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数メートル後ろ、被弾して倒れたイタリア人ジャーナリスト

 赤シャツ最後の日のラーチャダムリ通り。南側のシーロム交差点と東側のルムピニー公園の両面から国軍の銃撃を受け、赤シャツは一気に後退サーラシン通りとの三差路にしばらくとどまっていた。

 誰もがシーロム交差点とルムピニー公園に展開する兵士に気を取られている。そのとき後方、すなわち北側の赤シャツが集会の舞台を設置しているラーチャプラソン交差点の方から、数回の爆発音が伝わってきた。赤シャツの1人が、
「誰だ! 後ろで爆竹を鳴らすバカは!」
と怒るが、
「オレたちじゃねえ、軍が後ろからも来ている」
と返す声。誰もが把握していなかったが、兵士たちはこのときすでに西側の競馬場、ロイヤル・バンコク・スポーツクラブに迫っていた。

 午前11時前、しばらく収まっていた兵士からの発砲が再開される。赤シャツは、サーラシン通りの三差路からBTS(スカイトレイン)ラーチャダムリ駅辺りまで後退を余儀なくされた。

 皆に合わせて、身を屈めて移動。どこから飛んでくるか分からない弾から逃げる。ラーチャプラソン交差点に向かって北上していると突然、ゴム弾が左から飛んできて目の前を横切り、右手のテントに当たって跳ねた。赤シャツの1人が、「後ろにも軍がいる」と言っていたのはこのことだ。ロイヤル・バンコク・スポーツクラブ方面から撃ってきている。

このときはまだ生きていたファビオ氏。この写真は日本よりむしろ、イタリアや英国などの欧米諸国で広く取り扱われた。

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