見出し画像

⑥世界4大要人の状態と機能

はじめに

 我々のものの見方や考え方が国の政府に左右されている話はよく聞くが、現代世界はどうも違うようだ。

 自国の政府ではなく、その上にある国際的な会議で決まったことが絶対になっているらしい。だから日本の総理も操り人形と言われたりする。

 ここでは、世界に君臨する4人のキーマンに焦点を当て、過去記事を踏まえた上でその状態と機能を明らかにしていきたい。

 ちなみに4という数字は今回初お披露目となる4つの記号に基づく。

 ギリシャ文字26個の中から最後に“タ”がつく文字4つを選んだ。主観と客観の対立、運動と実践(消極的と積極的あるいは能動的)の対立は皆さんもよく目にするだろう。


1.シュワブの4段階 ζ前編

 「世界経済フォーラム(年次総会名はダボス会議)」創設者のクラウス・シュワブは、1938年生まれの85歳。60年代後半にハーバード大学で学び、アメリカの元国務長官・キッシンジャーから大きな影響を受けたという。そして、1971年(33歳)に非営利組織、世界経済フォーラムを立ち上げた。

 その視野の大きさをモデルで表すとこうなる。主観的自我(見る主体)様相的対象(見られる側)との2要素からなり、左は地球上のシュワブという存在(見る側と見られる側との関係)、右はシュワブなりの漠然とした地球観という幻想(見る側と見られる側とが融合)。

 中でも地球温暖化に着目したことは周知の通り。下記モデルの右は、気温上昇やオゾン層減少という記号的特徴が新たに現れた外見という信号。左はそれを見るシュワブが、主我と様相との間に地球温暖化という記号的特徴をつくる操縦。

 青字の部分は後に「主観回路(ゼータサイクル)」とする予定だが、シュワブの目に映る地球温暖化のことである。他の人には全くそう映らなかったりする。

 次に、下記の左から2番目のモデルは地球温暖化の情報を主我にフィードバックして新たに内容意識を生じる興味段階。3番目は、生じた内容意識に範疇観念(カテゴリー)が関与して、「地球温暖化対策」というテーマがつくられる認知段階。

 ここまでは特に難しくないだろう。彼については賛否両論あるけれども、高尚なテーマを掲げて世界の主役に立つところは素直によくやっていると認めたい。

2.ソロスの再帰性哲学 ζ後編


 シュワブの次に挙げる人物といえば、著名な投資家のジョージ・ソロス(93歳)だろう。彼も世界経済フォーラムの重要な関係者だが、カール・ポパーに学んだ哲学者でもある。

 Wikipediaで「再帰性」のところを引用する。

>ソロスによる「再帰性」の理論は人間社会で起こる出来事を理解するためのパラダイムである。

>この理論では、再帰性の定義として、人間が世界を知識として理解しようする機能を「認知機能」と呼ぶ。

…これは過去記事④の「認知状態と感覚心機能」の話と似ている。

>また、人間が世界に影響を与えようとし、改造しようとする機能を「操作機能」と呼ぶ。認知機能においては、世界の現実的な姿が独立変数、観察者の世界理解が従属変数となる。

…だから下のモデルで表すことができる。左の2つはシュワブの時にも出てきたモデルで、独立変数の地球から従属変数のソロスという存在へ、そして認知段階まで進んでゆく。

>ここで、「世界 world 」の現実的な姿を「W」、観察者の「世界理解 understanding」 を「U」、「認知機能」(認知 cognition の機能 function)を「FC」とすると、"FC(W) → U" と記述できる。

 …関数が出てきたが、過去記事①の文字を使えば、幻想Yと認知t、認知機能に当たる感覚Jで書き換え可能である。「J(Y)=t」となる。

>一方、操作機能においてはこの関係が逆転して、観察者の世界理解が独立変数、世界の現実的な姿が従属変数となる。

…これは認知状態になった後に、受信側が発信側に変わり、世界の方を受信側に回すことに当たる。したがって、過去記事⑤“Aの法則”から下のモデルとなる。

 認知状態も自己心機能も同じ“操縦型のモデル”(ソロスが上述で言うところの操作機能)であることから、このような法則が成り立つ。

>操作機能(操作 manipulation の機能 function)を「FM」とすると、"FM(U) → W" と記述できる。

…自らが発信側に移ると、その後に展開していくモデルはこうなる。

>つまり、U が W を、W を U が規定しあう関係となっており、この双方向的な状況においては確たる結果を生み出すことは不可能となる。

>この双方向的な干渉を、ソロスは「再帰性(reflexivity)」と名付けた。

 …こうして、下のモデルに帰結するように、世界中の人々はダボス会議の“ものの見方”を受け入れるようになる。下図の数字1~10の通り進み、繰り返しメディアで宣伝して、我々の大脳新皮質の中へSDGsが掲げる17の範疇(カテゴリー)を収めようとする。


 ちなみにグレタ・トゥーンベリの場合は、口汚く経済人たちを罵ることで「環境意識を生じさせる」役割としてダボス会議に登場したので、このモデルとなる。
※「How dare you!」=(地球は絶滅の危機に瀕しているのに)よくもそんなことできますね!

 ところでソロスは、上述の通り双方向の再帰性だと“確たる結果を生み出せない”という。双方向にさせないためには、過去記事⑤の“Oの法則”の通りタテ状に“ものの見方を固体化”しなければならない。

 ダボス会議が何か言えば日本政府の方針が決まり、国民は否応なく従わされる…実におかしな話である。

3.対抗軸としてのトランプ η

 民主党のオバマ大統領の次が確実視されていたヒラリー・クリントン候補の“対抗軸”として登場したドナルド・トランプ(77歳)は、政府への不満層の支持を大量に集め、下馬評を覆して大統領に就任した。

 そして、企業家特有の“ディール(取引)”を駆使して外交を繰り広げ、国内的にはツィッターをはじめSNSを得意としたので、客我(客観的自我)を中心としたモデルで表す。

 2期目を目指す選挙ではバイデン側を“DS”ディープ・ステイトと呼んで熾烈な戦いとなったが、ツイッター・アカウントを凍結され敗れ去った。

 ツイッターといえば、日本でも政権批判の呟きで賑わっており、客我状態の市場となっている。主我的な陰謀論もあるにはあるが、冷静な考察による指摘が多くの支持を集めている。更に考察段階から一歩進めた閃きを得意とするのはデーブ・スペクターのダジャレ・ツイートである。

 ただ、赤い文字の箇所「客観回路(イータサイクル)」は主観よりも優れているとはいえ、物理的には行動しないためツイッターでも指摘止まりで終わり、一時的にバズッても時間の経過とともに忘れられ、空しくなるのは欠点ではないだろうか?

4.強引なビル・ゲイツ θ

 OS「ウィンドウズ」で世界一の資産家となったビル・ゲイツ(68歳)。その財団が農薬や遺伝子組み換え作物等で悪名高いモンサント社の筆頭株主であり、TPP(環太平洋パートナーシップ)を進めた。

 TPPでは初期の段階から、これも悪名高い「ISD条項」(企業や投資家が投資先の国家の政策で損害を受けた場合に、相手国政府に対する損害賠償を国際仲介機関に訴えることができる、という取り決め)があった。

 簡単に言うと、米国企業が日本にやって来て、水銀を垂れ流すような操業を始めようとしたら日本は当然規制する。ところが米国企業は、その規制によって生じた損害を国際司法裁判所に訴える。こんなことが実際に起きて、米国企業が勝って損害賠償させられて、その規制も廃止される。こんな莫迦なことが、いまどきできるのかと思われるかもしれないが、本当にできるのがISDSである。

 この関係をモデルで表すと、上述の2で登場した“Oの法則”となるのだが、その前に「産業の本来望ましい在り方」を示した方がわかりやすい。

 各国の気候、風土などの現実に合わせて、どんな作物を育てればいいか、どんな産業が合うか、などを試行錯誤していく3段階。そして、一人前になると「独立状態」になるのだが、ここにTPPが絡むと下図の通りとなる。

 矢印1から4の順で進み、国内産業はISD条項の縛りを受ける。矢印2は2つのモデルが同じことから結ばれており、国内事情を無視してTPPの取り決めが優先される。

 さすがに無茶苦茶でグローバル大企業を優先し過ぎて国の主権がなくなると各国で批判が高まった。ちなみにトランプは大統領の時にTPPからの米国脱退を決めた。

 逆にISD条項を承知で全国の主要都市でタウンミーティングを進めた売国奴が悪名高い竹中平蔵なのだが、大阪開催の前日に東日本大震災が起きて中断した。偶然とはいえ日本の地下で大きな怒りのようなものが爆発した気がしたものである。

5.グレート・リセットは善か悪か ι

 最後に、上図に出てきたθ「運動回路(シータサイクル)」に対して、より積極的なι「実践回路」(イオタサイクル)の話となる。

 ここにふさわしい話題が2021年5月のダボス会議のテーマとして掲げられた、クラウス・シュワブの「グレート・リセット」である。一般に、より良い世界をもたらすために、私たちの社会と経済のあらゆる側面を見直し、刷新することとして知られている。

 Wikipediaには次の3点が載っている。

・「利害関係者の経済」に向けての条件整備
・環境や社会、ガバナンスESG)の指標に基づく、より「弾力的で公平、かつ持続可能」な方法での建設、つまり、より環境に優しい公共インフラを創り上げるプロジェクト

・公共の利益のために「第四次産業革命の先進性」を利用すること

 能動的になったことから、モデルでは主我に戻って次のように表せられる。

 グレート・リセットに対する批判の中には、人口削減を目論んでいるのではないかと勘繰ったり、コロナを広めてワクチンを売りつけた、シュワブ自身が多大な報酬を貰い過ぎている、等と様々な憶測や陰謀が見受けられる。

 私も高尚なテーマなのに「リセット」という、いささか生産性に欠ける言葉を使うことが気になっていた。

 そこで、改めて4つの回路を見直すと気付くことがあった。

 ζ→η→θ→ιの4つは一巡して再びζに戻る。それは「減少→吸収→増加→放出」の4つと同じく自然な流れである。

 グレートリセットをイオタとすると、前段階シータのTPP(グローバル化)の次段階であり、ゼータ(主観、見た目)の刷新につなげようとする。

 しかし、イータの客観的な声を反映しているか? 初期TPPのISD条項のような強引さがないか?

むすび

 身近な事例を見て感じる上では、我々は重税と高物価に苦しんでおり、なのに首相をはじめ政府は無頓着、世界一の議員報酬を貪り、海外へのばら撒きが批判される。

 ダボス会議には世界の賢人たちが集まっているという話だが、昆虫を食べさせて酪農や米作を潰したり、愚人や狂人の仕業としか思えない日々が続いている。

 そこで、独自の視点から学問をモデル化した新説を用意し、今回初めて現代世界を論じてみた。

 その目指すところは真の状態に良い社会システムであり、決してリセットではない。

 現在⑥まで進み、おそらく⑩ぐらいに登場する予定だが、モデルを介さずにまとめたスライドがあるので公開して結びとしたい。

 


 

 

 

 

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?