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【NJRPG-2ND/シナリオ】フォールス・ウインター:10-A:オペレイシヨン・グレイストーン

あらすじ:謎のニンジャ、フィルギアによって世界の闇に潜む恐るべきニンジャ真実を明かされる鷲のニンジャたち。その言葉は、彼らのニューロンを激しくかき乱した。 一行は彼をメッセンジャーとして、分断された仲間との合流を図るも、それを遮るように"ボス"のIRCコールが鳴り響くのであった。

これは「ニンジャスレイヤーTRPG2版」のシステムに対応した、「鷲のニンジャ」がテーマのキャンペーン『フォールス・ウインター』の第10話に該当するサンプルシナリオ記事です。

なお10話のサンプルシナリオは2種類存在しており、直前にプレイしたシナリオによって次にどちらのシナリオに派生するか異なる仕様となっています。このシナリオはAルートである【トーテム・アンド・タブー】をクリアしたプレイヤーキャラクターが参加するためのシナリオです。

一方でNMがゲームバランスや展開に少し手を加えることで、本作はBルートの【アンド・ザ・トラスト・シャル・メイク・ユー……】を経たプレイヤーキャラクターが、Aルートのプレイヤーキャラクターと合流した後に全員で参加するシナリオとすることも可能です。

プレイ人数:2名
所要時間:8~12時間(オンラインセッション/テキストセッション)
難易度:キャンペーン専用のルールで作成後、9シナリオを踏破した程度の強さのPCを想定(成長の壁(1)をそれぞれ2~3つずつ超えている。ジツを2倍でカウントして、能力値合計30~35程度)

キャンペーン全体の背景設定やルート分岐の調整方法などは、別途CPセッティング記事も参考にしてください。

※各ゲーム要素はニンジャスレイヤーTRPG初版で行ったキャンペーン実卓を元に、2版向けへコンバートされたものです。ゲームバランスは現行環境やプレイヤーキャラクターに合わせて都度調整することを推奨します。

関連記事はこちらのマガジンから。

◇本文中に登場する略称
NM:ニンジャマスター    → ゲームの進行役。描写などを行う。
PL:プレイヤー       → ゲームの参加者。PCを操作する。
PC:プレイヤーキャラクター → ゲーム内の主人公。メインキャラ。

前シナリオ

別ルートのシナリオ

はじめに

PCは連絡が途絶していたアシッドウルフから接触を受け、廃棄された駅から、存在しないはずの電車の便に乗り、無人の車両の中で彼と対峙することになる。一方でアシッドウルフは、アマクダリがホワイトドラゴンの依代として目星をつけていたソウカイヤのニンジャを先んじて誘拐することに成功しており、彼らはその奪取を目的として、PCらが対峙する車両へと襲撃を仕掛けてくる。

アシッドウルフはPCらの過去にこだわりはなく、今更知る必要はないと考えており、少なくとも今の彼らを"鷲のニンジャ"としてみなし、導いてきたと胸中を打ち明ける。一方、襲撃者として現れるスワッシュバックラーはアシッドウルフを裏切り者と一蹴し、PCの心が揺らいでいるようならば、彼はアマクダリへと誘いをかけてくる。

どちらの"鷲のニンジャ"を信用するのか、あるいは自身の何者と"再定義"するのか、PCは最後の選択を迫られる。一度断れば、もはやそこには血みどろの決闘しか待ち受けていない。


マップデータ

このシナリオで使用するマップデータはGoogle スプレッドシートで作成されています。下記からローカルにダウンロードするか、ご自身のアカウントにコピーを作成してGoogle スプレッドシート上で使用してください。


このシナリオへの分岐条件

このシナリオに派生する条件、パターンは幾つか存在している。冒頭でも述べられたように、場合によっては分断された2チームが合流してからプレイするシナリオとなる可能性もある。

■パターン1(AルートのPCのみがこのシナリオに参加)
分断されたAルートのPCが(意図しなくとも)ブラックサイトに敵対的な行動を取った場合に発生する。例えばクレイニアム・ルートやフィルギア・ルートに移行していた場合も、アシッドウルフから情報を引き出すため、呼びかけに応えて彼と対峙するようなシチュエーションで使用できる。

仲間との合流を図っていた場合、Bルートの仲間がそれをアシッドウルフに伝えてしまっていると、それをインタラプトする形でアシッドウルフの呼び出しによる【オペレイシヨン・グレイストーン】が始まってしまう。

■パターン2(全員がこのシナリオに参加)
分断されたAルートとBルートのPCが合流したのち、大多数がアシッドウルフへの疑念を持ち続けていた場合に発生する。PCは互いに入手した情報を交換しつつ、反アシッドウルフ派とアシッドウルフ派で衝突が起きる可能性がある。

最終的に彼らの争いがなんらかの着地点を得たとき、それぞれ立ち位置は異なるかもしれないが、"真実"を問い詰めるべくアシッドウルフと対峙しようと思い至った場合、PC全員で【オペレイシヨン・グレイストーン】に移行する。

■パターン3(PCの一部のみがこのシナリオに参加)
パターン2でPC間の争いに決着がつかず、喧嘩別れ(つまりアシッドウルフ派とそれ以外で別れる)になってしまった場合、反アシッドウルフ派のPCグループのみを対象に【オペレイシヨン・グレイストーン】が発生する。

プロローグ

NMはシナリオ開始より前に、次のようなショートエピソードを開示し、シナリオの背景で起こっている出来事を描く。

 スワッシュバックラー率いるアクシス精鋭部隊は、ホワイトドラゴンの依代として目星がつけられていたソウカイヤのニンジャを狙って襲撃作戦を実行している。しかしながら、どういうわけかアシッドウルフは彼らの1歩先を行っており、ターゲットを誘拐したばかりか、トラップとしてソウカイヤ戦力を誘導してアクシスを迎撃させてきた。

 スワッシュバックラーは【アンド・ザ・トラスト・シャル・メイク・ユー……】でもたらされた、『鷲のニンジャ』というキーワードから(あるいはニューロサージや護衛がメイライから抽出した情報から)アシッドウルフの想定行動ルートを既に割り出しており、本シナリオにおける襲撃作戦に取り掛かろうとしている。

【ネオサイタマ|スワッシュバックラー、ボールドウィン】
「サヨナラ!」「貴公、また腕を上げたかね」刺突剣の血を払い、スワッシュバックラーが振り返る。「サンシタ相手に、手間取りました」その視線の先で、西洋剣と盾を携えたニンジャ、ボールドウィンがソウカイニンジャの首を刎ねた。周囲に散らばるのは、彼が一振りで切断した、無数のクローンヤクザの残骸だ。

「そのうえ……目標が既に失われ、ヤクザ者共が待ち受けていようとは」白星に反し、ボールドウィンの表情は険しい。任務の遂行をかき乱す、想定外の不穏分子。彼はその存在を、極めて不快に感じていた。「あのムーホン者の仕業であろうな」「やはり……!」地面に残るソウル痕跡は、先のイクサを経て、巧妙に掻き消されてしまっている。

「アレは氷の女王ご所望の品だ。彼奴にくれてやるわけにはいかんな。それに幸い、行き先のあても幾つかあることだ」スワッシュバックラーは立ち上がると、軽やかにビルと看板を蹴り上がる。「アクシスを動員しますか」ボールドウィンはヘリ回収をIRC要請しながら、スワッシュバックラーに続く。

「最低限で良い。相手は厄介だ。中途半端な連中は無駄死にするだけよ」
「ヨロコンデー」

「さて、もうひと働きするとしよう」スワッシュバックラーは笑った。
ボールドウィンはそこにやや、冷酷な響きを感じ取った。


導入:"ボス"の呼び声

『ドーモ、アシッドウルフです』仲間との合流先であるブラックサイトを目指し、ソード山脈へと踏み入ろうとしていた君たちの出鼻をくじいたのは、通信途絶していたアシッドウルフからのIRCコールであった。

『……指定する座標に来い。そして"乗れ"。俺はそこで待つ。まだ、俺に着いて来るつもりがあるのならばな』君たちは2つの可能性を考慮する。ひとつは、彼が単に君たちが何処まで知ったのか情報を引き出そうとしているケース。もうひとつは、彼が君たちをおびき出して始末しようとしているケースだ。

だが、どちらだ…?アシッドウルフの言葉から、その真意は読み取れない。しかし、これは彼と対峙し"真実"を追求するチャンスでもあった。

描写の例

このシナリオは、【コールドフィート√A】で分断されたAルートのPCのもとに、連絡が途絶していた"ボス"からIRC連絡が入るシーンから始まる。例えばサンプルシナリオの想定ルート通り、彼らがBルートのPCと合流を図っていた場合、このシーンは合流地点へと本格的な移動を開始しようとした直後に発生する。

もしPCがフィルギアなどの協力を得て他のチーム接触を図っており、その事実をアンド・ザ・トラスト・シャル・メイク・ユー……で仲間がアシッドウルフに話してしまっていた場合、"ボス"は「彼らなら来ない」と釘を指してから、ある地点まで来いと指令を下す。

これは裏切り者に対するアシッドウルフの罠なのかもしれないが、PCの立ち位置に関わらず、再び彼と直接対峙し、情報を聞き出すチャンスでもある。最終的にPCは彼の誘導に従うことになる。


シーン1:存在しない駅

意外にもアシッドウルフが指定した座標は文明より離れた場所ではなく、よりNESTの中心地に近い市街の傍らであった。

そして……ネオサイタマの地図上にも、複雑極まりない路線図にも、その場所には駅など存在していなかった。しかしながら、君たちがその場所を訪れると、そこには確かに、巧妙に偽装された古い隠し輸送駅が在ったのだ。

アシッドウルフの言う"乗れ"、はこの先に待ち受けているのであろうか?

描写の例

アシッドウルフからPCへの指示は「指定座標の駅から電車に乗れ」という簡潔なものだ。しかしながらネオサイタマの地図上にも、路線図にも、その場所には駅など存在しない。ここはY2K以前の国防軍の内、シロウ・イスヒ率いる特殊部隊がMKウルトラに関連した極秘輸送に用いていた秘密の輸送駅なのだ。

君たちはネオサイタマ秘密路線説という都市伝説の存在を思い起こすかもしれない。戦前に国防軍が建造した、一般には存在が公表されていない路線が数多く存在するというものだ。これはもしや、そうした秘密路線のひとつの乗車駅なのでは……?

PCは誰一人いない無人の、しかし隠された駅に到着した無人の電車に乗り込み、アシッドウルフと対面することになる。


アシッドウルフという男

灯りもない無人の車両。そのうちの1両で、"ボス"は待ち受けていた。全車両中、生命反応は彼を含めて2つ。しかし、未知の存在の反応は弱々しい。

そして乗車後、アシッドウルフを見つけるのに、そう時間は掛からなかった。進みだした電車の、数車両を先頭に進めば、彼はそこに腰を下ろしていたからだ。「来たか」

「過去に取り残された負の遺産……ビクターはいずれ始末する相手であった。故に、俺はヤツを殺したことを咎めるつもりはない。だが、俺に尋ねたいことがあるのだろう。お前のニューロンの揺らぎは知っている」

​アシッドウルフ(スパイマスター)は灯りもない無人の車両の1つでPCを待ち受けている。大抵の場合、彼は分断されたBルートのPCやビクターを始めとした配下のニンジャを介してAルートのPCの活動状況について十分な情報を得ている。このシーンにおいて彼は、PCの行動の真意や、心の揺らぎの状態を明らかにしようと考えている。

PCは、彼に何を伝えるのかにも依存するが、ある種の問いかけメソッドによってアシッドウルフと対決することができる。ただし基本的にNMは、PCが彼に「こうした情報まで握っている」と提示することで、追加の情報を引き出せるように調整すべきである。

想定される質問への解答は次の通りまとめられている。

===ブラックサイトへの襲撃が発生していた場合
PC:ブラックサイトに何が起きたのか?
ACID_WOLF:アマクダリの襲撃を受けた。メイライの元メガトリイ関係者から情報が漏れたようだ。恐らく、まともな手段で得られた情報ではない。

===AルートのPCのみがシナリオに参加している場合
PC:Bチームは無事なのか?
ACID_WOLF:アクシスの襲撃を受けたようだが、無事だ。彼らには別の任務を遂行させている。

PC:"ビクター"とは何者だったのか?
ACID_WOLF:奴は此方側のニンジャだ。一応はな。かつて戦争に敗れ、軍門に下り……フン。何事か企んでいたが、図らずしてお前達が奴の戦争に終止符を打ったわけだ。

PC:己は元々ソウカイニンジャなのか?(その他、己の正体に迫る質問)
ACID_WOLF:俺はその答えを持っている。だが、本当にそれを知らないと、お前は前に進めないのか。

PC:(上記の問いを肯定的する)
ACID_WOLF:その問いへの答えは、イエスだ。お前達は秘められた可能性の片や、空虚な存在であった。故に……が目的を与え……が至る為のカラテを与えた。だが、今やお前は名実共に鷲のニンジャだ。そうなるよう鍛えた。その、不要な心の乱れ以外は。

PC:お前は何者なのか?
ACID_WOLF:その質問は無意味だ。俺は何者にもなれる。お前はその問に答えを返せるか?だが、今の俺は『アシッドウルフ』だ。

PC:お前の正体はアレン・ダレスか?
ACID_WOLF:俺はその男ではない。

PC:"至る"先には何があるのか?目的は何なのか?
ACID_WOLF:我々は"敵"に不要な情報を与えるわけにはいかない。だが、お前たちにも……今は……これだけは明かす。
 メイライの受け継いだ断片、それらはかつてのメガトリイ、あるいは〈鷲の一族〉に由来するものだ。そしてそれは今や我々の武器と化した。俺は、我々は全ての持てる武器を用いて、世界を下す。世界を正しく、正当に、〈鷲の一族〉の被支配物として定め直す。俺の行き先はそこだ。そしてそれは常に変わらない。

しばらく問答のRPを行った後、NMは対話に結論が出る前に次のシーンへと自動的に移行させる。

◆アシッドウルフ (種別:ニンジャ)
カラテ     10  体力     13
ニューロン   10  精神力    12
ワザマエ    10  脚力     6/N
ジツ      1   万札     50    
近接攻撃D:14、射撃D:14、回避D:15
◇装備や特記事項
 防具 :『旧世紀ポリゴンメンポ&ミリタリー装束(精神力+1、回避D+1)』
 武器 :オノミチ・カスタムx2(赤外線レーザーサイトx2、クイックドロー・ユニット)

 サイバネ:▶︎▶︎▶︎▶︎鷲の腕Lv4(カラテ判定D+4, 回避D+4, 精神力+1)
      ▶︎アパタイトの眼(ワザマエ判定D+1, 射撃D+1)、▶︎生体LAN端子

 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
     『◉トライアングル・リープ』、『◉グレーター・ツジギリ』
     『◉タクティカル移動射撃』、『◉キリングマシーン』、『◉痛覚遮断』
     『◉◉タツジン(ピストルカラテ)』、『◉ヒサツ・ワザ(ネバダズ・デスカタパルト)』

『○元秘密工作員』:
  諜報活動のタツジンとして、電子・物理両面で様々な情報収集と隠蔽工作に精通している。
  適切なシチュエーションであれば、関連した判定の難易度が−1ないし−2される。

『◉◉タツジン(ピストルカラテ)』:
 「拳銃/二挺拳銃/ライフル」装備を「素手状態」ともみなし、
 それら銃器の装備時ペナルティを全て無視し、隣接している敵に対しても射撃可能とする。

  『●戦闘スタイル:射撃反動カラテ(使用コスト:回避ダイス2個)』:
   装備中の銃器で射撃判定を行った後、近接攻撃判定を行う(射撃スタイルは使用不可)。
   『二挺拳銃』を装備している場合、『連続攻撃+1』かつ『近接攻撃難易度+1』を得る。

  『●戦闘スタイル:セイケンヅキ射撃』:
   この近接攻撃は全て『痛打+1』を得る。この攻撃が1発でも命中した場合、
   攻撃フェイズ終了時に対象へ「弾き飛ばし」を与えても良い。

『☆腐食カラテ』:
  手番開始フェイズに【精神力】を1消費して瞬時発動。ジツ値Xターンの間だけ効果が持続。
  効果中は『素手』攻撃にエンハンスによる『装甲貫通1』『回避ダイスダメージ1』が付与される。

『●???』:
 このキャラは常時強化系やソウル系を除く、ルールブック収録の全スキルを所持するとみなされる。
 ただし例外的に、『◉◉戦闘系ソウルの力』はこの対象に含まれる。

 これに伴い、手番開始時にタツジン系スキルの切り替えも行うことができ、
 さらに対応した武器が武器スロットに存在しなくとも、常に所持しているとみなされる。

『☆☆跳弾射撃』:
 宙に放った金属などを反射板とし、神がかり的な計算に基づく超精密な跳弾射撃を行う。
 「拳銃/二挺拳銃/ライフル」装備時に限り、次の射撃スタイルが使用可能となる。

 『●射撃スタイル:跳弾射撃』:使用コスト 回避ダイス2個
  この射撃は『射撃難易度+1』かつ『回避難易度+1』となり、射線を無視することができる。
  また出目【6,6】で『スリケン急所破壊』と同様の表からサツバツ!が発生する。


『特殊弾|クサリヘビ弾 * 3』:
  対ニンジャ用に調合された、激痛を引き起こす強力な出血毒が注入された弾丸。
  この弾薬を使用した射撃は、すべて『毒属性ダメージ+1』を得る。これに1点でも
  ダメージを受けた対象は、そのフェイズ終了時に追加で『精神力ダメージ1』を受ける。
  ただし『ダメージ軽減X』を持つ敵にはこれらの効果が発揮されない。



シーン2:黒い錠剤と装甲車

アシッドウルフはゆっくりと立ち上がる。君の次の動きによっては、そこに張り詰めたカラテが爆発することは容易に想像できる。

君は……君たちは強くなった。ひょっとすると、これまで見てきた"ボス"よりも遥かに。そうなったとき、彼に鍛えられたカラテは彼を打倒し得るだろうか……緊迫した空気が車両を満たした。

「使命を受け入れ、俺に着いて来るのであれば……これを飲め」そう言うと彼は小さな何かを投げ渡す。それは黒い、未知の錠剤。何処であったか、君たちはそこに混じる、蠱惑的な鋭い輝きを見たことがある。

アシッドウルフは対話に明確な決着がつかないタイミングで「(鷲のニンジャの)使命を受け入れ、着いて来るのであれば飲め」と言い、PCに黒い錠剤を投げ渡す。これはドラゴングラスが常飲しているものと同じ薬剤であり、『鷲の腕』に封入された誘引剤と同じ成分、すなわちエメツが配合されている。錠剤はコトダマ空間との繋がりを深め、ウルトラ・ジツによるブレインウォッシングの効果を増強すると同時に、混乱しているPCのニューロンをキックして明瞭にする。

黒い錠剤:
 キラキラとした光沢の交じる黒い錠剤。戦闘中には使用できない。
 【精神力】が即座に1+1d3回復する。アシッドウルフ・ルートへの移行が確定する。


君たちが迷い、疑念を抱き、しかし答えを出さんとしたとき、そのニンジャ第六感が何らかの危機を伝えた。鉛めいて鈍化する時間の中、アシッドウルフは何事か警告し、進行方向へと跳んだ。その声は、ミシリと電車の窓を破るロケット弾頭のエンジン音に掻き消された。

KABOOOM!進行中の車両は捻じれ、火花を散らしながら線路を引きずられ、それを錨として動きを止める。しかし君たちはニンジャだ、この程度で死にはしない!

だが動きを止めることが目的だとしたら?つまり、これが待ち伏せだとしたら?その疑念を裏付けるように、次々と漢字サーチライトが車両へと照射される!「「ザッケンナ市民!投降しなさい!」」ライフルを構えてじりじりと距離を詰めてくるのは防弾アーマーをまとったオナタカミ・トルーパー部隊だ!すなわちこれは……

しかし、彼らが決断を下す前に、乗車している車両は外からサーチライトによって照らし出される。アシッドウルフは警告を促し、車両の進行方向に向かってその場から跳び離れる。

その直後、鈍化する時間の中で、PCは猛スピードで突撃してきた装甲車からロケットランチャーが打ち込まれ、電車の窓を貫いて車体を吹き飛ばす様子を視界に捉える。連結された車両はねじれ、錨として全体の動きを止めてしまう。そこに両翼から襲撃を掛けてくるのは、アマクダリのオナタカミ・トルーパー部隊だ。

この一連のイベントシーンの描写を終えたら、NMは戦闘シーケンスの処理を開始する。


襲撃戦イベント(戦闘シーケンス)

「「イヤーッ!」」[PC1人の名前]へと突如としてジェットパンチが襲いくる!片や、警戒する[PC1人の名前]の周囲に、突如としてカラテオーブが生じ、その体を押しつぶさんとする!新手だ!

「イヤーッ!」BLAM!BLAM!BLAM!「グワーッ!!サヨナラ!」アシッドウルフの銃撃を受け、別方向から進軍していたニンジャはアイサツの間もなく爆発四散!「セクトの犬共め…!」

基本的に白いマス内でPCは戦うことになる。

このシーンは転倒した車両の内部から始まり、車両の屋根の上へとイクサ場が移るような演出で処理される。POPする敵戦力や勝利条件は次の通りである。

*アシッドウルフも味方NPCとして戦闘に参加する
*電車の車両の上下に3体ずつオナタカミ・トルーパーがPOPする
*電車の車両内部に2体のニンジャがPOPする
*トルーパーは毎ターン開始時に1d3体補充される(7体以上には増えない)
*ニンジャを全員爆発四散させると、次のシーンへと移行する

なおこの戦闘はあくまでも前哨戦であり、2~3ターンでかなり余裕を持って決着が着くことを想定している。


◇NPCデータ:ロジウムオーブ

アマクダリ・アクシスのニンジャ。彼のジツはカラテ・ミサイルの亜種であり、敵の周囲に突如としてカラテオーブを生成し、行動範囲を制限しながら攻撃を仕掛けることができる。手品師めいて手からオーブを生じさせるパフォーマンスは、死角を増やす視線誘導のトリックである。

「セクトの統治を脅かす害虫共、年貢の納め時だ」「下郎、この私のジツの餌食に……」

◆ロジウムオーブ(種別:ニンジャ)
カラテ     4  体力     4
ニューロン   6  精神力    6
ワザマエ    6  脚力     4
ジツ      4  万札     15
近接攻撃D:4、射撃D:6、回避D:6
◇装備やスキル
 スキル :『☆カラテミサイル』、『★ラピッド・カラテミサイル』
      『◉常人の三倍の脚力』

『☆◉カラテ・オーブ』:
 このキャラのあらゆる『カラテミサイル』系ジツには、命中対象の【脚力】半減効果が付与される。
 この効果は重複せず、対象の次の手番にのみ適用される。


◇NPCデータ:ブラストシリンダ

アマクダリ・アクシスのニンジャ。炸薬ピストンで急加速する巨大な圧殺サイバネアーム"サンザン"が得物。持ち前のタフネスで強引に押し切りながら、敵を壁際で押しつぶす戦術を得意とする。

「生憎お前たちに決定権はなくてな!強制的に年貢を徴収させてもらおう」

◆ブラストシリンダ(種別:ニンジャ)
カラテ     7  体力     12
ニューロン   1  精神力    3
ワザマエ    4  脚力     4
ジツ      2  万札     15
近接攻撃D:9、射撃D:4、回避D:4
◇装備やスキル
 スキル :『●連続攻撃2』、『◉頑強なる肉体』、『☆カトン・ジツ』
 サイバネ:『▶生体LAN端子Lv1』、『▶▶▶クロームハートLv3』

『重装シリンジフィスト』:
 特殊近接武器、ダメージ3、攻撃難易度HARD、近接攻撃ダイス+2、回避ダイス-3

『☆ブラストパンチ』:
 移動フェイズ開始時に精神力1を消費して自動的に発動。この手番中、次の効果を得る。
 ・移動可能距離が+2される。
 ・カトン・ジツの発動判定が不要になり、中心点ダメージに「弾き飛ばし」が付与される。


◇NPCデータ:サムライフェイス

PCの人数が多い、あるいは戦闘の難易度に手応えが足りないという場合は、先の2人より1段階強いこのニンジャをPOPさせる。彼の登場により戦闘が必要以上に長引きそうな場合、強制的に次の「連結器の破壊と逃走」イベントを発生させて次のシーンへと進めてしまっても構わない。

◆サムライフェイス(種別:ニンジャ)
カラテ     10  体力     19
ニューロン   6  精神力    6
ワザマエ    2  脚力     4/H
ジツ      3  万札     15
近接攻撃D:12、射撃D:2、回避D:9
◇装備やスキル
 スキル :『●連続攻撃2』、『◉特殊近接ステップ』、『◉ツジギリ』
      『☆キル・ニンジャクラン(ビッグ・ニンジャクラン)』
 サイバネ:『▶生体LAN端子Lv1』、『▶▶テッコLv2』

『*肉切り包丁&ハルバード二刀流*』:
 この武器は「チェーンソー」と「ヤリ」のどちらとしても使用することができる。
 特殊近接武器、ダメージ2(どちらの武器形態でも共通)、攻撃難易度HARD

 『●異種二刀流』:
  このニンジャは独特な二刀流の構えから、間合いの読みづらい不意打ちを仕掛けてくる。
  手番終了フェイズに敵1体を選択し、瞬時行動として1ダメージ(回避NORMAL)を与えても良い。
  シナリオ中3回までの使用。


◇NPCデータ:オナタカミ・トルーパー

オナタカミ・トルーパーは延々とPOPし続けるうえ、シーン進行条件には全く関係ないが、定期的に数を減らさなければ集中砲火のダメージは馬鹿にできない。

◆オナタカミ・トルーパー (種別:モータル/バイオ生物/クローンヤクザ)
カラテ     2  体力     2
ニューロン   2  精神力    1
ワザマエ    3  脚力     2
ジツ      -  万札     1
近接攻撃D:2、射撃D:5
◇装備や特記事項
 装備:液晶ヘルメット(「サイバーサングラス」とみなす)
    オナタカミ武装戦闘服(「タクティカル・ニンジャスーツ」とみなす)

 オナタカミ・アサルトライフル:『遠隔武器』、『小銃』、『連射3』、『ダメージ1』


連結器の破壊と逃走(イベント処理)

「車両を先頭に向けて移動しろ!イカれた車両は切り離す。急げ!」再装填を終えたアシッドウルフは先頭車両へ向けて走り出す。先の話こそ決着は付いていないが、この状況下では彼に続くのが最善手だ……!

BLAM!BLAM!BLAM!オナタカミ・トルーパー部隊に撃ち返しながら、アシッドウルフは無事な車両へと滑り込む。「連結器を壊せ!」そして、その後ろに続く君たちへ叫ぶ!

敵の尖兵を始末し終えると、アシッドウルフはオナタカミ・トルーパーと戦いながら、歪んだ車両の連結器を破壊し、切り離すことで再び電車を動かすようPCに指示を出す。

一方で装甲車の上からは数人のアマクダリ・ニンジャがさらに電車の屋根に飛び移っており、PCとアシッドウルフは動き出した車両の中で再びアマクダリ・ニンジャとの戦闘を行うことになる。


シーン3:鷲のニンジャVS鷲のニンジャ

待ち伏せしていたオナタカミ部隊は後方へと遠ざかる。だが君たちの第六感は未だ警鐘を鳴らし続けている。その方向は……アシッドウルフは舌打ちする「……上だ!撃て!」BLAM!BLAM!BLAM!

「イヤーッ!」だが襲撃者は天井を丸く切り裂くと、そのすべてを鋭い一振りで難なく絡め取り、車両内部へと単身、軽やかに着地してみせた。「やれやれ、少しばかりパーティーに出遅れてしまったようだ。ドーモ、スワッシュバックラーです」鋭い音を立て、銀色の刺突剣が構え直される。

「やはり貴公らか。まったく不愉快な話だ。地を這う叛逆者の手駒が、鷲のニンジャを名乗ろうとは!」その言葉を口にする一瞬、彼のアトモスフィアは、極めて冷酷になった。

車両が動き始めると、到着したスワッシュバックラーが天井を切り裂いてその場にエントリーする。彼はPCとアシッドウルフに直接対峙すると、【アンド・ザ・トラスト・シャル・メイク・ユー……】などでドラゴンベインが得た情報を元に、「鷲のニンジャ」を名乗る彼らを相手に冷酷な舌戦の火蓋を切る。

「……」目元を覆うメンポの奥から、嘲笑するような、あるいは哀れむような剣士の視線が一瞬、君に向けられる。「よもや貴公らが、その名を騙って活動しているとは……その様子を見るに、そこの男が何者なのか知らずに付き従っておるのか。その者は鷲の王に反旗を翻した大罪人よ。」

「貴公。そこに騙る鷲のニンジャの名も、地に落ちたと見える」

「叛旗?敗北者に与えられる王位など存在しない。過去に取り憑かれた衛星貴族共の時代はY2Kによって終わった。私は全てを再定義する。それは嘗て〈鷲の一族〉がそうしたように、〈鷲の一族〉そのものとて例外ではない」

スワッシュバックラーとアシッドウルフはサツバツとしたアトモスフィアをぶつけ合う。だが、なぜ目の前のニンジャ……スワッシュバックラーが"鷲のニンジャ"を知っているのか?なぜアシッドウルフとの、"この"対話が成立しているのか?君たちは混乱する。

NMはこのRPシーンにおいて、スワッシュバックラーとPCが会話する機会を設けつつ、スワッシュバックラーとアシッドウルフによる舌戦を演出する。彼らはどちらも間違いなく鷲のニンジャだが、互いに仕える王が違えば、主義主張も全く異なり決して相容れることはない。


「鷲のニンジャは最早2人しかおらぬ」その顔から笑みが消え、冷徹な剣士の色が差した。彼はその問を肯定も否定もしなかった。

「貴公。教えてくれよう。その男は鷲の王に従うものではない。偽りでも、貴公が鷲のニンジャを名乗るのであれば。そのニンジャを討て

貴公が忠誠を誓うのは誰だ。〈鷲の一族〉か、それともそこなる男か」時間が鈍化する。君たちが何らかの決断を下した瞬間、この場には再びカラテが吹き荒れるだろう。

PCからの問いかけやRPをしばらく行った後、NMはマスターシーンを進め、上記のような演出を行う。PCの心が揺れ動いているようであれば、スワッシュバックラーは彼らにアマクダリへと来るよう誘いを掛ける。

これはAルートのPCにとって最後の分岐選択であり、PCは「アシッドウルフの味方をする」のか「スワッシュバックラーの味方をする」のかを選択しなくてはならない。


3VS1(戦闘シーケンス)

「時を過去に戻すことはできない。衛星貴族共の時代は終わった。奴らは失敗した。そして私は、自らの方法で、次の世代を未来に進める」

「▓▓▓▓▓▓=サン、自分を再定義しろ!それができるのはお前自身だけだ!」彼は、アシッドウルフは自分を何と呼んだのか。

刺突剣と銃身がゆっくりと軌跡を描くのを、鈍化した視界の中、君の目は追っていた。次の瞬間、両者が弾け、互いの血肉を貪るのだ。
それは必然だった。そしてその時君たちは……。

▓▓▓▓▓▓の箇所は実際の描写でも黒塗りにしておくこと。アシッドウルフが自分のことを、描写上どのニンジャネームで呼んだのか曖昧にしておくことで、PCがエゴを定義する

PCがどのような選択をしたとしても、ここでは味方側のボスNPCと共闘し、敵に回った側のボスNPC(スワッシュバックラーもしくはアシッドウルフ)と複数人対1人の特殊なイベント戦闘が行われる。

この戦闘において、ボスNPC(スワッシュバックラーもしくはアシッドウルフ)の回避ダイスはPCの人数の6倍(PCが2人の場合は12個)だけ増加する。その上で、この特殊戦闘ではボスNPCの本来のイニシアチブを無視し「味方キャラ⇛ボスNPC⇛味方キャラ⇛ボスNPC⇛味方キャラ⇛ボスNPC」と交互にイニシアチブの処理が行われ、ボスNPCは各手番で異なるキャラクターを集中攻撃する(つまり、1on1のカラテ応酬が1ターンに全キャラクターに対して発生する)。

この戦闘は2ターンだけ行われる。ボスNPCはいかなる場合でも爆発四散することはないが、その体力をどれだけ減少させることができたかによって、シナリオクリアボーナスが変化する。
 ボスNPCが本来爆発四散する状況に陥るか、2ターンが終了すると次のシーンへと移行する。

特殊ルールのまとめ
1:このシーンで敵対するボスキャラは、PCの人数*6だけ回避ダイスの最大値が増加する(2人の場合は+12個)。
2:この戦闘では味方した側のキャラクターも戦闘に参加する
3:この戦闘において、敵対するキャラは特殊なイニシアチブで行動する。
  具体的には「味方⇛ボスキャラ⇛味方⇛ボスキャラ⇛味方⇛ボスキャラ」といった順番で、PCの人数+1回、1ターンに行動手番が回ってくる。
4:この戦闘は2ターンだけ行われる
5:ボスキャラは爆発四散することはない。ただし、減少させた体力分だけシナリオクリアボーナスが加算される。


◇NPCデータ:スワッシュバックラー

油断することなかれ。君たちが今、何かを明確に受け入れ、決意を固めたのだとすれば、目の前に剣を構える男はその決意に自らの精神を適用させ、長きに渡り、変質させた鋼の男だ。

2ターンの戦闘において、スワッシュバックラーは1ターン目は『連続精密刺突』で、2ターン目は『針の穴』で攻撃をしてくる。この戦闘は決闘めいたアトモスフィアが好ましく、遠隔攻撃主体のPCとの追いかけっこになってしまうようなら、マップレスの特殊戦闘に切り替えてしまっても構わない。

「まったく愉快な話だ。地を這う叛逆者の手駒が、鷲のニンジャを名乗ろうとは!」 /// 「不利なイクサはせん主義だが……此の一瞬だけは、それを忘れるとしよう!」

◆スワッシュバックラー (種別:ニンジャ)
カラテ    7   体力   10
ニューロン  7   精神力   11
ワザマエ   15  脚力   8/N
ジツ     3   万札   30

攻撃/射撃/機先/電脳  7/15/7/7
回避/精密/側転/発動  15/15/15/-

◇装備や特記事項
 装備 :『刺突剣(カタナとみなす)』
 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射3』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、『即死耐性』
     『◉◉◉忠誠心:アマクダリ』、『◉マーク・オブ・アマクダリ』、『◉電光石火』
     『◉バック転回避』、『◉殺人剣』、『◉◉タツジン(イアイドー)』
     『◉ヒサツ・ワザ:タイノサキ』、『◉銃弾の見切り』、『◉ツジギリ』

『●戦闘スタイル:連続精密刺突』:「刺突剣」装備時のみ使用可能
 『●連続攻撃5』となり、【ワザマエ】で『攻撃判定』を行う。
 『ターゲット敵1体固定』、『1ダメージ固定』、『カウンター不可』、『サツバツ!不可』

『◉戦闘スタイル:針の穴』:「刺突剣」装備時のみ使用可能
 【精神力】1を消費して使用。【ワザマエ】で『攻撃判定』を行う。
 『ダメージ1』、『痛打+1』、『回避難易度:HARD』、『装甲貫通1』、『ターゲット敵1体固定』

『●ハタモトの矜持』:
 ・マップ上の味方のニンジャが爆発四散、もしくは撤退するたびに『緊急回避ダイス』を+2する。
 ・『サツバツ!』などによる能力値ダメージを受けたとき、【精神力】1を消費して無効化しても良い。
 ・『●即死耐性』によるダメージ変換を『痛打+2d6』まで軽減する。


◇NPCデータ:アシッドウルフ

2ターンの戦闘において、アシッドウルフは相手との位置関係に応じて『射撃反動カラテ』と『跳弾射撃』で攻撃をしてくる。この戦闘はかなり泥臭いアトモスフィアで行われることが好ましく、NMはPCの弱点をつくようにアシッドウルフを立ち回らせると良い。

「俺に弓引くか。良かろう、それがお前の選択というならばな」 /// 「見せてみろ。お前のニンジャソウルの輝きを!」

◆アシッドウルフ (種別:ニンジャ)
カラテ     10  体力     13
ニューロン   10  精神力    12
ワザマエ    10  脚力     6/N
ジツ      1   万札     50    
近接攻撃D:14、射撃D:14、回避D:15
◇装備や特記事項
 防具 :『旧世紀ポリゴンメンポ&ミリタリー装束(精神力+1、回避D+1)』
 武器 :オノミチ・カスタムx2(赤外線レーザーサイトx2、クイックドロー・ユニット)

 サイバネ:▶︎▶︎▶︎▶︎鷲の腕Lv4(カラテ判定D+4, 回避D+4, 精神力+1)
      ▶︎アパタイトの眼(ワザマエ判定D+1, 射撃D+1)、▶︎生体LAN端子

 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
     『◉トライアングル・リープ』、『◉グレーター・ツジギリ』
     『◉タクティカル移動射撃』、『◉キリングマシーン』、『◉痛覚遮断』
     『◉◉タツジン(ピストルカラテ)』、『◉ヒサツ・ワザ(ネバダズ・デスカタパルト)』

『○元秘密工作員』:
  諜報活動のタツジンとして、電子・物理両面で様々な情報収集と隠蔽工作に精通している。
  適切なシチュエーションであれば、関連した判定の難易度が−1ないし−2される。

『◉◉タツジン(ピストルカラテ)』:
 「拳銃/二挺拳銃/ライフル」装備を「素手状態」ともみなし、
 それら銃器の装備時ペナルティを全て無視し、隣接している敵に対しても射撃可能とする。

  『●戦闘スタイル:射撃反動カラテ(使用コスト:回避ダイス2個)』:
   装備中の銃器で射撃判定を行った後、近接攻撃判定を行う(射撃スタイルは使用不可)。
   『二挺拳銃』を装備している場合、『連続攻撃+1』かつ『近接攻撃難易度+1』を得る。

  『●戦闘スタイル:セイケンヅキ射撃』:
   この近接攻撃は全て『痛打+1』を得る。この攻撃が1発でも命中した場合、
   攻撃フェイズ終了時に対象へ「弾き飛ばし」を与えても良い。

『☆腐食カラテ』:
  手番開始フェイズに【精神力】を1消費して瞬時発動。ジツ値Xターンの間だけ効果が持続。
  効果中は『素手』攻撃にエンハンスによる『装甲貫通1』『回避ダイスダメージ1』が付与される。

『●???』:
 このキャラは常時強化系やソウル系を除く、ルールブック収録の全スキルを所持するとみなされる。
 ただし例外的に、『◉◉戦闘系ソウルの力』はこの対象に含まれる。

 これに伴い、手番開始時にタツジン系スキルの切り替えも行うことができ、
 さらに対応した武器が武器スロットに存在しなくとも、常に所持しているとみなされる。

『☆☆跳弾射撃』:
 宙に放った金属などを反射板とし、神がかり的な計算に基づく超精密な跳弾射撃を行う。
 「拳銃/二挺拳銃/ライフル」装備時に限り、次の射撃スタイルが使用可能となる。

 『●射撃スタイル:跳弾射撃』:使用コスト 回避ダイス2個
  この射撃は『射撃難易度+1』かつ『回避難易度+1』となり、射線を無視することができる。
  また出目【6,6】で『スリケン急所破壊』と同様の表からサツバツ!が発生する。


『特殊弾|クサリヘビ弾 * 3』:
  対ニンジャ用に調合された、激痛を引き起こす強力な出血毒が注入された弾丸。
  この弾薬を使用した射撃は、すべて『毒属性ダメージ+1』を得る。これに1点でも
  ダメージを受けた対象は、そのフェイズ終了時に追加で『精神力ダメージ1』を受ける。
  ただし『ダメージ軽減X』を持つ敵にはこれらの効果が発揮されない。



シーン4-A:さらなるアクシス

「フン、戯れの時間はここまでだ」スワッシュバックラーは再び2人から間合いを取る。これにより刺突剣の危険域から君たちは完全に離れた形だ。

「のっぴきならない用事があってな!」そう言うと彼は身を翻し、先頭車両へと駆け出す!

PCがアシッドウルフに味方をすることに決めた場合、スワッシュバックラーとの殺陣イベントが進行すると、彼は戦闘を中断して先頭車両へと向かって走り出す。アシッドウルフはそれを追いかけるが、PCの前にはスワッシュバックラーを援護すべくアクシスのニンジャがエントリーしてくる。


同時に、先の戦闘によって破壊された車両の断裂部から飛び込んでくるのは
新手の3人のニンジャである!「イヤーッ!」BOOM!カラテシャウトと共に、車両を横薙ぎに切り裂く光波が2人を襲う!

「スワッシュバックラー殿、ここは私めにお任せを」白い残像を伴う西洋ニンジャ剣を構えたニンジャがアイサツを繰り出す「ドーモ、ボールドウィンです」

イベント描写を挟んだ後、このシーンでは新たな戦闘シーケンスが開始する。この場におけるPCの役割は、スワッシュバックラーの加勢に向かわないように増援のアクシス3人を抑えることだ。

また、この戦闘においては、(どちらかというとPCを保護するために)乱戦のルールが適用される。敵のニンジャ3人を爆発四散させるか、撤退に追い込めばこのシーンはクリアとなる。


◇NPCデータ:ボールドウィン

ボールドウィンは要所に銀色の装甲プレートを取り付けた軽装のニンジャ装束を纏い、西洋風の剣と盾を獲物とする。エンハンスされた斬撃を飛ばすことで中距離戦闘にも対応でき、攻防ともに優秀な戦闘能力を持つ。

組織への忠誠心が高いボールドウィンは追い詰められても決して撤退せず、少しでもPCを足留めしようと戦い続ける。

「受けてみよ!」 /// 「セクトに弓引き、ネオサイタマに混沌を齎す乱賊め。私は秩序の担い手として、貴様らをここで排除する」

◆ボールドウィン(種別:ニンジャ)
カラテ    9   体力   10
ニューロン  7   精神力  8
ワザマエ   8   脚力   5/N
ジツ     4   万札   25
近接D:10(12)、射撃D:8、回避D:10(12)
◆装備や特記事項
 装備  :『軽装ニンジャ装束(回避D+1)』、『フルメンポ(体力+1)』
 武器  :『ロングソード&カイトシールド(カタナ二刀流)』
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『◉忠誠心:アマクダリ』
      『◉バック転回避』、『◉ツジギリ』、『◉銃弾の見切り』
      『◉◉タツジン:二刀流』

『☆レッサー・エンハンスメント』:
 手番開始時に【精神力】を1消費して発動(瞬時)。
 武器・防具に白いエンハンス光をまとわせ、その性能を向上させる。
 戦闘終了時まで、装備中の「近接武器」に『回避D+2』、『近接攻撃D+2』の効果を付与する。

『★濃縮エンハンスカラテソード』:
 手番開始時に【精神力】1消費して瞬時に発動。この手番に限り、次の効果を得る。
 装備中の「近接攻撃」に『リーチ+1』付与。手番終了時、自動的に「カトン・ジツLv1」を放つ。


◇NPCデータ:プロタント

アマクダリ・セクトに身を置く傭兵。剛性に優れた金属皮膜を瞬間生成する、特殊なムテキ・アティチュードの使い手。状況判断能力が高く、サイバネ、ジツ、カラテを駆使し、狡猾に立ち回る。

プロタントは厳密にはアマクダリの所属ではなく、忠誠心もそれほど高いとは言えない。自身が窮地に陥ったり、他の仲間がやられてしまった場合は躊躇わずに撤退を選択する。

「スワッシュバックラー=サンとやり合えた腕だ、舐めてるわけじゃあねぇ……だが、底は見えたぞ」 /// 「こっちの用事は済んだ。俺もこの辺でサヨナラさせてもらおうか」

サンプルシナリオにおいて、プロタントは再び登場する機会がある。
サンプル通り進めるなら、彼は死亡する代わりに撤退するものとしても構わない。
◆プロタント(種別:ニンジャ)
カラテ     7   体力     7 
ニューロン   4   精神力    4 
ワザマエ    4   脚力     4/N
ジツ      2   万札     15
近接D:7、射撃D:6、回避D:8
◇装備やスキル
サイバネ:『▶テッコLv1』、『▶サイバネアイLv1』
スキル :『●連続攻撃2』、『◉疾駆』、『◉ツジギリ』、『◉突撃』
ジツ  :『☆ムテキ・アティチュード』、『☆◉レッサー・ムテキウェポン』

『▷腕部内蔵グレネードランチャー』:
 ・手番終了フェイズに使用可能。自動成功。シナリオ中1回限り。
 ・射線の通る1地点をターゲットとした『カトンLv1』を発生させる。


◇NPCデータ:コープスミラー

アマクダリ・セクト所属。装束の内側に封じ込めた大量の亡霊をエクトプラズムに転化し、イクサ場を埋め尽くすほど大量に噴出する。エクトプラズムはノロイとして敵の生気を奪い、味方の傷を超常的に癒やす。

コープスミラーは3人のアクシスの中で最も弱いが、放っておくと味方を回復しながら全体攻撃を仕掛けてくるため、賢明なプレイヤーは彼を真っ先に始末しようとするだろう。

◆コープスミラー(種別:ニンジャ)
カラテ     5  体力     5
ニューロン   6  精神力    7
ワザマエ    5  脚力     3/N
ジツ      4  万札     15
近接D:5、射撃D:5、回避D:6
◇装備やスキル
 装備  :『ネオン・ブードゥー装束(精神力+1)』
 スキル :『◉ニューロンブースト』

『☆ノロイ・ジツ』:
 【精神力】1を消費し「その他の行動」として発動。発動難易度NORMAL。
 最大で3人まで射線の通る敵を対象に選択し、時間差の『ダメージ1』を2回与える。
 回避難易度はNORMALだが、2体以上を対象に選択する場合、回避難易度は-1される。

『★コープスポゼスト・ジツ』:
 手番開始時に【精神力】1を消費して即座に発動。発動難易度HARD。
 ジツ値までの数の味方を選択し、即座に【体力】を1回復し、『回避ダイス』を+1する。



シーン4-B:回転回廊

「このままでは、ちと不利か」アシッドウルフはバック転で再び間合いを取る。これによりピストルカラテの危険域から君たちは完全に離れた形だ。

「認めよう、見事なカラテだ。故に、ここは引かせてもらう」そう言うと彼は身を翻し、先頭車両へと駆け出す。「おっと抜け駆けは関心せんな!」それを追うスワッシュバックラー!

PCがスワッシュバックラーに味方をすることに決めた場合、アシッドウルフとの殺陣イベントが進行すると、彼は戦闘を中断して先頭車両へと向かって走り出す。スワッシュバックラーはそれを追いかけるが、PCの前にはアシッドウルフを援護すべくメイライ・コーポレーションのニンジャがエントリーしてくる。


バラバラバラバラバラ。同時に、黒い最新鋭武装ヘリのサーチライトが高速走行中の車両を照らし出す。そして天井を押しつぶしながら、君たちの行く手を阻むように飛び込んでくるのは、新手の重装甲ニンジャである!「イヤーッ!」BLATATATATAATATATA!カラテシャウトと共に、ミニガン掃射が車両を横薙ぎに襲う!

『コーッ……シュコーッ……COO、援護、致します』腕部に装着されたミニガンを自動再装填しながら重サイバネアーマーのニンジャがアイサツを繰り出す『ドーモ、ファルシャームイエーガーです』

イベント描写を挟んだ後、このシーンでは新たな戦闘シーケンスが開始する。この場におけるPCの役割は、アシッドウルフの加勢に向かわないように増援のファルシャームイエーガーを抑えることだ。彼1人を爆発四散させることができれば、このシーンはクリアとなる。


◇NPCデータ:ファルシャムイェーガー

巨大な重サイバネアーマーに身を包む、メイライ・コーポレーションのニンジャ。サターンの実戦データに基づく様々な試験的武装が搭載されており、電磁クローアームによる近接戦闘だけでなく、圧倒的な火力による制圧戦も難なくこなす。

ファルシャムイェーガーは対アマクダリパターンのニンジャより圧倒的な火力を持っており、体力も格段に多いパワフルなニンジャだが、回避ダイスが少ないため相性によっては瞬殺される恐れがある。
 そのため、難易度を調整したいNMはオプションとして後述の『スシ・アンプル自動注入装置』を搭載したり、逆に「アーム射出ユニット」など使用回数制限のある武器の使用に「回避ダイス2」をコストとして要求したりすることができる。

また非常にいやらしい戦術だが、飛行移動により車両の外部へと移動させ、PCの近接攻撃が届かないレンジから攻撃しながら体制を立て直させるのも手だ。

『コーッ……シュコーッ……』 /// 『俺は、任務を、遂行している』 /// 『再装填、完了。ファイエル!』

◆ファルシャムイェーガー(種別:ニンジャ/重サイバネ)
カラテ    9   体力   20
ニューロン  7   精神力  7
ワザマエ   8   脚力   6/H
ジツ     2   万札   25
近接D:12、射撃D:11、回避D:10
◆装備や特記事項
 サイバネ:『▶生体LAN端子Lv1』、『▶▶▶テッコLv3』、『▷赤外線レーザーサイト』
      『▷電磁クローアーム』、『▷アーム射出ユニット』
      『▶クロームハートLv1』、『▷第二の心臓』

 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『◉重サイバネ化』、『●脆弱性(電磁1)』、『◉空中制動』、『◉ツジギリ』
      『◉◉防弾装甲(銃弾の見切り+スリケンの見切り)』、『◉滅多斬り』
      『◉タクティカル移動射撃』、『☆ビッグニンジャクランLv2』

『▷アーム射出ユニット』:シナリオ中3回までの使用。
 ・手番「終了フェイズ」に、「瞬時行動」として射撃可能。自動成功。
 ・3マス以内の敵1体(隣接不可)に、2ダメージ(基礎1+電磁1)を与える(回避:HARD)。

『メイライ社製LAN直結式サイバーアーマー』:
 ・着用者は『●移動:飛行移動(8マス)』かつ飛行移動中のみ有効な『轢殺攻撃2』を得る。
 ・『▷ファイアウォール』と『▷電脳戦用デッキ』の効果を得る。

 『マルチロックオン・ランチャー』:2ターン連続使用不可
  重火器、射撃難易度:HARD、時間差、連射3、カトンLv2

 『アーム・ガトリング』:2ターン連続使用不可
  小銃、射撃難易度:NORMAL、時間差、マルチターゲット、連射6、1ダメージ、回避:EASY

 『マイクロミサイルポッド』:シナリオ中1回までの使用。
  ・手番「終了フェイズ」に、「瞬時行動」として射撃可能。自動成功。
  ・視線の通る1マスを中心にカトンLv1を発生させる。
『スシ・アンプル自動注入装置』:シナリオ中2回までの使用
 手番開始時に瞬時行動として使用する。【体力】を2点回復するが、即座に『回避ダイス』が-2される。


状況の変化

KABOOM!炸裂音と共に、突然の無重力感が全員を襲う。再び鉛めいて鈍化する時間のなか、君たちは一瞬遅れて状況を理解する。何らかの理由で先頭車両がクラッシュし、全車両がムチめいてねじれ、回転しながら宙に浮いているのだ。

NMはファルシャームイエーガーとの戦闘の中、幾つかの描写やギミックを投入することにより、戦闘シチュエーションに変化を与えることができる。

アイデアの1つ目は、上記に描写の例が示されているような先頭車両のクラッシュである。これはアシッドウルフの指示により、"腕"のニンジャであるマテリアライズが先頭車両を狙撃したことによるもので、高速走行中の車両というイクサ場は突如として混沌とした状況に放り込まれてしまう。

これは単にアトモスフィアの変化に応じて描写しても構わないが、別の用途として、1~2ターン目にPCが苦戦している様子が見られる場合「2ターン目の開始時にこのイベント描写を行い、アトモスフィアを引き上げる」という使い方もできる。逆に「ファルシャームイエーガーはジェットパックで浮いているので影響を受けない」として、PCに何らかのデバフを与えるイベントとすることもできるだろう。


アイデアの2つ目は、先述のマテリアライズによる狙撃や、メイライ・コーポレーションの武装ヘリによる機銃掃射がファルシャームイエーガーを支援させるというものだ。これは「ターン終了時に1ダメージが自動的に発生する(回避:HARD)」など、よりシンプルな内容で処理できる。


結末:"鷲のニンジャ"との決別

バラバラとローター音を立て、突如として武装ヘリが出現する!そしてそこへと目掛けて先頭車両から軽快に駆けてくるのはスワッシュバックラーだ!彼は肩に……女ニンジャを担いでいる!もとより車両内に感じていた生命反応のひとつか!?

「さらばだ諸君!次に出会った際には死を覚悟し給え」スワッシュバックラーは高笑いをしながらヘリへと姿を消す。

いずれのケースでも、シーン4における増援との戦闘に決着がついた時点でシナリオはエンディング処理へと向かう。

アシッドウルフに味方をした場合、スワッシュバックラーは謎の女ニンジャを連れ、オナタカミの増援ヘリに乗り込んで颯爽と姿を消してしまう。
 逆にスワッシュバックラーに味方をした場合、「回転回廊」のイベントで起きた混乱の内にアシッドウルフは忽然と姿を消してしまっている。この場合でもスワッシュバックラーは謎の女ニンジャを担いで脱出しており、PCをアマクダリに歓迎すると同時に、「何を知っているのか、組織のインタビューが待ち受けているのは覚悟しておくと良い」と軽い調子で言ってのける。


こうして2人のニンジャは幾つかの真実と嘘に触れ、そのうちのひとつを選び取ることを決めた。彼らが向かう先には、これからも死が積み上げられていくだろう。だが、それがどちらのものなのか……あるいは両者のものなのか、その行く末はまだ、分からない。

あるいは、それはもう間近まで迫っていた。

謎の女ニンジャの正体と役割

先頭車両に意識を失った状態で拘束されており、最終的にスワッシュバックラーによって回収された女ニンジャはアマクダリ・セクトがホワイトドラゴンへ贄として提供しようと考えていた、リアルニンジャのソウルに適合する宿主候補である。

コリ・ニンジャクランはアマクダリ・セクトと未だ正式な同盟を協議中の不安定な状況であり、アシッドウルフはそこに付け込んでコリ・ニンジャクランと秘密の同盟を構築するべく暗躍していた。アマクダリ・セクトに先んじてその身柄を確保できたのも、元々アシッドウルフが発見したターゲットの情報をコリ・ニンジャクランに伝え、そこからアマクダリ・セクトへと情報が流れていたからだ。

情報が流れた時点で彼は既にターゲットを確保しており、あえてアマクダリ・セクトにそれを奪わせることで、「極めて自然な形」でコリ・ニンジャクランに届けるというのが本シナリオにおけるアシッドウルフの筋書きであった。


一方、アシッドウルフは贄となるニンジャ、イクゥイナクスをトロイの木馬として利用しようと考えている。彼は彼女に洗脳によるトリガーを仕込んでおり、結果的にこれを依代とするホワイトドラゴンは一切の自覚が無いままアシッドウルフの影響を受ける、ある種のインプリンティングを含む洗脳状態となってしまうのだ。

これは表面上、ホワイトドラゴンが彼に操られたりといった形で現れることは全くないが、アシッドウルフのジツの出力が最高潮に達し彼女に影響を及ぼせるようになる最終幕まで、ホワイトドラゴンは実質的にコリ・ヌークのトリガーをアシッドウルフに握られた爆弾のような状態となってしまう。


◇報酬(PC1人あたり)

基本報酬:40万札 ※爆発四散させたキャラクターの所持万札の代わりに得られるものとする。

またNMは余暇を与える代わりに、万札を消費した能力値の固定成長や『成長の壁2』の突破を許可する。
これ以降のシナリオでは余暇がなく、万札の使い道は消耗品や武器・武器の業物化しかない。

※【フォールス・ウインター】の最終チャプター(序破急の3シナリオ)については、各キャラクターが
「成長の壁2」を1つだけ突破した直後程度の強さを想定している(つまり、能力値上限が実質13~14)。
ゲームバランスの調整が困難となるため、NMは最上位級スキルの取得は許可しないのが無難だろう。


補足コメント

シナリオタイトルの由来となった「Greystoneグレイストーン」は、アメリカ同時多発テロ事件の直後にCIAが開始したテロ対策の尋問技術強化プログラムの名称です。未だ公には認められていない(らしい)ため、それほど情報はありませんが、これは当初主にアルカイダをターゲットにした作戦として機能しており、尋問のための機密区画(これが"ブラックサイト"や"グレイストーン"と呼ばれていた)が用意され容疑者の強制連行などが行われていたと言われています。

本作【オペレイシヨン・グレイストーン】ではオカルトなネタの東京地下秘密路線説と絡める形で、PCが隠された路線の電車に乗って運ばれる様を"強制連行"になぞらえるような形で演出を行っています。
 一見すると、連行される容疑者=悪人は裏切り者のPCのように思えますが、実際にはアシッドウルフによって拉致されたイクゥイナクス(ホワイトドラゴンの依代となる可愛そうなソウカイ・ニンジャ)が拘束されていたり、アシッドウルフがスワッシュバックラーに「大罪人」と断じられたりと、結局誰が連行されているのか?が視点によって変わるような構成となっています。

シナリオの展開面はアーケードのガンシューティングゲームである『タイムクライシス』シリーズをオマージュしており、意図的に「アクションポイント」で戦闘をしながら、少しずつ前に前に「エリア」を進んでいくような構成としています。
 オナタカミ・トルーパーの奇襲で前方車両に飛び移り、車両を切り離し、ボスキャラと戦いながら徐々に前方車両に進み、そこにシナリオボスが立ちはだかる……と、経験者であれば半レールシューター方式のゲームの1マップをプレイしているような気分を味わえるのではないでしょうか。

ストーリー面では、ここ数シナリオで少しずつ(遠回しに)明かされていたPCの正体について、ようやくアシッドウルフの口から明確に語られる重要なシナリオとなっています。もっとも、それを受けて結論をすぐに出さなくてはならないので、実際には別チームのプレイヤーとも十分に方針相談を行ってから挑むべき内容ではあるでしょう。
 実卓でのテストプレイでは十分に相談したうえでアシッドウルフ・ルートに分岐することに決めてから挑んだのですが、直後に初版の『ジツ拡張サイバネ』の暴走ルールによりフレンドリー・ファイアーが発生してしまい、(GM裁量により免除したものの)アシッドウルフを巻き添えに爆発四散させてしまうという恐ろしいハプニングも起こっていました。

アシッドウルフとの対峙を経て自己の"再定義"を終えたPCたちは、どのような道にせよ、あとは終わりまで駆け抜けるしかなくなってしまいます。これは参加しているプレイヤーたちも同様で、立ち位置が明確になったことで、これ以上に(裏を気にせず)物語に集中してプレイしてもらえるようになることでしょう。

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