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週刊ニュースdeディベート(β) 第9号 コロナ禍での外国人入国制限をどうすべきか?でディベート!

// 週刊ニュースdeディベート(ベータ版)
// 2021年3月20日 β版第9号
// ニュースつまみ食い
// 今週のお題 コロナ禍での外国人入国制限をどうすべきか?でディベート!

こんにちは。ディベート賛否さんです。今週も様々なニュースがありましたね。

●米は利上げ、一方で円安が続く
黒田総裁の円安方針の発表で更に円売りが加速しています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1947V0Z10C22A3000000/

2016年2月以来6年1カ月ぶりの円安水準となりました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZASM7IAA05_Z10C22A3000000/

米国の金融引き締めに着いていかなくてよいのか、日本が安く買い叩かれる国にならないか、見守る他ありません。

​​●地震により電力ひっ迫に追い打ち
ほとんどの原発が稼働していない中、地震による発電所への影響で電力使用率98%に肉薄しました。昨年1月も冬型の気圧配置による電力需要の増加により東北や北陸の一部地域で停電が起きていましたが、春に差し掛かった今、あらためてエネルギー受給の課題が浮き彫りとなりました。福島あたりを震源とする地震が多いだけに福島第一原発の再稼働はリスクを伴いますが、原発については今後も活発なディベートが求められそうです。

それでは、今週もよろしくお願いいたします。

1.今週のディベータブルなお題:コロナ禍での外国人入国制限をどうすべきか?
新型コロナウイルス感染者数が順調に減少している日本ですが、依然1日当たりの総数はデルタ株流行期の2021年夏の水準を上回っています。オミクロン株の重症化率の低さを踏まえて、日本でも2022年3月22日から蔓延防止等重点措置が解除されるなど規制緩和が進んでいます。海外に目を向けると、国内の規制緩和だけでなく、観光目的も含めた入国緩和措置を進めている国が出てきました。今回は各国の動きを見ながら、日本の入国規制について考えていきましょう。

~2022年3月時点での日本のコロナ感染者数・入国規制の状況~
2022年3月19日の日本の新型コロナウイルス感染者数は44,711人でオミクロン株のピークから順調に数値が下がっています。また、蔓延防止等重点措置は2022年3月21日をもって解除となり、約2か月ぶりに規制が緩和される状態となります。一方、入国規制については入国待ちの留学生等の救済措置として3月から段階的に、1日当たりの新規入国者数が5,000人→7,000人→1万人へと引き上げが行われているにとどまり、依然厳しい入国規制が続いています。一般の入国者については「特段の事情」がない限り「入国拒否」の状態となっており、外国人については再入国許可の資格がある人、家族が日本にいるなどの理由がない限り入国することができません。世界でもトップクラスに厳しい入国制限が続いており、経団連などから経済への影響を懸念し緩和を求める声が上がっています。


~世界各国の入国規制~
 日本の外に目を向けていくと、世界各国で様々な入国規制緩和策がみられます。規制の厳しさで分類すると、①入国規制撤廃・検査免除②入国規制撤廃・検査要求③指定の国のみ入国規制緩和・隔離減免④原則入国拒否といった分類ができます。

①入国規制撤廃・検査免除
イギリスやドイツなど一部の国で実施されています。これらの国は3回目のワクチン接種率が高く重症化率がコントロールできているとして、ワクチン未接種者に対しても入国の際の検査を求めない、いわゆる”平時の対応”を行い、新型コロナウイルスとの共生を模索し始めました。規制撤廃が早かったイギリスでも実施開始は2022年3月14日であるため、世界的にも先進的な取り組みである一方、感染再拡大による医療ひっ迫のリスクは一定残ると言えるでしょう。これらの国々で上手くいった事例が積み重なれば、世界中が規制撤廃に向けて動き出すと思われます。

②入国規制撤廃・ワクチン/検査要求
現時点では米国・カナダ・タイ・フィリピンなどの国がこちらに含まれます。入国規制は一定撤廃しつつも、入国時のPCR検査により感染者を入国させない措置です。カナダについては2022年4月よりワクチン接種者に対しては検査を免除する方針を発表しており、このカテゴリ内の国々でもさらに規制緩和が進んでいます。2022年1月以降、特に観光業のGDP比率が高い東南アジアの国々で規制緩和の動きが進み、入国規制を次々に撤廃する流れとなっています。マレーシアも4月1日からこちらの措置に移行します。

③指定の国のみ入国規制緩和・隔離減免
シンガポールなどがこちらに含まれます。いわゆる「トラベルバブル」という仕組みを採用する国々で、新型コロナウイルスの流行状況を調査し、低リスクの国からの入国のみを受け入れる方針となっています。この中でも更に、ビジネス目的に限定する国や観光目的の入国も認める国があります。

④原則入国拒否の国
日本・インド・台湾・中国など厳しいコロナ規制が行われている国々が含まれます。特に中国や台湾は、国内における規制により新型コロナウイルス感染者を世界でも稀にみる程の低い水準に抑えている国々で、検疫によって少しでも感染者数を減らそうという狙いが見えてきます。日本も世界的には珍しい厳しい水際対策を行っています。リスクとして考えられるのは経済への影響です。様々な資源や商品を海外からの輸出入に頼っている以上、納期の遅延や売上の減少は避けられず、規制が厳しすぎるとの声もあります。

~どうする?日本の水際対策~
歴史を見ても、半永久的に続いたパンデミックは存在せず、人類は長くても5-10年単位でウイルスや細菌と一定の折り合いをつけてきました。最終的には①入国規制撤廃・検査免除にすべての国が移行するでしょう。論点となるのはそのタイミングです。新型コロナウイルスの変異株の発生状況は依然として予断を許さず安定しないため、最新の科学的な知見に基づいた感染リスクの評価が前提になります。そのうえで、どこまでのリスクを国として許容できるのか、経済への影響とのバランスを考えながら慎重に評価することが求められます。日本ではようやく3回目の接種が進み、5月ごろには全国民の7割以上が接種完了となる見込みです。先行して規制緩和を行っている欧米諸国は3回目接種率が一定以上の水準に到達したことを大きな理由の一つとしていることから、日本では今すぐの決断ではなく、3回目接種が浸透した春~夏ごろに次の規制緩和が検討されるのではないでしょうか。その際、②入国規制撤廃・ワクチン/検査要求、または③指定の国のみ入国規制緩和・隔離減免への移行が検討されることになりますが、その頃の世界的な感染状況を見ながらの判断となりそうです。世界的に流行が収まってきている場合は②、依然オミクロン株および新しい変異株の流行が続いている地域がある場合は③といった形だと考えられます。

~いよいよ、世界は”エンデミック”へ向かうのか~
新型コロナウイルスの流行開始からまる二年がたち、世界は新たな変異株の動きに翻弄され続けてきました。しかし、ワクチン3回目の普及とオミクロン株の特性により一定「エンデミック」=感染症流行の終盤・一定期間の小さめの流行が繰り返される時期 を迎えたと判定する国が出てきました。これまでも様々な予測がなされては裏切られてきた経緯がある新型コロナウイルス、2022年3月時点の「エンデミック」予想は果たして当たるのでしょうか?そして、規制緩和を進めた先にどのような世界があるのでしょうか?答えはだれにもわからない、難しいかじ取りですが考えながら一緒に進んでいきましょう!

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作者 : ディベート賛否さん / 週刊ニュースdeディベート
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