。


◇NPCデータ:メガヒンジ

PCがメガヒンジとあまり良好な関係性を築けておらず、なおかつレッドハッグとPCが敵対する事態に陥った場合、メガヒンジがレッドハッグの増援として助けに現れる可能性がある。

メガヒンジは成長限界級のPCに有効打を与えられるような攻撃手段は持たないが、かなり厄介な範囲攻撃と回避能力を持つ。マスターの裁量次第だが、攻撃ギミックとして利用し、ドトン・ジツとグレーター・ドンデンガエシ・ジツで盤面を荒らした後、ドンデンガエシ回避などでマップ外にさっさと脱出させてしまっても構わないだろう。

「自分はお前たちのやり方に納得ができない。それだけだ」 /// 「勝てるとは思ってないが、盤面を荒らすなら楽勝だ」

◆メガヒンジ (種別:ニンジャ)
カラテ    5     体力   8
ニューロン  8     精神力  8
ワザマエ   7     脚力   5
ジツ     5     万札   25
近接攻撃D:5、射撃D:9、ジツ発動D:13、回避D:9
◇装備や特記事項
 スキル:『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、『◉防具習熟』
     『◉常人の三倍の脚力』、『◉トラップ対処知識』、『◉暗殺者の眼』
 装備 :『アサシンダガー』、『タカハシ・マスター・ツールキット』
     『近代的タクティカルニンジャ装束一式』
 ジツ :『☆ドトン・ジツLv3』

『★ドンデンガエシ・ジツ』:
 移動フェイズ終了時、【精神力】を1消費して発動(難易度:NORMAL)。
 術者に隣接する壁もしくは1マス分の障害物を回転扉に変化させ、直ちにその反対側へと移動する。

『★◉マス・ドンデンガエシ・ジツ』:
 『ドンデンガエシ・ジツ』発動時、【精神力】をさらに1消費することで
 効果対象に隣接するキャラ全員を追加しても良い。対象は術者と同じ方向へと直ちに移動する。
 ただし、移動方向に壁や障害物が存在しないキャラは全く影響をうけない。
 この効果は難易度HARDで回避が可能。

『★★グレーター・ドンデンガエシ・ジツ』:
 攻撃フェイズ開始時に【精神力】を2消費して発動(難易度:HARD)。
 術者と同じ部屋に存在する敵全員を対象に、大規模なドンデンガエシで上空へと跳ね上げる。
 対象は激突ダメージ1(回避:NORMAL)を受けた後、ターン終了時まで「回避難易度+1」となる。

『★◉ドンデンガエシ回避』:
 回避判定に成功したとき、即座に『☆ドンデンガエシ・ジツ』の発動を試みても良い。
 発動に成功したとき、本来の効果か『バック転回避』の効果のどちらかを発生させる。
 これによって届かなくなった攻撃は失われる。


◇NPCデータ:メフィストフェレス(参考)

可能性は低いが、適切なボスNPCが用意できない場合、大幹部の1人であるメフィストフェレスをベンドナイト(第二戦)の代わりに登場させることもできる。

この場合、シャドウドラゴンとニンジャスレイヤーも同時に盤面へと放り込み、混沌とした状況でイクサに望ませるのが良いだろう。

「君たちから感じる。使命の背後に隠れた畏れを。そう、己のアイデンティティに関する畏れだ」

◆メフィストフェレス(種別:ニンジャ)
カラテ     8     体力     19
ニューロン   15    精神力    27
ワザマエ    10    脚力     6
ジツ      7    万札     100
近接攻撃D:8、射撃D:10、ジツ判定D:23、回避D:17
◇装備やスキル
 装備  :『クンフー・ニンジャ装束(魔術的アーチ級生成装束)』
 スキル :『●連続攻撃2』、『連射2』、『●マルチターゲット』、『●時間差』、『●ニンジャ第六感』
      『◉緊急ブリッジ回避』、『◉翻弄』、『◉ニューロンブースト/チルアウト』
      『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉◉アーチ級ソウルの力』

『☆タイジン・ジツ』:
 マップ上の敵全員を対象に、メフィストフェレスの【ニューロン】値との差分を算出し、
 その半分(端数切り捨て)だけ、常に回避ダイス数を減少させる。

『◉◉タツジン:クンフー』:
 『◉タツジン(ボックスカラテ)』とみなす。加えて、以下のスタイルを使用できる。
 
 『●戦闘スタイル:視線誘導術』:
   攻撃対象をすべて『崩れ状態』とみなし、その回避難易度が本来より+1される。
   さらにこのとき、出目【6,5】でも『サツバツ!』が発生するようになる。
   この戦闘スタイルは偶数ターンにしか使用することができない。

『★ダークカラテ・エンハンスメント』:
  近接攻撃時、エンハンスによる『無属性ダメージボーナス+1』の効果を得る。 

『●回避予知』:
  メフィストフェレスの繰り出すあらゆる攻撃は、どのような効果を使ったとしても
  回避難易度をNORMALより低くすることができない。


結末

「2人……いや、2人では……手に余る仕事だったか」ベンドナイトは自嘲的な笑いを残し、爆発四散した。そして残る問題は1つ……。「やるじゃァないか。ただ、気になるねえ。アンタらのフロッピーの中身」

「爆発はしないんじゃあなかったのかい」レッドハッグはカタナを降ろさない。膠着状態。その背景で、光の柱がほんの僅かだけ角度を変えた。目標は全て達成した。これ以上、問答に付き合う必要もなし。

――管制塔からしめやかに離脱し、カナリーヴィルから忽然と姿を消す。君たちはその最中、厚い重金属酸性雨と雲の向こうに、光の柱が指し示す方向へと、カナリーヴィルとは別方向から、黄金の光の筋が通った後を見咎めるだろう。

◆◆◆

『座標の修正……一体何を目的に……NO!』ナンシーの呟きは悲鳴に変わった。「大丈夫か!ナンシー=サン!」サヌマは躍起になってタイピングを速め、隣で昏睡する彼女の物理肉体とモニタを交互に見た。「アバー!」カニ型ドロイドのホドホドが煙を吹いた。

「何が……ハッカーか?アマクダリの?」サヌマは滝のように汗を流した。「ナンシー=サン!」『010010001』「ナンシー=サン!無事か!」『ドーモ。010010001』

KBAM!KBAM!KBAM!ファイアウォールが連鎖爆発し、飛来した破片がサヌマの頬にざっくりと切り傷を作った。「グワーッ!?」「ン……ンア……」ナンシーの身体が痙攣を始め、目、鼻、口から血が流れ出した。「アイエエエエ!」サヌマは椅子から転げ落ちた。アジト出口を振り返った……。

描写のサンプル

シーン6のクリア条件を満たすと、アシッドウルフの計画は予定通りに進行し、PCはこれ以上その場に留まる必要もないと撤収を指示される。場合によってはさらにレッドハッグとの小競り合いや、ニンジャスレイヤーの追撃を受けている可能性もあるが、このシナリオ内では描かれない。

またこのシナリオにはクリア報酬が設定されていない(PCの成長は打ち止めとなっている)。


シナリオの背景で何が起こっているのか

PCがカナリーヴィルで暗躍している間、アシッドウルフはサイオコールと共に2発目のASATS(アンチ・サテライト・スリケン)の射出準備に取り掛かっている。彼らはこのASATSについて、「敵に真意がバレないように」「磁気嵐を突破して」「アマクダリよりも先に」宇宙に送り込む必要があった。

カナリーヴィルでウィルス処理が完了したとき、衛星軌道上では【オペレイシヨン・ケイオス】でハッキングした軍事用衛星群のレーザーがデブリを薙ぎ払い、宇宙への道が切り開かれている。そして磁気嵐突破装置が指し示す別の座標を通じ、ASATSは月へと射出される。

PCがアマクダリのロケット射出を止められなければ、ASATSはロケット撃墜へと用いられる(そしてリスキーな3射目を用意する必要がある)。

これによってアシッドウルフはアマクダリに先んじて月面との接続を確立し、A.R.G.O.S.をその手中に収めるのがこのシナリオにおける真の狙いだ。


非対称型PVPシナリオのアイデア

PCがアシッドウルフに敵対することを選択した場合、彼らはネオサイタマで補足されたサイオコールを襲撃することになる可能性が高い。ブラックサイトと敵対するニンジャ組織は未だに彼らの目的や動向を掴みきれてはおらず、PCが持つ情報を足掛かりに、ブラックサイトの所属ニンジャから可能な限り情報を引き出したいと考えているのだ。

サイオコールは「シナリオの背景で何が起こっているのか」でも述べられているASATSの射出のため、オムラ本社かマルノウチ・スゴイタカイビルのどちらかに陣地を敷設している。接近を試みるPCはしかし狙撃手の眼を逃れることはできず、電磁スナイパーカタパルトの"砲撃"に晒されながら、遮蔽物を辿ってジリジリと彼に接近することになるだろう。

PCが非ソウカイヤの派閥に与している場合、このシナリオには領域侵犯の迎撃戦力としてネブカドネザルが登場し、凄まじい砲撃を浴びせてくる。そうでない場合は、メイライ社の狂気的な重サイバネニンジャたちに群がられる結果になる。

最終的にASATSはこのシナリオと同じように放たれてしまうが、PCはサイオコールとの対話の中で、彼らがA.R.G.O.S.を手中に収めることを知る。大枠の展開こそ変わらないものの、ブラックサイトを阻止しようとする者たちは重要な情報を得ることになるのだ。


もしPCが敵対する2チームに分断されたのであれば、直接的には戦闘させず、それぞれが敵対戦力の別のニンジャと戦うPVEを2セット用意する形式にするのが良いだろう。つまり、ブラックサイト側についたPCはソウカイヤやアマクダリのNPCと、それ以外は先述のようにメイライ社のNPCと戦うのだ。このPVEの戦果に加え、何らかの判定を介して2勢力の戦況バランスを競い合うことで、擬似的なPVPを成立させるのがこの段階では望ましい。

なおこのケースでは、アシッドウルフ(スパイマスター)が本シナリオ【キャン・ネバー・ビー・ザ・セイム・パーソン・アズ・ビフォア】におけるPCの役割を担うことになる。


補足コメント

【キャン・ネバー・ビー・ザ・セイム・パーソン・アズ・ビフォア】というシナリオ名の由来は「宇宙を知った人間は決して以前と同じ人間ではいられない」というアポロ9号の乗務員「ラッセル・L・シュワイカート」の発言です。

これは真実を知って決断を下した(あるいは自己の再定義によりポイント・オブ・ノーリターンに到達した)プレイヤーキャラクターの現状を言うと同時に、シナリオの外で暗躍しているサイオコールやアシッドウルフという宇宙(≒月)に捕らわれた者たちについて述べるタイトルでもあります。

最初期の構想ではこのシナリオの代わりに「非対称型PVPシナリオのアイデア」に書かれている、元NASA宇宙飛行士のサイオコールに焦点を合わせた内容のシナリオがプレイされ、彼のセリフとして「宇宙を知った人間は決して以前と同じ人間ではいられない」という言葉が登場する予定でした。


また最終チャプターの1/3に該当するこのシナリオは、他の2シナリオと比べてもかなりの難産で、細かなルート分岐の統廃合も合わせると、実プレイまでに3~4回ほど全体構成の作り直しや加筆修正が行われています。

大きな変更点は次のようなものです:

◉電子拠点を襲撃する「破壊工作」のシーンは、元々マップが3つに分断されており、PCが手分けしてアマクダリの電子拠点をしらみつぶしに破壊してゆく(そして追跡するコーナラーの襲撃を受ける)というものでした。これはビデオゲームの画面分割協力プレイシステムをオマージュするものです。

敵NPCを殲滅する/通信装置を破壊するなど、それぞれ与えられた目標を達成するのがこのシーンであり、レジスタンス暴動の支援とどちらかを選択してナンシーを助けるという設計になっていました。

なお公開Ver.ではさらに手が加えられ、実卓では通信装置を破壊するのが目的であったところ、敵ニンジャを爆発四散させることが目的となり、通信装置はNPCの行動によっては破壊可能なサブオブジェクト扱いに変更しています(3分割Ver.と同様に、ほぼ作業の消化試合になるという課題があったため)。

初期Ver.の電子拠点襲撃マップ


◉初期Ver.において「空白地」の突破は最終形のイベント判定によるものではなく、トラップマスが配置された大型のマップを実際に進んでゆく形態を取っていました。何度かマップを作り直しテストプレイまで行いましたが、危険を目で見て回避できるため緊張感に欠け、作業的になってしまうこと。またマップの仕上がりが煩雑になってしまったため、現在の形態に改められました。

残念ながら旧Ver.のマップデータは失われましたが、次のようなルールが用意されていました。

この特殊なマップ踏破イベントでは、全PCの【脚力】を半分(端数切り上げ)として扱う。PCの成長具合によって調整が必要だが、これによって、1ターンに最大6マス程度の移動となることを想定している。

マップ上には機能停止したプラズマ・カカシやシデムシ、土管などが遮蔽物として配置されている。PCはこれらの遮蔽物マスで行動を終えることで、ロングカットのスナイパースリケンに対する回避難易度を-1することができる(狙撃を避けながら遮蔽物に飛び込むような回避ムーブメントを表現している)。また遮蔽物マス上から全く移動を行わなかったPCは、スナイパースリケンの攻撃対象にならない。

マップ上のプラズマ・カカシは攻撃して起爆させることが可能である。

2ターン経過後、管制塔の最上部にベンドナイトが姿を現し、キネシス・ジツによってPCに対する攻撃を開始する(詳細後述)。


◉旧Ver.では敵NPCの登場するタイミングが最終版とは大きく変わっています。まずベンドナイトは最終Ver.よりも早い段階で登場し、空白地でロングカットの狙撃と共にシャットダウンした防衛兵器をキネシスで操作して妨害をしてくるギミック要因でした。

◇ベントナイトのキネシス攻撃表(D3)
1:プラズマ・カカシ爆撃:マップ上の『プラズマ・カカシ』マスを2つ消滅させる。任意のPC2人を中心に、時間差の範囲攻撃3x3を2回発生させる。これはそれぞれ電磁ダメージD2を与える(回避:NORMAL)。

2:シデムシ操作:マップ上の『シデムシ』マスを2つ選択し、そこから射線の通る任意の範囲に『●死の雨2』を2回発動する。これはダメージ1、連射2、時間差、回避:HARDの遠隔攻撃である。

3:瓦礫の嵐:マップ上の任意の範囲5x5を選択し、範囲内のPC全員にダメージ1、時間差の砂礫攻撃を3回発生させる(回避:NORMAL)。

またコーナラーは登場回数こそほとんど変わらないものの、RP描写のみで戦闘を処理するシーンが多く、最終Ver.ほど厄介さが印象付けられる役割は与えられていませんでした。

さらに、ハレーションとヴァンデグラフは元々電子拠点には配置されておらず、シーン5以降の増援キャラクターとして用意されているだけに留まっていました。実卓プレイでは1ターンで瞬殺されたものの、登場するかどうかも微妙なラインだった旧Ver.と比較すると、それなりに出世したと言えるでしょう。


◉旧Ver.ではシーン5以降、PCが二手に分かれて、分断された2マップで戦闘を行う構成が検討されていました(「破壊工作」のシーンと同様に、画面分割協力プレイをオマージュしたものです)。

ここではエントランスでレッドハッグと共にベンドナイト&ヘファイストスと戦うAチーム、管制塔前でニンジャスレイヤーと共にコーナラー&ワイバーンと戦うBチームという構成になっています。シャドウドラゴンこそ登場しませんが、ヘファイストスを倒さないと無敵のコーナラーにBチームが殴られ続けるという、よりチーム連携が求められる内容を目指して調整を重ねていました。

初期Ver.の管制塔襲撃マップ
テストプレイを行った痕跡が残っている。


このシナリオで個人的に印象に残るキャラクターはやはりベンドナイトで、マスターの調整不足から3話に相当する【オペレイシヨン・マタドール】で泥試合の末に生き残り、プレイヤーにフラストレーションを与えてしまったという苦い経験のあるニンジャです。

ボスとして再戦させることは決めていたものの、タイミングを探り続けた結果、再登場はなんと8話越しの本シナリオとなってしまいました。

プレイヤーがアマクダリ・ルートを選択した場合、スターゲイザーの指揮下に入り、同僚として再開するという展開も用意していましたが、最終的な実卓プレイでは本シナリオをもって8話越しに(そして実時間で1年7ヶ月越しに)彼との決着がつくこととなります。

うまく物語が噛み合えば、PCと彼はフジキドとサワタリのような、独特な距離感のライバルキャラクターとなっていたのかもしれません。


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