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「ケーキミックス」が25年間売れなかったワケ

今や当たり前の顔をしてスーパーに陳列されている
「ケーキミックス」さんの25年間の下積み時代を紹介します。

実は遅咲きなケーキミックスさん

様々な材料を用意して、
細心の注意を払い分量に気をつけながらそれを混ぜ
時間と温度を間違えないようオーブンで焼いて…

ケーキを作るためのとんでもない労力を
一撃で解消してくれるヤバい粉「ケーキミックス」。

その天才的な商品は発売と同時に大ヒットした。

…なんてことはなく、発売から25年間は鳴かず飛ばずでした。

調理の手間も省けて、0から作ったケーキと比較して味も問題ない、
なのに世間から認められなかったのは何故なのでしょうか?

あまりにも便利すぎた白い粉

1929年にアメリカでケーキミックスが発売されました。
その後人気商品になるまで25年間かかっています。

ケーキミックスを使用したケーキ作りが流行らなかった理由は
「簡単すぎて人に振る舞うのはちょっと気まずい」
というものです。

ケーキは自分のために焼く人はあまりおらず、
他人に振る舞うための特別な料理です。

いくらケーキミックスが美味しいとしても、
便利な白い粉だけで簡単につくったケーキを他人に振る舞うのは、
相手を歓迎している感覚が薄れてしまうと思われていたのです。

「ワイが作ったんや感」を無視したらあかん

ケーキミックスは便利な発明品であることは明らかです。
この革新的な白いイノベーションが受け入れられなかったのは、
変革の対象となる人々の「感情」を考慮していなかったためです。

大手食品会社ゼネラル・ミルズの自社ブランド「ベティクロッカー」の例を紹介します。

ベティクロッカーのケーキミックスにはケーキ作りに必要な材料がすべて含まれていた。
ケーキをオーブンに入る前にやらなければいけない作業は水を加えるだけだった。
もっと根深い問題というのは、ケーキミックスを使うとケーキを焼いている感じがしないことだったのである。

『「変化を嫌う人」を動かす 魅力的な提案が受け入れられない4つの理由』p164

最終的にゼネラル・ミルズは粉末卵をケーキミックスから取り除きました。

その結果、消費者は卵を入れる一手間が増えたことにより、
「ワイが作ったんや」感が生まれ、一躍人気商品になったのだそうです。

※関西弁であることに特に意味はありません。すみません。

参考

余談

「私がやった感」は「自己効力感」に近いなという印象です。

自分の力で達成している感覚を白い粉ごときに奪われるのは確かに抵抗がありますね。

床の掃除大好きな人にルンバをプレゼントするのは
慎重に考えたほうがいいかもです。

お疲れさまでした。


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