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航路にて

2009年9月10日(木)。成田空港を出発し、イギリスはヒースロー空港へ。

14時間近い空の旅だ。かつて、私の祖父が仕事を兼ねて北半球を周遊したときは当時のソビエト連邦上空は通過できず、イギリスへは北極を通っていったそうだ。

その後、世界地図は変わった。

地球儀の色彩も変わった。

時代であればミサイルで撃ち落とされても仕方ない航路を、僕は妻と期待に胸を膨らませて、西へ西へと進んでいるのだから不思議だ。

ロシア、東欧諸国、北欧諸国を越えながら、時折、雲間から垣間見る地上の世界。・・・なんという広大な土地だろうか。

こうしてみると、人が管理している部分など、この広大な、広大な世界の広さにくらべたら、ほんのわずかなものである。

ともすると、自分の認識出来ている狭い世界だけで生きて「こんなもんさ。」と、全て知っているつもりになっているが、とんでもない。

こんなにも世界は広い。

まだまだ知らないことが沢山あるし、

きっと知り尽くすことも出来ないのだろう。

窓から目をそらして隣を向くと、そこにはかけがえのない人がスヤスヤと眠っている。

今までは、独りで旅をしてきた。

人生の途上にあって多くの人に支えられながらだが、独りでものを考え、独りで受けとめ、決断してきた。

しかし、いよいよ2人一つとなって共に歩む旅が始まった。

神はどのような人生の旅へ僕らを誘われるのであろうか。

1人では持て余してしまうような喜びや感動を、共に分かち合う人があるのは幸いなことだ。

1人では乗り越えられないような困難の時に、支え合い、祈りを共にする人があるのは幸いなことだ。

すれ違うことも沢山あると思うが、いつかやがて地上の生涯を全うする日まで、一足、一足、大事に大事に受けとめながら生きていきたいと思う。


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