見出し画像

【演奏曲紹介】陽はまた昇る / フィリップ・スパーク

 2011年3月11日の14時36分に発生した東北地方太平洋沖地震、通称「東日本大震災」。

 マグニチュード9.0の地震で最大震度は7を記録。さらには東北の太平洋沿岸に押し寄せた大津波によって、東日本の各地で過去最大規模の被害を及ぼしました。


 震災発生後間もなく、音楽指導者の西田裕氏は世界中の作曲家へ復興支援のため作曲を呼びかけました。これに応じたのがイギリスの作曲家、フィリップ・スパークでした。

 東日本大震災の甚大な被害を知ったスパークは、かつて自身がブラスバンドのために作曲した、ノルウェーでの教会演奏の課題曲「カンティレーナ(Cantilena)」を吹奏楽用に改編しました。

 そうして出来上がったこの作品。スパークは、「日出づる国、日本」に敬意を表し「The Sun Will Rise Again(陽はまた昇る)」と新たな題名を付けました。


 ゆっくりした曲調の中で流れる、優しく美しくも力強さを感じるメロディーは、"夜明け"や"復興"の様子を感じさせます。また曲後半では、陽が昇る様子を体現するかのような中低音の美しいメロディも印象的です。

 明けない夜はない、というスパークの復興への願いが随所に感じられる作品になっています。


 数年前、現代社会で過去に類を見ないほどのパンデミックが発生し、私たちは人とのつながりや社会での活動に厳しい制限を強いられてきました。私たちNEW-Sの運営メンバーもまた、学生生活や吹奏楽などの活動を満足に出来ない苦難の時期を経験してきました。


 しかし私たち人間は、大災害や苦難に見舞われ突然日々の生活を奪われてしまっても、そのたびに人々は、再び見る明日の太陽を信じて立ち上がって来ました。そして私たちも同じように、かつて人生を彩り豊かにしてくれたあの時間が再び返ってくることを信じて、今日まで暮らしてきました。


 4年前、もう二度と戻らないかと思った"あたりまえ"の日々は、この1,2年でだんだんと私たちのもとに帰ってきました。

 苦難を経験した私たちは、吹奏楽が出来ることへの感謝、全ての方の幸福と夜明けへの祈りを込め、この曲を演奏します。

 「陽はまた昇る」を通じて、「吹奏楽を通じて社会にアクセスする」というNEW-S Wind Ensembleの役目を果たすことが出来れば幸いです。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪


NEW-S Wind Ensemble

2025年1月11日(土)夜公演
西宮市民会館アミティ・ベイコムホールにて開催!

X(Twitter)アカウント(@newswind2025)Instagramアカウント(@newswind2025)
E-mail : newswindensemble@gmail.com


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?