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クレディ・スイスに対するスイス中央銀行の緊急融資は“身辺整理”の時間を与えたに過ぎない/サウジとロシア急接近

クレディ・スイスに対するスイス中央銀行の緊急融資が、依然として銀行業界を疑心暗鬼に駆り立てていると、
3月16日付のサウジアラビアの英字新聞「サウジガゼット」が報じています。

https://saudigazette.com.sa/article/630766

大き過ぎて潰せない、大き過ぎて救えない、こうしたジレンマを抱えながら経営難に陥ったクレディ・スイスは、昨日、
財政を補強するために、スイス中央銀行から最大500億スイスフランを借り入れると発表しました。

スイス中央銀行が、クレディスイスに対して日本円にして約7兆円規模の「流動性供給」を実施する可能性があると表明したことで投資家心理が改善し、アメリカの株価は軒並み上昇しています。

しかし、問題はこれで解決したわけではありません。突然の金融パニックは、一時的には防げたかもしれませんが、
これは問題の先送りに過ぎず、スイス中央銀行は、クレディ・スイスに対して「身辺整理」の時間を与えたに過ぎないと
サウジアラビアの英字新聞が報じました、

サウジアラビアといえば、元クレディスイスの筆頭株主だった、サウジアラビア国立銀行の総裁が、追加融資について聞かれた際に「そんなお金は全くありません」と、ピシャリと拒んだ映像が印象的でした。

今回は西側のメディアの情報だけではなく、サウジアラビアが今回のクレディ・スイス経営危機についてどのように報じているのかをご紹介したいと思います。

*注釈)株式や債券などの金融商品の現金化のしやすさ、取引のしやすさのこと。
証券取引所に上場され、日々活発に取引される大型株は流動性が高いと言われています。貨幣そのものを流動性と呼ぶ場合もあり、中央銀行が金融機関に潤沢に資金を提供することを「流動性を供給する」と言います。
(出典:大和証券)

クレディ・スイスの株価は、財務報告に「弱点」が見つかったと発表した後、水曜日に24%以上も下落しました。
金融危機が拡大するとの懸念から、株式市場は急落し、アジア株も下落しました。
しかし、ヨーロッパの市場は、木曜日に高く始まると予想されています。
英国BBCによると、イングランド銀行が、クレディ・スイスおよびスイス当局と連絡を取り、状況を監視していることを明らかにしています。

また、スイスの中央銀行であるスイス国立銀行は、クレディ・スイスが必要な資金を保有していると主張しましたが、必要であればさらに支援に乗り出す用意があると強調しました。

米国では先週、同国16位の金融機関であるシリコンバレー銀行が破綻し、その2日後にはニューヨークのシグネチャー銀行が破綻するなど、銀行セクターの問題が表面化しました。
パニックが拡大し、銀行預金の流出を防ぐため、米国の中央銀行は素早い介入を余儀なくされました。

イングランド銀行の元副総裁、ジョン・ジーブ卿は、BBCの取材に対し、中央銀行はこのような問題は地元で収まるという「メッセージ」を送っていると語っています。
同氏は、クレディ・スイスの場合、危機の拡大を食い止めるにはこれで十分であろうと付け加えました。
つまりこれは、スイスの中央銀行が、「一夜にして、無秩序な経営破綻はさせないと言ったのです」と彼はBBCの番組「トゥデイ」で語ったということです。

「クレディ・スイスの未来がどうなるかはわかりませんが、今のところ、彼らはまだ立っています。スイスの中央銀行は、将来のために身辺整理をするのに十分な時間、彼らが立っていられるようにしていると考えます」
と、イングランド銀行の元副総裁は語りました。

日本の日経平均株価は昼過ぎに1.1%下落し、香港とシドニーの市場は1.5%以上下落した。上海総合は0.5%下落しました。
1856年に設立されたクレディ・スイスは、近年、マネーロンダリング容疑、スパイ疑惑、著名人の退社など、一連のスキャンダルに直面していました。
2021年に赤字に転落、2022年に再び赤字となり、来年まで黒字になる見込みはないと警告されてきました。

同行は火曜日に財務報告における「重要な弱点」を開示したことで、投資家たちの懸念を新たにしています。

クレディ・スイスの元銀行アナリストであるDaniel Davies氏は、同行の「大富豪や億万長者の顧客層は、その許容範囲の限界に達したようで、ここ6ヶ月間、増加傾向にあるように見える資金引き出しを行っている」と述べています。

さらに、イングランド銀行は、クレディ・スイスをまだ信用しているかどうか、スイス中央銀行に問い合わせただろうと付け加えました。

「このような危機の性質上、実際に大規模な預金流出が発生すると、津波のようなもので、人間ができることは何もありませんから、それを止めることはできません。
唯一できることは、預金不足になる前に止めることで、それができるのは中央銀行だけです」。

クレディ・スイスの筆頭株主であるサウジアラビア国立銀行が、規制上の理由からスイスの銀行の株式を買い増さないことを表明したことで、こうした動きはさらに強まりました。

水曜日には、他の銀行がクレディ・スイスから資金を引き揚げようと殺到し、スペインとフランスの首相が不安を和らげようと相次いで発言したため、金融機関の株価が急落しました。

シリコンバレー銀行の破綻は、金利の上昇によって銀行が保有する債券の価値が低下することへの懸念も駆り立てています。

FRB(米国連邦準備制度理事会)や、イングランド銀行など、世界中の中央銀行は、物価上昇率(インフレ率)を抑制するために金利を大幅に引き上げています。

銀行は債券を大量に保有する傾向にあり、その結果、多額の潜在的損失を抱えている状況です。

ということで、前々回のNYサバイバルの動画では、3月10日(金)のシリコンバレー銀行破綻や、シグネチャー銀行などの
相次ぐ経営破綻の背景には、個人レベルが貯金をおろしに走った、というよりは、国単位の巨額マネーが引き出された可能性
についてお話ししました。

そこで浮上したのが、イランとサウジアラビアの国交正常化協定で、その仲介役を果たしたのが中国であり、これは西側経済圏に
対抗する新たなBRICs経済圏を構築するために、サウジアラビアが資金を移管させたのではないか、というマクロな動きがある
のでは、ともお話ししましが、ここへきてそれが、どうやら現実味を帯びてきています。

同じく、サウジアラビアの新聞「サウジ・ガゼット」が次のように報じています。

サウジアラビアとロシア、2023年末までのOPEC+減産へのコミットメントを再確認

https://saudigazette.com.sa/article/630784

サウジアラビアとロシアは、3月16日木曜日に、首都リヤドで行われたハイレベル会合で、2023年末までの原油減産という
OPEC+の決定に対するコミットメントを再確認し合いました。

貿易、経済、科学、技術協力に関するサウジ・ロシア合同政府間委員会の、サウジ側の責任者でもあるサウジのアブドゥル・アジーズ・ビン・サルマンエネルギー大臣は、現在王国を訪問中の、ロシア連邦副首相兼合同委員会のロシア側の責任者であるアレクサンドル・ノヴァク氏とリヤドで会談しました。

両者は、合同委員会の次回会合の準備と、委員会の業務範囲内で両国の利益のために、サウジとロシアの関係を発展・強化させる方法について協議しました。

また、世界の石油市場及び市場のバランスと安定を促進するためのOPEC+の取組みについて議論しました。
両氏は、2023年末まで「200万b/d」の減産を行うという、昨年10月のOPEC+の決定に対する両国のコミットメントを強調し、世界の石油市場の安定を確保するために、OPEC+の枠組みの中でサウジとロシアの協力を継続すると確認し合った
ということです。

ということで、西側経済ブロックと、東側、ブリックスす経済ブロック、両陣営との対立は、武力だけではなく、経済において
今後大きく対立することになりそうです。

NYサバイバルの予想ですが、両陣営が、それぞれのCBDC(中央銀行デジタル通貨)の発行を、2024年に向けて確立し、
両者を対立させ、やがて世界統一通貨への導入となるというシナリオが進行しているように思えてなりません。

果たして、軍配はどちらの側に上がるでしょうか?

そして、私たち一般庶民は、この嵐の中でどうサバイバルしていけば良いのでしょうか?

これからも、様々な情報を分析して、皆様にお届けしたいと考えています。

*)訂正とお詫び
前回のロバート・キヨサキ氏が「次に破綻するのはクレディ・スイス」だろうと予測している
ということをご紹介した動画の中で、73億フランを(約80億円と)間違えてしましました。

「億を超えるお金の換算」に不慣れなため、ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。
ちなみに、チャットGPTに聞いてみたところ、チャットGPTですらも、何度か換算式を間違えたのち、
このような結果を導き出しました。

2023年3月16日現在、73億フランはおよそ8,047億円に相当します。フランと円の為替レートは常に変動しているため、正確な金額を知りたい場合は最新の為替レートを確認する必要があります。

今回の一連の銀行破綻や経営難については、すでに多くの金融アナリストや専門家が解説していますので、もっとミクロな詳細
を知りたい方は、金融専門の投資家チャンネル等でご確認いただければ幸いです。

NYサバイバルでは、投資や金融専門ではなく、世界がパラダイムシフトに向かう中で、一般庶民に過ぎない私たちが、どう
サバイバルすれば良いか、について、参考となりそうな情報を配信しております。

今回の一連の出来事が、いわゆる「ダボス勢力」潰しなのか、それとも「金融リセット」への新たな動きなのか、
はたまた、ロシア・ウクライナ戦争で、ロシア側に多額の資金調達をするために流出したものなのか、そういった疑問の
観点から、今回もお話ししておりますので、何卒ご理解いただければ幸いです。

これからも、気になる情報がありましたら更新していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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