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【VISIONING VOICE Magazine #13】 「専門医の知見シェアで地域医療を救う」 〜 株式会社Medii 山田 裕揮さん〜

NEXs Tokyoが主催する、ローカルおよび国内外の広域展開に挑むスタートアップが”次のステージ”に向かって羽ばたくために、サポートをしてくれる人やファンと繋がる番組VISIONING VOICEをインタビュー記事としてまとめたマガジン「VISIONING VOICE Magazine」 📖

「VISIONING VOICE」は4月より日経グループとコラボし、さらにパワーアップ!次のステージを目指すスタートアップ企業の3つの「カクシン(核心・革新・確信)」に迫り、起業家の想いを深堀りします。
パーソナリティは、長年スタートアップを取材している日本経済新聞社・上田 敬さんとNEXs Tokyoコミュニティスタッフ・閏野が務め、番組をお届けしています。

今回はJUMPコース(東京発)のスタートアップ、株式会社Medii 代表取締役医師の山田 裕揮(やまだ ひろき)さんにインタビューさせていただきました!

バナーデータ_ゲスト (1)

<登壇者プロフィール>
山田 裕揮(株式会社Medii 代表取締役医師)
和歌山県出身。自身が厚労省特定難病疾患を持つ患者であり、リウマチ膠原病専門医 地元に専門医が不在だったために自身が患者としても地域医療の課題を痛感する。初期研修時に奄美大島で離島医療を体験。その後、聖路加国際病院、慶應義塾大学病院を経て医学博士取得。いくら研鑽を積んでも自分一人だけでは地元を含めて全ての地域の患者さんを救えないため、仕組みから地域医療現場を変えることを志し、2019年に株式会社Mediiを創業。地域医療課題解決型スタートアップとして注目され、特にリウマチ膠原病内科など課題が顕在化する希少難病領域を中心に専門医リソースを現場に届けている。
経済産業省JHeC2021優秀賞/住友生命特別賞
ICCスタートアップカタパルトKYOTO2020優勝
株式会社Medii公式サイト:https://medii.jp

地域医療の現場に専門医の知見をシェア

地域医療を担う医師と都市部で働いていることの多い難病専門医をオンラインで繋ぐ、専門医シェアリングサービス「E-コンサル®」を提供する株式会社Medii 代表取締役であり、医師でもある山田 裕揮さん。ご自身も厚労省特定難病疾患をもっている経験から、どこにいても安心して医療を受けられる社会の実現を目指して、本サービスを立ち上げられました。

スクショ(事業紹介1)

山田さん:私は自己免疫疾患という難病患者です。自己免疫疾患とは、本来、自分の体を守ってくれる自己免疫細胞が、間違って正常な自分の身体を攻撃してしまう病気です。私は和歌山で育ったのですが、専門医がいないためにこの診断を受けるのに9年かかりました。また、診断後も特殊な治療を受けるために、大阪の病院まで通わなければなりませんでした。難病と言うと自分には関係ないと思われるかもしれませんが、大人になってから発症する人も含めると、人口の5%を占めており、これは誰でも身近に一人ぐらいは難病患者がいるという数字なのです。

スクショ(事業紹介2)

山田さん:全国の医師の偏在問題は年々大きくなっており、人口当たりの医師の数は都市部と地方で10倍の差があります。難病専門医となるとさらにその差は顕著です。しかし、地方の専門医の絶対数を増やすことは難しい。そこでE-コンサル®では、地方の医師に専門医の知見を届けることを目指しています。専門医に確認ができれば、専門医でなくても対処できることは多く、その部分の埋め合わせをしています。

スクショ(事業紹介3)

スクショ(事業紹介4)

山田さん:具体的には、相談したい医師がE-コンサル®で質問を投げかけると、症例に合わせてマッチングされた複数の専門医の元に相談が来ていることが届きます。それを見た対応可能な専門医が相談にのるという仕組みになっています。相談はセキュリティの高い1対1のルームで行われ、双方向のやり取りができます。質問後1時間以内にはほぼ回答がされており、そのスピード感が高く評価されています。また、病院側には、より少ないコストで専門医を確保しながら、多様な疾患の患者さんを診ることができるというメリットがあります。実際に専門医の元に行かなくても診断が受けられるので、コロナ対策としても優れています。E-コンサル®を利用する自治体や医療機関がシステム使用料を払う仕組みになっており、収益の一部は専門医への謝礼としても使われています。

【核心】地方×難病から生まれた原体験

―― 起業した背景をお伺いしたいのですが、その前に医師になられた理由を教えてください。

山田さん:一つめの理由は自分自身が何度も入退院を繰り返していたという原体験。そして大切な家族が病気で亡くなったという経験から、直接病気にアプローチできる医師になりたいと思いました。二つめは学問として医学に興味があったからです。人の身体はまだまだ分からないことも多く、神秘的です。病気になって不思議に思うことも多く、わからないながらも医師にたくさん質問をしていました。

―― 医師になられた後、なぜ起業の道に進まれたのですか?

山田さん:難病専門医になったのち、地元の力になりたいと思い、和歌山に帰ったのですが、一人ではできることが限られていることに気づきました。それに専門医不足は和歌山だけの問題ではありません。他の地域も含めて、医師の偏在問題を解決するには、仕組みを変えるしかないと思ったのです。より多くの人の役に立ちたいと思い、起業を決意しました。根本にあるのはいかに社会にインパクトを残せるかというモチベーションです。一方で、医師として患者さんに対応することは今でも私にとっては癒しであり、大切な時間です。

―― 医師である山田さんが起業されるというのは大変なことだったと思います。

山田さん:最初は右も左もわからず大変でした。ですが、まずはやってみないと気が済まない性格なので、やると決めたら、やらなければならないことを逆算して全力を尽くすということだけを考えました。仮に10年後やろうと決めても、10年経てば状況も変わり、本当にできるかどうかわかりません。背水の陣の思いで挑みました。

【革新】医学の進歩にもつながる地方と都市との連携

――山田さんがアップデートしたい課題は何ですか?

山田さん:医師の偏在問題によって、患者が受けられる医療が住んでいる地域によって違っているという事実があります。そこをなんとかしたい。解決したいと思っている住民や自治体や医療関係者と共に、E-コンサル®を使うことによって、どこに住んでいても同じ医療が受けられる世界観を実現させていきたいです。

―― 地方在住者にはメリットが多そうですが、専門医にとってのメリットは何でしょうか?

山田さん:まず一つめは社会的貢献性です。自分の持っている専門性を少しでも多くの患者に還元したいという思いはどの医師にもあります。次に、学問的観点から、専門医が自分で診られる患者には限りがあり、E-コンサル®を使うことでより多くの症例を診ることができます。地方の医師は専門医がどこにいるか知りませんし、専門医も全国から患者を探すことはできません。双方が繋がることで医学が進む流れができるのです。専門医も忙しいのですが、隙間時間は結構あるものです。相談はマストで答えなくてはならないものではなく、できる人が答える仕組みになっています。専門医の方々が協力してくださることがサービスの肝です。専門医にはE-コンサルから謝礼も発生しており、金銭的な報酬のメリットもあります。

【確信】どんな病気であっても、好きな場所で暮らせる社会

―― 山田さんの欲しい未来について教えてください。

スクショ(確信)

山田さん:どこにいてもより良い医療をすべての人が受けられるような世界観を実現していきたいです。いくらテレワークが進んでも、基礎疾患のある人は島では暮らせないといったことが現在はあると思います。どんな病気になっても専門医の医療を届けられるようなサポートをすることで、どこにいても安心して暮らせる社会をつくりたいです。私自身、難病をもっていることで辛い思いをたくさんしてきました。同じ思いをする人をこれ以上出したくないのです。

同じ世界観を共有できる仲間と、ともに前へ

―― 最後に、山田さんがこれから出会いたい人について教えてください。

私たちの世界観に共感してくださる方がいたら、業務委託や社員問わず、ぜひ仲間として加わっていただきたいです。これからはどれだけ人を巻き込んでいけるかが事業の成功を左右すると思っています。この動画を見てくれた人と一緒に欲しい未来の実現を目指すことができたら嬉しいですね。

当日の写真 (7)

―― 山田さん、ありがとうございました!

番組ではその他にも、より詳しい起業のエピソードなどを聞くことができます。youtubeアーカイブより視聴可能ですので、併せてぜひご覧ください!

次回はDIVE(地域発)コースのスタートアップ、株式会社クレオテクノロジー 代表取締役社長 三宅 泰正(みやけ やすまさ)さんにご出演いただいた#38の記事です!

■山田さん、株式会社Mediiさんに話を聞いてみたい、また、興味のあるみなさんは、コミュニティマネージャー・スタッフにご連絡いただくか、下記メールアドレスへお問い合わせください。コミュニティマネージャー・スタッフより繋がせていただきます◎

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