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コンビニと犬とマイナンバー

今朝は少しスッキリした気持ちがした。
私の中で少しずつ、夫がいなくなったことが理解できているのかな、と思った。

今日は、この間切ったばかりの短い髪をどうしても切りたかったから、昨日予約した初めての美容室へ午後イチに行く予定がある。
あとは 社会保険事務所へ不足の書類を再提出すること。

あれこれ考えながらぼーっと化粧をしていたら、保険会社の人が来て、
書類一式をくれた。
死亡届に、私の証明になるものを添付して返送するそうだ。

コピー機はとうに捨てたので、コンビニまで行かなくてはならない。
社会保険事務所に出す戸籍謄本も必要だから、コンビニに行かなくてはいけない。

昨日一回で済むと思ったのに、息子が事前に揃えてくれていたファイルには、戸籍謄本がないことが、社会保険事務所の窓口で判明する。
担当の女性は頭の良い方で、とてもわかりやすく説明してくれた。
このあたりは、いつか書くかも。

とにかくコンビニに書類を取りに行かなければならない。
化粧も途中なのに、生命保険会社の人が来るしで、自分のペースが以前のようにならなくて、物事が全く進んでいない。

これは美容室は無理だなとあきらめ、キャンセルの電話をする。
まだ会ったこともない美容師さんに、先週夫が亡くなったことを告げ、追って伺います、と伝えた。

一体、何をどうしたらこんなに物事が進まないのか、びっくりする。
今朝すっきりしたと感じた気持ちは、全くの勘違いだった。

全くすっきりなんてしていない。
私は夫の死を受け入れらなくて、現実から逃げようとしているだけなのかもしれないなぁと思う。

だって、この動作の遅さ、時間の経つ速さ、半端じゃない。

結局、犬を連れてコンビニに行く。
戸籍謄本と免許証のコピーをしに。

昨日の話では、年金は65歳までで、それ以降はさらに減額されるそうだ。
スズメの涙の年金が、さらに少なくなってしまうんだと。
これはもう、やばい。マジでやばい。

車は必須の「足」だけれども、コンビニくらい歩いて行こう。
人生で初めて思ったこと。

犬をコンビニの前につないで待たせ、マイナンバーで書類を出す。
マイナンバーを使い、役所が出してくれれば、こんな手間は要らないのになと思う。

戸籍謄本は 現実を直視させる。
夫 死亡、「除」という文字。
息子二人にも「除」という文字。
結婚してそれぞれの戸籍ができた、だから「除」。
夫は死んだ、だから「除」。

この戸籍は4人が存在していたのに、私1人になってしまった
「除」だらけの、戸籍。
ズシーンと来た。
そうかぁ、私は一人なんだ、孤独なんだ、家には私一人しかいないんだ。

犬は戸籍に入れないもんな、戸籍ないもんなぁ。
息子のように可愛がっても、犬は人間にはなれないんだなぁ。
コンビニからの帰り、ズドーーンと落ち込む私。

死んだ後には、厳しい現実が待っている。
悲しみを感じる暇もなく、現実をどんどん押し付けてくる。
精神壊れないのは不思議だな、壊れている暇もないくらいやることだらけなんだけど。

余命を宣告されていた夫は、いつかは死ぬ、とわかってはいたけれど、
死と向き合って生きてきたつもりだったけれど、それは全くの勘違いだった。
死と向き合うことが私にはできていなかった。

夫がいなくても朝は来るし、お腹は空く。
街は普通に機能しているし、世の中は勝手に動いている。
人ひとりがいなくなっても 何の問題もない。

だったら、何のために生きているんだろう。
もし、今、私が死んでもおんなじ日常が過ぎていく。
どうして人は生きる?なんで頑張る??何のために???
                   (8days later)

夫の死から8日目の私へ
□何もできなくて当たり前。
□行政の手続きがやたら多い。マイナンバーはあった方が楽だね。
□急ぎでない予約は入れない方がいい。
□コンビニまで歩く節約はすぐやめてしまうよ。
□年金の減額は65才ではなく、60才。
□答えの出ないことは考えない、それ大事。

新堂きりこ

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