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10年超の自宅介護を経験して

夫が進行性難病の「多系統萎縮症」と診断されてから後
しばらくして自宅介護を始めます。


何度も施設に預ける話になるのですが
頑なにYESと言わなかった私は
最終的に10年以上自宅介護をすることになります。


ショート先で亡くなり、最期は自宅でなかったけれど
力の限り全力で介護に向かったと自信を持っていえます。
なんの自信かと言われたら
自分に対する自分への自信」です。


よその人とか、世間とか全く関係ない
私が介護をしたかったから、介護をした
ただそれだけです。


元々、世間体とか全く気にしない私なので
人にどう言われようと、何を思われても
全く気にしないことにしています。


所詮、人は人。
私のことは私以外、興味がないのです。
逆も然り。
それが当たり前なのです。


それに気づくようになって
世間体をますます気にしなくなるのですが
介護をするようになって、世間の目がよーくわかる様になります。


当時名古屋にいた、長男ゲンに会いに行ったついでに
劇団四季のミュージカルを観に行った時
知らない名古屋の街で、障がい者を連れて一人困っていたら
とても親切な女性が助けてくれました。


他にも、コストコへ行き
普通車になんとか夫を乗せようと一人で頑張っていたら
きれいな女性が一緒に乗せてくれました。
その方は小さい赤ちゃんを連れていましたが
「理学療法士なんです」と言って、即、声をかけてくれたのです。


名前をお聞きすればよかったなぁと、各場面で思うのですが
その時は大変なので、すぐには思いつかないのです。


そんな風に、いろんな場所で
助けてもらうことがたくさんありました。


身体が硬直してしている夫を異様な目で見る人もいれば
何も言わずに手を差し伸べてくれる人もいました。


障がい者と暮らして、初めて世間の目を知りました。
ショックだったけれど、いいこともたくさんありました。
タクシーに乗車拒否されたこともありました。
そのうち、どの場面でも平気になってくるのですが。


介護は大変です。
一人ではまず無理。
プロが介入してくれても、やはり孤独です。
所詮ビジネスなので、そこは割り切って
早くに線引きをしたほうがいい。


巻き込む人がいないと、介護はできません。
一人で背負ってしまうと、共倒れすることになります。


誰を介護するかにもよると思いますが
もし今、私の母を介護することになったら、
申し訳ないけれど、もう自宅介護はできません。
これ以上の負担を、自分にはかけれられない。
迷わず、施設に預けることになるでしょう。


自宅介護は無理をしないことが重要です。
真面目な人ほど、無理をするので、
テキトーくらいでちょうどいいです。
それでも頑張ってしまうからです。


施設にしても、自宅介護にしても
相性の合う方(施設)に出会えると、ラッキーですね。


病人には手厚いサポートがあるのに
介護者は孤独だと感じました。
このままだと精神を病むと感じたりすることも多々。


公的機関に介護者のフォーローアップ先はないか
探しましたが、なし。
家族に代わってもらう、ショートステイに預ける
の二択しかありません。


行政が新しいアイデアを募集している機会に
介護者のフォーローアップを構築する案を提出しましたが
音沙汰なしでした。


離職したり、介護うつになる方が日本でどれだけいるでしょうか。
データに出るのはごく一部でしょう。
介護する家族はますます増えていくと思います。


私が欲しかったのは、心から相談できる人でした。
介護未経験のその道のプロではなく
実際に体験をした方に話を聴いてほしいと感じていました。
聞いてもらえるだけで救われたことはたくさんあったと思うのです。


昔から、経験したことのない人の話は心に響かないので
こちら側も心を開けないのです。
全くもって難しい人間です 笑。


結局、一人でやり切ることになるのですが、
同じ経験をした方が寄り添ってくれたら
どれだけ気持ちがラクになっただろうかとも思います。


これからは、そんな仕事もしていきます。
経験に何ひとつ無駄はありません。
やりたいと感じることをやりましょう。

新堂きりこ

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