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私とOちゃんと、癌とお金



私はOちゃんの退院以来、何度か食料を彼女の家に持って行った。
スーパーで買った日持ちのする食料を段ボール一杯に詰めて、チャイムのない長屋の戸を叩く。
見事に毛が抜け落ちた彼女の頭は、テレビで見るガン患者のそれ。
少しやつれた様に見えるOちゃんに挨拶をして、家に上がり込み、冷蔵庫の前に段ボールを置いた。
(本当は、冷蔵庫の中身も見たいんだけど、それはきっと過ぎたお節介なのだろう…)

そんな事を何度か

たった5,000円程度の食料じゃ、彼女の健康を支えることができないのは私も分かっている。
最初の記事で「底辺っているんですね」とコメントを貰ったのを、当時は多少カチンと来ていたけれど実際その通りだなぁとも思う。
(私の友人の事を私も表現しない「底辺」と表現してしまうあたり、人間性を疑いはしたが)

何故なら、彼女は『助けの求め方』を知らない。
療育手帳を持つ、所謂、軽度知的障害がある彼女に何度「病院に行ったら相談支援をうけなさい。ソーシャルワーカーさんとお話ししなさい。」と言ってもやらない
「市役所に行って、受けられる支援があるか確認しなさい」と言ってもやらない。
やらないなら仕方ない、という人たちの気持ちも分かる。
ただ、彼女は『悩みはお金の事。お金は働いた対価で頂くもの。だから誰かに相談しても仕方ない。』と病院の相談窓口には行かず
『生活保護は働いてたら貰えないから行っても無駄』と言って役所には行かない。生活保護だけの話じゃ無いってことも理解していない。

月一回の抗がん剤治療、4万円。

それが彼女に重くのしかかる。

それに加えて、既婚者彼氏から入院費として借りたお金も退院して働き始めてすぐに少しずつ返している。
治ってからのんびり返せばいいじゃん。
死んだら返せないんだよ??
と、人生目先1カ月くらいしか見れないのが軽度知的障害なのだろう。



私も、他人をずっと負ぶっていける程裕福なわけではない。
かといって、今現在、4万円(抗がん剤一回分)の貯蓄がないわけでもない。でもお金をあげたくはない。けど現金が一番助かるだろう。とまぁ、頭の中がぐーるぐーるなのである。所持金1000円とか詰みすぎだろ





ソーシャルワーカーや、社会福祉士など、それを生業にする国家資格がある。
そこに窓口がある。
だけど、彼女はそれを知らない。

仕方がないので、病院に電話して同席の許可を貰った。
親族でもなくパートナーでもなく、私はただの知人。

司法書士の先生にも予約をいれた。

知人でも出来る手助けがあると信じて動くだけだ。

あー、私ってえらーい!()

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