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タイ向けに製造された日本の蒸気機関車

2022年7月28日

 タイ国鉄は定期的に、蒸気機関車が牽引する特別列車を運行する。7月28日の国王誕生日や10月23日のチュラーロンコーン大王記念日といった年4日ほどで、たいていはバンコクを朝8時ぐらいに出てアユッタヤーに行きバンコクに夜7時ぐらいに戻ってくるというスケジュール。乗客は結構多く、日本人もちらほらいる。

 タイに残る蒸気機関車は日本製のみで、タイ国鉄の発表が正確であればC56形2両(713号・715号)、パシフィック形2両(824号・850号)、ミカド形1両(953号)の計5両。バンコク~アユッタヤー間に充てられる車両はパシフィック形2両で二重連の運行となる。

 パシフィック形はタイ国鉄が第二次大戦後の1949~1950年、日本鉄道車両工業協会に発注、821~850号の計30両が製造されたという。現在残る2両は2012年、ボイラーとブレーキを交換したとある。いわれてみれば、数年前にバンコク都内の日系ボイラーメーカーを訪問した際、社長さんが「国鉄から仕事を受けて蒸気機関車のボイラーを交換した」とおっしゃっていた。

 日本の蒸気機関車もそうだと思うが、燃料は薪や石炭ではなく重油なので、もはや真っ黒い煙を吐かない。山口線を走るやまぐち号の煙は真っ黒だっただろうか? パシフィック形は輸入当時は薪、1971年に重油使用に変更したとある。

 重油の煙は薄くて写真を撮るには物足りないが、乗車するお客は濃い煙など吐かれると困ってしまう。客車は当然、エアコンなしの3等車両。タイの炎天下では窓を開けないと車内が蒸し風呂状態だし、開けると煤が入ってきて(日本の昔の映画にあるような)顔が真っ黒、という悲惨な状態に陥る。

 ちなみに雨が降ると窓を閉めざるを得ない。車内は結局、蒸し風呂状態となる。

バンコクの旧中央駅フアラムポーンを8時10分に出発。写真や動画を撮りたい一般人が線路に入り込んでも制限せず、機関車の方が最徐行する。



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