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「誰にも言わなかったけど、わたしも」ユーザーの声が集まる Yahoo!ニュースが届ける「#性のギモン」

Yahoo!ニュースでは、2022年7月から「#性のギモン」というハッシュタグのもと、さまざまな視点から「性」について考えるコンテンツを届けてきました。性教育を軸に、人間関係、ジェンダー、月経や更年期障害といった体の悩みなど、子どもから大人まで関わる性のことについて、幅広く考えています。記事には「誰にも言わなかったけど同じ悩みを持っていた」「医療機関に相談するきっかけになった」など、ユーザーのコメントがたくさん寄せられました。どのような視点で課題を捉え、コンテンツを制作しているのか。制作チームのサービスマネージャー・中村塁、「#性のギモン」プロジェクト責任者 兼Yahoo!ニュース特集 編集者の塚原沙耶、Yahoo!ニュース Voice編集者の近江由圭に聞きます。

取材・文:Yahoo!ニュース

「#性のギモン」 始まりは3本の記事

Yahoo!ニュースにはオリジナルコンテンツをつくる編集部が複数あり、それぞれ動画、グラフィック、テキストなどで伝えています。かねてから垣根を越えて連携し、特定の社会課題を発信する取り組みを続けてきました。4月から、より明確な方針を立て「ホットイシュー」というプロジェクトが動いています。

「#性のギモン」も「ホットイシュー」のひとつです。きっかけは、2021年12月に掲出した「#性教育の現場から」というハッシュタグをつけた3本の記事でした。

「きちんと教えてこなかった大人の責任」――性を教え続けた公立中教諭の抱く危機感
「性教育はエロいものだと思ってた」──高校生が自分たちで考える「人生の役に立つ授業」
「いつもの先生」が教えることに意味がある──性教育を担える教員をどう育成するか

「ユーザーから建設的で前向きなコメントをいただき、多くの方が自分ごととして課題を捉えていることが伝わってきました。そこで、もっと多様な情報を発信できないかと、Yahoo!ニュースのメンバーが新しい取り組みを立ち上げました」(中村)

考えるきっかけと学びになるコンテンツを目指して

3本の記事を通して、性教育にユーザーの関心が集まっていることが分かりました。昨今、性教育関連書籍が多数刊行されており、また、世界に目を向けると、ユネスコが発表した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に基づいた「包括的セクシュアリティ教育」がさまざまな国で行われています。そこでまず、制作チームの理解を深めるため、学校での性教育に長年携わってきた「『人間と性』教育研究協議会」の代表幹事・水野哲夫さんに依頼し、社内で勉強会を開きました。

「包括的セクシュアリティ教育」は、人権と多様性の上に立って、人間関係、ジェンダーの理解、体の仕組み、安全確保などを、幼少期から年齢に応じて広く学ぶもの。性に関する知識だけではなく、どう行動するか、どう生きるかについても考えます。

「包括的セクシュアリティ教育が扱うさまざまな内容を取り上げ、若年層から親世代まで幅広いユーザーに読んでもらいたいと考えました。目指すのは、ユーザーが性のことや教育の役割を考えるきっかけとなり、かつ読むこと自体が学びになるコンテンツ。間口を広げるため、『#性教育』ではなく、『#性のギモン』というハッシュタグに決めました」(塚原)

ユーザーの声、現場ルポ、専門家との対談など 内容と形式は幅広く

「#性のギモン」は、まずユーザーに「これまでの性教育はどうだったか」「どのように性を学んできたか」を聞くことから始まったそうです。Yahoo!ニュースのトピックスでコメントを募り、ユーザーの声を記事化しました。

Yahoo!ニュース ビジュアルで知る グラフィックなどでニュースを分かりやすく伝えるシリーズ

「これまでに受けてきた性教育や性にまつわる体験は、人それぞれ異なります。ユーザーが今どう感じているのか、まずは意見を吸い上げて共有しようと思いました。その上で、関心が集まっている包括的セクシュアリティ教育はどういうことを扱っているのか、ビジュアルを用いて解説しました」(塚原)

そして、「#性のギモン」では、学校や幼稚園など、教育の現場を取材しています。

高校の取材では、包括的セクシュアリティ教育を実際に取り入れている学校を訪れました。

Yahoo!ニュース 特集 テキストと写真でテーマを深く掘り下げるルポとインタビューを中心に行っている

「教員はどのように考えてカリキュラムを組んでいるのか、授業を受けた生徒がどう感じ、どのように変化したのか、取材しています。『人権も性も、生きていく上で必ず関わること』と生徒が語り合う様子が印象的でした」(塚原)

また、家庭ではどのような性教育を行うべきか、「おうち性教育」についてお笑い芸人の山田ルイ53世さんが産婦人科医の遠見才希子先生に聞く対談記事を制作しました。

「山田ルイ53世さんが娘を育てるなかで抱いている日常的な疑問や悩みを、遠見先生に相談しました。『お風呂は何歳まで一緒に入っていいの?』といった、率直な質問を投げかけていただいたことで、子どもがいるユーザーが身近な問題として性教育を捉えられたのではないかと思います」(塚原)

ユーザーからのコメントを活用して誕生した企画

大人が直面する性の問題として、俳優の清水宏次朗さんに男性更年期について語ってもらいました。男性更年期を取り上げたのはタレントの磯野貴理子さんが女性更年期の実体験を語った記事に寄せられたコメントが始まりだったそうです。

Yahoo!ニュース Voice 専門家による解説や著名人のインタビューを、テキストと動画で伝えている

「磯野貴理子さんの『わからないまま不安でいるより、更年期障害なんだとわかった方が安心』という言葉を発信したら、記事のコメント欄でユーザーからたくさんの声をいただいたんです。コメントは女性がメインでしたが、男性から『実は男性更年期というものもあって……』との声がチラホラ挙がりました。そこで、ユーザーの声を活用しようと、男性の清水宏次朗さんに経験談を語ってもらいました」(近江)

男性更年期は、女性更年期と比べるとあまり知られていないテーマで、記事を掲出するまでは多くのユーザーに読んでもらえるのか不安もあったといいます。実際には、たくさんの共感が届きました。

「Yahoo!ニュース Voiceが目指すのは、多くの人が『自分は知らなかったんだ』と気づく体験ができ、大人の学び直しができる世界です。コメントと記事がセットになっている、読み応えがある記事になったと思っています」(近江)

情報を集約したサイト「みんなの性教育」の立ち上げ

制作した記事が、教育現場に届いた事例がありました。

「SNS上の性犯罪防止のため『親が子どもにどうネットリテラシーを教えたらよいか』をITジャーナリストの鈴木朋子さんに解説いただきました。そのなかで、SNSを安全に使う約束として『こしあん』という標語を紹介したんです。すると、岡山の学校から鈴木さんに、学校の授業に標語を使わせてほしいという連絡があったそうです。各分野の専門家がそろい、ニュースを幅広い層に届けることができるYahoo!ニュースならではの動きだと思います」(近江)

11月18日には、性に関するコンテンツをまとめたページ「みんなの性教育」が立ち上がりました。相談窓口も掲載して、ユーザーに役立つ情報をまとめたサイトにしています。

「『#性のギモン』で制作したコンテンツのほか、Yahoo!きっずの性教育を学べるサイト『ココカラ学園』やさまざまなメディアの記事、相談窓口などを集約しました。『みんなの性教育』にまとめる情報が、悩みを抱えている人たちに役立ち、性のことやこれからの教育について考えるヒントになるように、制作を続けたいと思います」(塚原)


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